水戸の勇戦〜水戸vs名古屋(9月2日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

                                  にほんブログ村 サッカーブログへ
にほんブログ村

試合前に名古屋サポーター向けに観光案内のVTRが流れて、そこでも言われてましたが、水戸と名古屋は“徳川御三家ダービー”でございます。

■前半

もはや周知の事実となりつつありますが、風間サッカーの考え方は「ボールを奪われなければ失点することはない」というもの。守備というものに対する概念がワタクシを含む小市民的サッカー好きの大多数とは全く異なっているわけですが、そういうなかでも、前半、相手の攻撃を連発でオフサイド地獄に引きずり込んだのは、戦術的なことなのでしょうか、それともただの偶然なのでしょうか。後者のような気がしなくもない。

 

 

ともあれ、風間サッカーでは、いろんな概念が我々とは異なる。システムとかポジションについても、それは同じで、ピッチを見てても並びがよくわからないのですよ。442だったとは思いますが、見方によっては小林をフォアリベロ(もはや死語か?)の3バックに見えなくもなかった。仮に4バックだったとすれば、両SBに相当していたはずの宮原と秋山の位置取りの高さがまるで非対称で、秋山を見ている限り、WBとしか思えない、みたいな。

 

 

そんな風間サッカーですが、昨シーズンのフロンターレと比較すると、まだまだ構築中という雰囲気。新たな風間スタイルという可能性もありますが、ずいぶんと印象が違う。ワタクシの感覚では、風間サッカーというのは、言うなれば、“無機質なパス回し”なんですよ。感情の籠もっていない、氷のようなオートマチズムでパスを交換し、相手守備陣形をズタズタにしていくような感じ。人工知能が将棋を差しているのと、少し印象が近い。

 

 

でも、現状の名古屋は、まだまだ選手に“人間くささ”を感じるのです。言い方を変えると、選手1人1人から“必死感”が伝わってくるというか、一生懸命に“この瞬間の最適解は何であるかを模索してます!”みたいなところが垣間見える。風間サッカーの場合、それではいかんのです。ありとあらゆる感情が封印された、キン肉マンと戦うまでのウォーズマンみたいなサイボーグであることが求められる。そういう意味では、グランパスの面々はサイボーグ化の途次を、いまだ彷徨っているのかもしれません。

 

 

 

■後半

この試合、先制したのは、実は水戸だったりします。名古屋守備陣の緩慢なプレーに猛烈なチャージをかけた前田がボールを奪取し、そのままシュートを決めきりました。ただ、このゴールは、そこまで押し込みまくるって感じではなかった名古屋の目を醒まさせてしまったようなところもある。ここから、名古屋のギアが一段上がって、水戸のディフェンスが蹂躙されまくる状態への序章となってしまうような雰囲気も漂っておりました。

 

 

で、実際に、この夏、爆発的な得点力を見せつけ続けてきた名古屋は同点ゴールをもぎ取ります。シャビエルがコーナーキックを蹴って、シモビッチがヘディングで合わせるという、いわば脱法行為ともいえる力業。コーナーキックを奪うまでは流麗なコンビネーションでズタズタにされ、最後は飛び道具でゴールを奪われてしまうのだから、水戸的には「そんなん、ズルいですやん!」ってグチらずにはいられないこと請け合い。恐ろしや、トヨタンパス!

 

 

でも、水戸はここから崩れません。怯みません。よりいっそうの奮闘を見せてくれました。そこには、知将西ヶ谷さんの、割り切った戦略があります。具体的には、2トップが前田と斎藤という快速コンビで、さらに左SHにはキレキレのドリブラー湯澤を配する。この3人衆が、水戸の戦略そのものであったといってよい。縦への推進力に特化した選手を3人も併用するのだから、名古屋は常にカウンターの刃を喉元に突きつけられた状態になる。

 

 

また、この3人衆は、名古屋最終ラインはもちろんのこと、GK楢崎にまでスピード感溢れるチェイシングを見舞い続け、名古屋のビルドアップは文字通り“調子が狂う”という状況。どうにもこうにもリズムが整わないのです。保持率では名古屋の方が優位にあったものの、水戸は水戸として、堂々と渡り合っていた。風間監督も、西ヶ谷監督も、ともに慎重な用兵に徹したことも相まって、がっぷり四つのまま、90分+ロスタイムが過ぎていきました。1対1のドローは、妥当な決着かと思われます。

 

 

  

■日本代表への推薦状

 

□推薦者

・前田大然

 

□推薦理由

いやあ、俄然、ブレイクしてますよね、この選手。松本からレンタルで水戸に来て、まだシーズンが半分も消化されていない時点で、水戸サポも松本サポも、シーズン終了後の動向にヤキモキしだすくらいのブレイクっぷり。この選手のストロングポイントは、非常に明確。ただただ、足が速い。相棒が潰れ役系の林になったり、シーズン途中からは同じタイプの斎藤になったり、多少の変化はあるにせよ、水戸の攻撃の基本的なコンセプトは、前田のスピードを生かすことに振り切れている。

 

 

この選手で特筆すべきは、そのスピードが必ずしも裏抜けやらドリブルのために限られておらず、むしろチェイシングにおいて発揮されるところ。しかも、そのチェイシングが守備のためというより、シュートを打つためのファーストステップとして敢行されているのが、心地よい。そして、もう一つ、上背はないにもかかわらず、ヘッドでのフリックが上手いというか、目立つような気がします。尤も、それは、ビジュアル的に目立ってるだけかもしれませんが・・・