■日本U23 2 vs 1 サウジアラビアU23[AFC U23選手権 01月19日]
何事も固定観念に囚われてはいけません。そんなことを身につまされる一戦でした。まずサウジアラビアU23を率いているコスタ監督はオランダ出身。サウジアラビアはフル代表もオランダ人監督なんだそうだ。つまり、協会を挙げてサウジアラビアサッカーにオランダの風を取り入れようとしているということ。ってことは、ウイングに縦突破を繰り返させる、例の、あのオランダ式3トップかとの固定観念を抱いたのですが、実際は、さにあらず。
どちらかというと、ブラジルワールドカップにおけるアルジェリア代表に似ていましたね。ボールを奪ったら、前線の4枚がスペースを探し出し、流動的に走り込む。そこにロングボールでフィードして一気にシュートまで持って行く。そんなイメージだったかと思います。いまさら確認するまでもなく、そのアルジェリアを率いていたのは我らがハリルホジッチ。ハリルさん、日本でそれなりに結果を残したら、次は中東でビッグマネーを手に入れるのではなかろうか、浜省ばりに。
固定観念に囚われてはいけないという意味では、ワタクシ、オナイウ阿道を過小評価していたかもしれません。いやぁ、良かったですね、阿道(というか、どっちかが名字で、どっちが下の名前?)。左右に幅広く動き回って、ロングボールのターゲットになったり、ポストワークでボールを引き出したりと、1トップのファーストミッションを丹念にこなしていましたし、さらに個の突破からシュートにまで持ち込んだりと、1トップとしては申し分なかったのではあるまいか。
ワタクシ、常々、日本のチームは“442”が良い、と考えております。理由はいろいろあるのですが、最も大きいのは、日本人のフィジカル的に1トップに適したFWの安定的供給が難しそうだから。でも、オナイウ、1トップ適任かもしれませんね。西澤や前田も1トップの適任者とされてきましたが、彼らに比べても“しなやかさ”という要素が突き抜けている(足りない部分もたくさんあるとは思いますが)。日本って世界でも特異な“純血”的環境にあると思うのですが、ようやく、“多様性”を手に入れつつあるのかもしれません。
この試合、ワタクシの固定観念を最大に吹き飛ばしてくれたのは、大島僚太のスーペルゴラッソですかね。フロンターレでのプレースタイルを見ていると、中村憲剛や大久保嘉人の引き立て役に徹しているというか、プロフェッショナルリンクマンって印象だったのですが、あんな「これがオレ様やで!」ってプレーを見せつけてくれるとは。テレビのインタビューでもシャイボーイ全開だったのに、やればできるじゃないか。もっともっと原西あたりに「オレやで!」を教えてもらって良いぞ!
このスーペルゴラッソに関しては、もう一つ感じたことがあります。それは、ヨーロッパのサッカーシーンに比べて日本のサッカー界ではスーパープレーが少ないように感じていて(高校選手権を除く)、でも、「技術だけなら欧州に引けをとらない」とかも言われている。「この矛盾は何なんだ?」と考えたときに、「日本人選手は練習では凄くても、本番ではワンマンプレーを自重する習慣が骨身に染みついているのでスーパープレーは出づらいんじゃないか」と推定していたのです。でも、本番でもこういうプレーが出せるのか。ワタクシの固定観念が吹っ飛ばされました。その後の試合運びも含めて、それだけ手倉森さんのチームマネージメントが優れているということかもしれません。