「自己表現!」ってな試合【EL決勝】の周辺をウロウロと…★テレビ観戦記★

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リバプール 1 vs 3 セビージャ[05月23日]

ここのところ、スタジアム通いこそ続けている一方、テレビでサッカー中継を見る機会がめっきり減少しております。調べてみたところ、オリンピックの最終予選以来のようです。外国のチーム同士の対決に至っては、11月に1試合、その前はコパの決勝まで遡らないと、「TV観戦記」の記事がない。そんな久しぶりの欧州サッカーを見た感想、それは・・・、「バックパスが少ない!」ってこと。Jリーグに比べて、特にボランチがバックパスをしない。

 

 

では、なぜバックパスが少ないのか。Jリーグのボランチならばバックパスをするようなシチュエーションで、リバプールなりセビージャの中盤の選手たちは、どういうプレー選択をしていたか。それは、低い位置までおりてきたときのパネガのプレーに象徴的。シンプルな話です、自分の技術を信じて、相手のチェックを剥がすんです。そして、見事に剥がせたときにはスタンドから大きな拍手が送られる。相手のチェックを上回れば、バックパスの必要はなくなりますからね。

 

 

じゃぁ、Jリーグの中盤の選手は技術が低いから剥がせないのか。そんなことはないでしょう。もちろん絶対値では、欧州の選手たちよりも低いかもしれないですけど、チェックを剥がせるかどうかというのは、相手との相対関係で決まる。Jリーグの中盤の選手にチェックをかける側もJリーガーなわけですから、剥がそうとして剥がせないことはないはずなんですよ。フロンターレの選手たちは、そういうプレー選択をしますよね。もちろん剥がせないときも出てくるとは思いますが。

 

 

となると、技術力の問題ではないということになるわけですが、おそらくこれは文化の違いなのかな、と。よく言うじゃないですか、「欧米は良かれと思ったことを、まずは、やってみる文化。日本は周囲に迷惑をかけないことを、まずは、避ける文化」だと。自己表現を優先するか、周囲との同一化を優先するかの違いというか。バックパスというのは、まさに、「失点に直結する位置で、ヘンなことになって周囲に甚大な迷惑をかけるわけにはいかない」という日本文化を象徴しているように思えてくるのです。

 

 

文化の違いなんで、それぞれに一長一短あって、どっちが是でどっちが非ってな問題ではないのですが、それでも、「まずは自己表現!」っていう欧米文化を見せつけられると、無い物ねだりの一つもしたくなってきます。だって、「ヘンなことをしてに周囲に迷惑をかけられない」って思ったら、先制ゴールとなったスタリッジのシュートとか、絶対にムリでしょ。エリア内で、少しマークが緩めって状況で、利き足とは逆足のアウトにかけたシュートなんて撃てるのか!?ってな話ですよ。日本でそれをやってミスったら、「おいおいおい!」ってなことになって、村八分ですよ、少なくとも高体連の強豪校とかでは(優勝したときの野洲を除く)。

 

 

セビージャが追いついたシーンも日本のサッカーシーンではあまりお見かけしないパターン。後半キックオフのファーストアタックからシュートまで持ち込んで、ゴールまで決めてしまった。自己表現云々とは少しズレますけど、様式美(通例どおりであること)を重視する日本社会におけるピッチでは、とりあえず、キックオフの後はバックパスですもん。ともあれ、そこからたたみかけるようにコケが2ゴール。セビージャが見事に3連覇を達成したわけですが、それ以上に、バックパスの少なさに感心した一戦でございました。