INACの底力に新潟は力尽きる〜皇后杯決勝(12月25日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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実は皇后杯の決勝を生観戦するのは初めてなのではなかろうか。たぶん新潟Lの試合の生観戦も初めて。

■前半

23日に行われた準決勝もテレビではぼんやり眺めていたので、なんとなくわかっていましたが、INACのシステムは433。インサイドハーフがかなり自由に動き回りますし、両ウイングも頻繁にゴール前に進入していきますので、非常に流動的。そして、ボールを奪ったら前へ前へと突進するサッカー。ロングボールもありますけど、クサビのパスを繰り返し打ち込んで、落としを横パスしながら突き進むので、なんだかラグビーを見ているような気分になるスタイルです。

 

 

対する新潟は、地味に“信頼と実績”がハンパない辛島監督が率いていることもあり、オーソドックスな442。ゆえに指向しているのであろうサッカーも極端なことはしない。中盤のプレスでボールを奪うと、SHとSBのコンビネーションでサイドを攻略していくパターンが基本(たぶん)。フォワードは高さのある大石とテクニックのある上尾野辺。古式ゆかしいファーストトップとセカンドトップという組み合わせ。ボランチも、見ているだけではわかりませんでしたが、プリメイロとセグンダという組み合わせなのでしょう。

 

 

そんな、決勝戦の組み合わせで、加齢臭漂うオヤジとしては、どうしても新潟右SBの小原とINAC左SBの鮫島というマッチアップに注目してしまう。元日本代表同士ですし、常磐木学園の先輩後輩という間柄ですよね。もちろん、ワタクシがこのマッチアップに注目するのは、そんな“清く正しく美しい”興味関心からではございません。ええ、ええ、男子たるもの、たとえアスリートとはいえ、女性を見るときに発生する心の動きは、常に不変なのです。

 

 

そんなことはどうでも良いのです。大切なのは試合の中身。とりあえず前半については新潟の方にチャンスが多かったですかね。中盤のボールの奪い合い、ごっつんこの攻防で新潟が上回っていたので、必然的に新潟のペースでゲームは進みます。前半に限っていえば、INACのチャンスらしいチャンスって、中島がバーに直撃させたスーパーロングシュートと、新潟のDFとGKが受け渡しミスをしてしまったシーンくらいだったのではなかろうか。

 

 

 

■後半

前半の出来があまり良くなかったからか、あるいは試合前のプラン通りなのか、ハーフタイム明けからINACインサイドハーフの中島の相棒を伊藤から杉田にチェンジ。準決勝では杉田が先発していたので、さしあたりのカンフル剤としては穏当なスイッチだったかと思いますが、それが奏功したのか、後半は一方的にINACが新潟を攻め立てまくりでした。特にどこがどうってほどの変化があったようには見えませんでしたが、ともあれ、圧倒的INACペース。

 

 

ひょっとしたら、直射日光的な問題ですかね。冬場の昼下がりの試合って、GKとかがまぶしそうにしていることも多いですよね。延長戦でもメインスタンドから見て右側、INACゴール裏側に陣取ったチームの方が押し込まれる傾向がありましたし、新潟のGKがゴールキックを続けざまにミスっぽくなっていたのも、眩しかったからかしら? 尤も、熱心な新潟サポーターからすれば、「GKキックの方はデフォルトだから日差しとか関係ないよ!」ってもんかもしれませんけど。

 

 

劣勢に立たされた新潟はこの試合が現役ラストとなる山田頌子に代えて高橋悠を投入し、さらに右SHを佐伯から斎藤友里にスイッチ。ちなみに斎藤友里も引退試合だった模様。といっても、状況的にメモリアル起用ではなかったでしょう。選手交代で新潟が息を吹き返してからは、文字通りの死闘となります。特に互いの守備陣の集中力がえげつなかった。両チームとも、いくつか散発的にピンチはありましたが、最後の最後で守備陣が踏ん張った。

 

 

その中でも特筆すべきは新潟守護神の福村ですかね。延長戦を含めた45分くらいは、やっぱりINACが個の能力を見せつけていて、個人技から「後は押し込むだけ!」ってシーンも何度かありましたが、決定的なシュートをジャンプ一番、指先を伸ばして掻き出したり、スーパーセーブ連発でした。PK戦にはさすがに精根尽き果てて敗れてしまいましたが、最後の最後まで、見事な“しのぎあい”を見せてくれました。これぞ、トーナメントの決勝戦。満足しきりでございます。

 

 

 

■日本代表への推薦状

□推薦者

上尾野辺めぐみ

□推薦理由

推薦も何も代表の常連ですけどね。やっぱりクオリティが高いなぁと。この試合では新潟の上尾野辺とINACの大野がともにCFに入った10番対決でした。どちらも純然たるストライカーというより、フリーマン的な役割を担っていたところも似ています。さしずめ、アーセナルベルカンプエバートンルーニーがプレミアで対戦したみたいなイメージでしょうか。ベルカンプルーニーが時代的に重なっているかは保障の限りにあらず。

 

 

要するに大宮アルディージャにおける家長昭博みたいな活躍を見せてくれていたのですよ。時々、ワンタッチの繋ぎが不用意というか軽くなることもなくはなかったですけど、それを除くと、まあ、出色。特に運動量とドゥエル。エレガント系かと思いきや、実は泥臭い。ドゥエルも、国際的な舞台ではともかく、国内だとそうそう簡単には吹き飛ばされたりしない。サイドに移ってからは消えがちだったので、セントラル属性なんだと思いますが、今の新潟での使い方と同じような感じだったら、高倉ジャパンでも良いアクセントになるのではなかろうか。