劇場!〜川崎vs新潟(7月13日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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実は現在の自宅から最も近いJ1のスタジアムは等々力かも。

■前半

フロンターレは風間さんになってから何年経つんですかね。いろいろ言われたりもしますが、安定政権です。その間、志向するスタイルに全くブレがない。いわゆる“パスサッカー”への道を着実に邁進しています。対する新潟は、吉田監督が就任して、これまでの柳下政権とは、やや趣の異なるスタイルを構築中。吉田監督が目指すのは、レイソル時代と同じく、主導権を握って、パスを繋いでいくサッカー。要するに川崎よ新潟も目指すスタイルは似た者同士と言える。

 

 

ただし、当然ながら相応の相違はあります。それは、新潟がワンタッチでパスを繋ごうとするのに対し、川崎はリズム的にツータッチでパスを繋いでいるように感じられるところ。もちろん、「ツータッチではなくワンタッチである分、新潟のクオリティが高い」というわけではありません。むしろ、川崎にはツータッチする余裕がある、と評価すべきでしょう。ワンタッチ目できっちり収めて、ツータッチ目でしっかりパスを出す、みたいな。

 

 

この前の試合で対戦して敗北した名古屋の小倉監督が「止める蹴るに差があった」という旨のコメントを残したそうですが、川崎について、より厳密に考えたとき、“止める蹴る”のうち“止める”の部分に大きなストロングがあるんだと思うんですね。プロサッカー選手ですから、“出す”はそれなりに出来るんですよ。相手のマークを外せれば。ただ、“止める”の部分は、サッカーの技術の最初の一歩であり、同時に永遠の課題。そこを徹底的に追求しているのが風間フロンターレと言えるでしょう。

 

 

一方の新潟は、Jリーグ全体の相対値からすればポゼッション率の高いサッカーをするチームなんでしょうが、こと川崎との相対値でいけば、ボールを持たれる側になる。なので、構図としては「攻め込む川崎と、カウンター狙いの新潟」ということになります。とはいえ、ワンタッチパスで視野を確保しながらパスを繋げていくという能力の高いチームですから、カウンターはカウンターでキックの正確性が発揮されていて、見応えはありました。

 

 

■後半

試合は両チームが1点ずつ入れてハーフタイムを迎えます。前半に決まった2ゴールはどちらもファインゴールでしたね。新潟の先制点は、ゴール前の左右の崩しからいったん戻して、走り込んだ野津田がドッカンと突き刺したTVゲームのようなゴール。そして、川崎が追いついた得点シーンは、有無を言わさない大島のドッカンミドル。あれだけ年代別代表ではシュートが枠を捉えなかった野津田がついに決めたかと思いきや、そのお株を奪うような大島のパワフルシュート。“託す側”と“託される側”の意地と意地がぶつかり合うような攻防でした。

 

 

同点で後半に入った新潟は、ラファエルシルバを投入します。指宿が特別悪かったとも思われませんので、この交代は「地上戦に特化したカウンターを仕掛けるぞ!」という意思表示だったんじゃないかと考えられます。そして、実際にラファエルシルバは後半の間、ずっと川崎の脅威となり続けていましたので、的確な采配だったと思います。

 

 

そんなこんなで、後半は前半に比べれば五分に攻め合うようになったのですが、試合を動かしたのは、まさかの伏兵、そう、審判さん。川崎が新潟の波状攻撃をしのぎ、「さあ、カウンターだ!」ってところで、視野の広い起点となるパスを審判がナイスカット。それだけでも、川崎的にはブチ切れでしょうが、なんと、審判にぶつかったパスが新潟のクサビ戻しパスとなり、そこからの流れ出て、それはそれは綺麗にレオシルバがゲットゴール。なんてこったい!

 

 

その後は、川崎の攻撃のリズムと新潟の守備のリズムが、川崎からすれば悪い意味で噛み合ってしまう、いわゆる、“あかんパターン”。このまま、空気を変えられないまま敗退するのかと思いきや、試合終了間際に、ドラマチックな展開。オウンゴールと小林の技ありシュートで大逆転。まさに大団円。ドラマチックな結末でしたねえ。中村憲剛がいないなかでも、これだけ勝負強さを発揮できるのだから、優勝争いするに相応しいチームですね、今年の川崎は。

 

 

■日本代表への推薦状

□推薦者

・川崎サポーター

□推薦理由

川崎のサポーターといえばアットホームというか、口さがない連中からすれば“ヌルい”イメージがあります。すなわちそれは、ライトなサポーターが多いような印象。でも、実際、川崎サポはライトでもなんでもない。“フーリガン的でない”ことと“サッカーへの理解そのものが浅い”ということは別問題のようです。川崎サポ、よく、サッカーのことを知っている。拍手のタイミングが素晴らしい。相手のチェックを剥がしたり、パスカットしたり、そういうタイミングで自然発生的に拍手喝采が巻き起こるのです。

 

 

特に「相手のマークを剥がす」というのは、風間スタイルを具現化するにあたって、最も重要なプレーとなります。そこに、ちゃんと拍手を送れる。これは凄いですよ。川相の送りバントに相手ファンも拍手を送る、それくらいの“文化としての定着”を感じます。願わくば、代表戦のときだけ雨後の竹の子みたいに発生する青い皆さんにも、これくらいのサポーターっぷりを見せていただきたい。そうなったときが、日本サッカーが世界と互せたときなんだと思います。