■なでしこ 2 vs 0 アイスランド[アルガルベカップ 03月11日]
基本的には格下の相手でしたし、俯瞰すればなでしこに保持率的な分はあったと思いますが、ときおり嫌なボールの奪われ方をする序盤戦となりました。優位に進めながらも、一抹の危なっかしさを抱えている、そんな立ち上がり。アイスランドは、プレスのかけどころを明確にして、ハードワークしてきました。Jリーグにありがちな、まず前半は、中盤で相手を潰すことで、失点だけは避けようというようなサッカーで、なでしことしても決定機を作りかねていました。
そんな構図でしたから、前半は、けっこう高い位置でボールを失い、そこからのショートカウンターでアイスランド攻撃陣に独走されまくっていて、そこで佐々木監督も後半はシステムをいじってきます。で、宮間をトップ下に置いた4231への布陣変更は、さっそく奏功し、後半5分に先制点。宇津木・鮫島・大儀見の3人の関係性で相手を崩し、サイドを宇津木が突破。そのクロスに走り込んだ宮間がグラウンダーのシュートを決めきりました。
これで多少ながらもリズムを作れるようになったなでしこは、早々に追加点をあげます。阪口のクサビを受けた大儀見と宮間とのコンビネーションからサイドの上尾野辺に展開。そのクロスに再び宮間が飛び込み、最後は大儀見が押し込みました。この崩しは素晴らしかったですね。The なでしこらしいってな連動性。広告看板に大写しされていたガリガリ君も、さぞかし満足したに違いありません。世界に羽ばたけ、赤城乳業。君のソーダ味は世界に通用するはずだ。
というわけで、20で完勝したわけですが、この試合においても、大会全体としても、気になった点が2つあります。ひとつは最後までボランチがビルドアップ役として機能しなかったこと。澤待望論が浮上するかもしれません。そして、もう一つ、気になって仕方がなかったのは青嶋アナによる、選手名への謎の「さん」付け。なんなんでしょうかね、思い出したように「さん」付けする意図。毎度のことながら、このアナウンサーは実況=露骨な自己顕示なんですよね。正直、あまり好きくない。。。
さて、今大会を通じて、今ひとつ小気味よさを発揮できなかったなでしこ。この試合も、お世辞にもファンタスティックではありませんでした。その要因を探ると、結局、パスが繋がらなかったことに尽きる。そしてパスが繋がらないということは、すなわち、ポジショニングに難があったということです。よく「ポジショニングの基本は三角形」というようなセオリーを耳にしますが、この大会のなでしこは、そこの三角形が綺麗じゃない場面が多かったような印象が残りました。近いところで3人が一直線になってしまっていたり。
とはいえ、よくよく見ていると、シリウス・プロキオン・ベテルギウスばりに、大きな三角形はぼんやりと形成されていたようにも思われた。これを単に「距離感が悪かった」とみることもできますが、ひょっとしたら、これまでよりもレンジの長いパスサッカーを構築しようとしているということなのかもしれないなぁ、なんて思ったりもします。そして、その新たなレンジに慣れておらず、パスが乱れがちだったと。宮間なんかのパスが、どうしてもボール一つ分ズレていていたのも、そのように考える合点がいきますし、その一つ分のズレゆえにリズムが悪くなってしまっていたとするならば、成熟度の問題ということになりますから、ワールドカップ本番までには期待ができるクオリティになるかもしれません。