■日本 2 vs 0 チュニジア[練習試合 03月27日]
ハリルホジッチの初陣となったチュニジア戦。独自色満載のスターティングラインナップにも驚きましたけど、チュニジアの選手たちの名前が微妙に日本語の語感にフィットする点も興味深かった。アカイチとか。「赤一」やん。抜擢された面々も含めて、総じて、ちゃんとサッカーをやっていましたね。相手のチュニジアもちゃんとサッカーしてくれたからこそって部分もありますけど、縦に速く、見ていて小気味の良いサッカーが展開されていました。
スタイルとしてはワンタッチパスを外連味なくつなげていくってところで、両チームとも似通っていました。ハリルホジッチの前職はアルジェリア代表で、チュニジアはアルジェリアの隣国。そういうことの影響もあるんでしょうか。ミラーゲームですから、試合そのものは固まってしまいがちなんですが、そんななかで存在感を示していたのは武藤。すっかり代表の常連となり、貫禄のようのものも漂ってきましたね。ドリブルなんかには自信がみなぎっていました。
後半の15分を過ぎたあたりからハリル監督はカードを切り、次々と千両役者を送り出していく。まずは香川と本田を同時投入。さらには宇佐美と岡崎。特に香川と本田がピッチサイドに並んだときの高揚感は凄かったですね。果たして、これらのタレントたちが、うっすら流れはじめた「初戦だし、スコアレスドローでも悪くないかなぁ」って雰囲気を払拭します。香川の推進から右に流れた本田がクロス。最後は岡崎がヘディングシュートを叩き込みました。
やっぱり積み上げてきた歴史というのは嘘をつかないもので、ブラジル本番は冴えなかったですけど、南アフリカ終了から5年間で本田・香川。岡崎の連携は磨き上げられてきたわけで、追加点も、この3人に一瞬だけ宇佐美が絡んだもの。本田→香川と繋がり、宇佐美が一捻り。さらに岡崎→香川と繋がって、最後はGKの弾いたボールに本田が詰めました。終了間際には宇佐美にも決定的チャンスがありましたけど、まぁ、おいときましょう。ハリル初陣は快勝でクローズしました。
それにしてもハリルさん。サプライズな選手起用をしてきましたよね。特に興味深かったのは藤春、槙野、酒井宏樹、川又、永井といった選手たちの抜擢。一般的なイメージとしては当落線上にいるであろう面々ですよね。こここから想像されるのは、ハリルさんは、40人もの大グループを措定した上で、少しずつふるいにかけている、消去法で消せる選手を見極めるという作業を行っているんじゃないか、ということ。「もし自分のサッカーにフィットするようだったら、その場合にのみ、代表に残れるよ」みたいな。まさにサバイバルレース。
仮にそうだとすると、今回抜擢された選手たちにとっては、この大分でのトレーニングマッチが最初で最後のチャンスになるかもしれない。少なくとも追加招集の川又なんかは、「チャンスは今回しかない」という心持ちで挑んでいたと思われますが、感心したのは、これらの選手から伝わってきたのが悲壮感ではなく、躍動感であったこと。しかもエゴイスティックに走るのではなく、連動性があった。むむむ、ハリルホジッチ、噂に違わぬやり手かもしれないぞ。