柏の監督人事に見え隠れするきな臭さの周辺をウロウロと…

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■官僚的思考法

レイソルの吉田監督が事実上の解任だそうで。新たに招聘されることとなったミルトン・メンデスさんは、ブラジルの名将だとか。監督に限らず人事というのは、結果論でしか語れないものですから、吉と出るか凶と出るかは来シーズンの戦いぶりをみるまでわかりません。ただ、どうも、この監督交代には、フロント界隈のあまり宜しくないパターンが背景にありそうな気がしないでもない。

 

 

歴史を紐解くと、名門クラブが凋落するときには、明確なパターンが存在する。具体的にはジェフ・セレッソエスパルスの3チームなんですけど、これらのクラブに共通するのは「フロントへの不信感がチームを空中分解させてJ2降格に至った」ということ。そして、ジェフとセレッソについては、「親会社からの出向社長がやらかした」という共通点もある(エスパルスについては、よく知らない)。

 

 

出向社長って、大臣さんとか、高級官僚さんとかに似ていますよね。どちらも、任期(4年から、せいぜい10年弱)ごとにコロコロと職場が変わる。大臣さんが最もわかりやすいですけど、例えば国土交通大臣になっても、その役所にいるのは、まぁ、長くて45年とかですよね。事務次官争いに敗れた高級官僚の皆さまも、「週2回勤務で年収1000万」みたいな待遇で、各種外郭団体などを転々とする。

 

 

そんな彼らがやらかしがちなこと。それは「無駄遣い」です。つまり、ずっとその組織に骨を埋めるわけではないから、基本的には腰掛けでお飾り。でも、自らの自尊心は満たしたい。「あの人が理事長をしていた頃には、こんな素晴らしいことがあったんだよ」って爪痕を残したい。地方公共団体の首長に典型的ですが、そういう人々は、ゆえに、とりあえず箱物を作るんです。そして、記念碑に名前を刻みたいのです。その後の維持費や、その組織の財政のことなんて知ったこっちゃない。とりあえず派手なことをやろうぜ、みたいな。

 

 

 

■出向社長の悲劇は繰り返されるのか

そういう官僚さんとか大臣さんとか出向社長さんの基本的な発想を踏まえると、ジェフやセレッソがドツボにはまった理由もわかりやすいですよね。ジェフは10年くらい前に古河やってきた出向社長が、いろいろやらかして空中分解(羽生やら水野やら、みんなが出ていった)。セレッソはもっと露骨。出向社長が派手にフォルランを補強。継続性やら現場のリアリズムを無視してしゃしゃり出た結果、降格の憂き目に遭った。

 

 

どことなく現在のレイソルも、それに似ているんですよね、状況証拠的には。現在のレイソルの社長さんは滝川龍一郎さんと言うんだそうだ。ググってみたら、オフィシャルのリリースが出てきて、それによると、去年から就任したらしい。もちろん日立からの出向です。ひょっとしたら、吉田さん解任の背景に、新社長の「爪痕を残すぜ!」ってなエゴが隠れてはいやしないだろうか。

 

 

というのも、吉田さんって、随分と昔から育成で成果を残し、その手腕を買われて既定路線的に監督に昇進した。前社長までが蓄積してきたものの総決算的なトップチーム監督就任なわけですね。つまり、吉田監督で成功を収めても、現社長的には、おいしくないのですよ。なぜならば、それは前任者に先見の明があったことの証明になっても、自身の手柄ということにはならないから。

 

 

ひょっとして、現社長さんは、「前任者が任命した監督はタイトルを獲得できなかったじゃないか。それに対して、オレが招聘した監督はチームを優勝させたぞ!」って状況を作り出したいという功利心を抑えきれなくなっているんじゃなかろうか、と。・・・まぁ、実際には、新社長の虚栄心とは全く無関係で、吉田体制に何らかの問題があって、それに対処しているだけってことかもしれませんが、ともあれ、新社長のお手並み拝見ってことですな。