札幌vs長崎(3月15日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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札幌ドームデビューを果たしました。

■前半

この試合はミラーゲーム的な要素が少なからず漂っていましたね。まず、札幌も長崎もシステムが3421。それにしても、最近は3421が流行ってますね。ペトロビッチ→森保の広島が一定の成功を収めたことの影響でしょうか。例えば、442のミラーゲームならば、それほど珍しいことではないと思いますけど、3421のミラーゲームが発生してしまうんだから、「Jリーグガラパゴス化も、ここに極まれり」ってなところ。それはそれで構わないんですけど。

両チームにはフォーメーション以外にも共通点がありまして、それは、「縦に速い」というところ。長崎を高木監督が率いるようになって、何年目でしたっけね。高木さん、長崎では一貫してキック&ラッシュなサッカーです。対するバルバリッチの札幌は、今シーズンから強烈な推進力を誇るナザリトという武器を手に入れたことにより、その個を生かすような縦ポンが多かったです。それも1つの方法論。縦ポン自体が悪では決してありません。

ただし、両チームにはクオリティに直結する決定的な相違もありました。右サイドの崩しから木村が決めたことで長崎が先制したように、長崎に「3421&縦に速い」に関する一日の長があったと思います。といいますのも、札幌については3421各個のポジションが固定されていたんですね。しかも、34と21で完全に攻守分業になっていた。例えば稲本や上里が前線を追い越したり、WBが中央にカットインしたりってシーンは皆無でした。

対する長崎は非常に流動性に富んでいた。この日の長崎が着用していたシルバー基調のアウェイユニの背番号が見づらかったってのもあるんですけど、とにかく、「あれ、あのポジショニングにいるの誰だ?」って感じることが多かった。そのような流動性を象徴していたのがシャドーの梶川と、ボランチの黒木。梶川なんかはトップなのかシャドーなのかボランチなのかサイドなのか分からないくらいあっちこっちに顔を出していました。

■後半

後半に入っても、札幌のエンジンはかかりません。というか攻守分業&ポジション固定な3421が機能しない。先述したように、基本はナザリトへの縦ポンなんですけど、そんなこと高木監督にとっては先刻承知で、完全にスペースを消してきた。そして、スペースとともにナザリトも消えた。こうなると、ロングボールの行き先は都倉になる。都倉は都倉で必死にターゲット役をこなしていましたが、如何せん孤立していた。

それでも何度か高い位置で都倉が頑張ってキープしたんですが、せっかくの場面で宮澤あたりが、繋ぎのシンプルなパスで単純なパスミスを繰り返す。掴みかけたリズムをそこで自ら放棄してしまう。リズムを放棄してしまうだけならまだしも、宮澤さん、イエロー2枚で退場までしてしまった。もはや、「ダメだ、こりゃ」。宮澤に限らず札幌にイエローが多かったので、きっと、チームが機能しないことにストレスを溜め込んでいたのでしょう。

1人少なくなったことでバルバリッチも動かざるをえなくなる。まず河合からパウロンへという謎のCB交換。どうやら4バックにしたかったらしい。つまり、河合は4バックのCBとしては強度不足ということっぽい。さらにWBの石井に替えて内村を投入。4230だか、4320だかっぽくして態勢を整え直す。のですけど、まあ、整えられなかったですよね。整え直すもなにも、そもそもの状態が整ってなかったんですから。

逆に長崎の対応は成熟していた。したたかでした。先に長崎の流動性を担保していた選手として黒木を挙げましたが、この黒木のポジショニングがなかなか独特で、最終ラインに落ちていくんですね。4バックで2CB間に落ちるならわかるんですけど、3バックに加わって4バックになる。つまり、5バックに加わり6バックになっているわけですよ。これだけ臨機応変に守られたら、もはや札幌に為す術は残されません。6分も与えられたロスタイムも虚しく過ぎていき、札幌は完敗いたしました。

■日本代表への推薦状

□推薦者

花井聖

□推薦理由

名古屋ユースが育て上げたクラシカルな純正ファンタジスタ。テクニックは抜群ながら、なにせ運動量が無い。最高傑作などと評価されながらも、流れ流れてJ2でも予算規模の小さなクラブに漂着しました。運動量が少なくてハードワークも苦手とくれば、この選手を生かすためには、ピルロ系のボランチとしての使い方しかない。そして、ガットゥーゾボランチにあれこれフォローさせなければならない。とても使い勝手が悪い。

しかし、歴戦の高木監督は、そういう王様システムを構築して機能させていました。梶川と黒木がいて初めて成立するんでしょうけど、こういう使い勝手の悪い天才を生かせてしまうんですからと高木さんの懐深さを感じずにはいられません。そして、そんなお膳立てを無駄にしないだけの働きを、この日の花井は見せていた。中盤でのゲームメイクは圧巻の一言。この選手がボールに絡めば自動的に長崎の攻撃にリズムが出てくる。天才の面目躍如でございました。