■ガンバ大阪 2 vs 0 浦和レッズ[ゼロックスーパーカップ 02月28日]
前半は、互いにらしさを表現し合うような展開となりましたね。浦和はペトロビッチ就任以降、ある意味ザックジャパンとも共通するような指向性がありまして、とにかく自らがイニシアティブを掌握することに固執する。対する長谷川監督が率いるようにってからのガンバは、アギーレジャパンが目指していた方向性に親近的で、相手の出方をうかがいながら、蝶のように舞い、蜂のように刺すを理想としている。この試合でも、対照的な指向性は継続しており、必然的にポゼッション率だけから判断するならば、浦和がペースを握っているように見える。でも、基本的にガンバは浦和の攻撃に適切に対処できていた。危険な場面はほとんど作らせない。前半の浦和のシュートは槙野とか森脇しか撃っていないのではなかろうか。
後半に入ると、予定通りなのでしょう、ガンバがやや前掛かりになります。「前半は無失点で、後半に仕掛ける」という常套的手法。その成果は後半の7分に早くも、その一端が披露されます。「これでもか!」と言わんばかりの波状攻撃で浦和守備陣をチンチンにしてましたもんね。もちろん、多少なりとも攻撃にシフトした分、低い位置にスペースができて、そこを浦和の関根あたりに疲れていましたけれども。関根、順調にステップアップしてますね。
試合が動いたのは後半も半ばを過ぎてから。遠藤のコーナーキックをパトリックがすらして、最後は宇佐美が押し込みました。直前に赤嶺と交代して投入されたパトリックが仕事をしました。そしてゴールはエース。ガンバにとっては、これ以上ないお誂え向き。で、先制したらガンバは強いですし、ひいた相手にゴールをもぎ取るという部分でにおいて決定的な難点を抱えるのがミシャレッズですから、「攻めても攻めても、牙城の周囲を徘徊するだけ」って展開のまま、最後はパトリックがだめ押しの追加点を奪い、タイムアップを迎えました。
さて、往年のライバルチームが再びシーンの主役に復活してきてのマッチアップとなった試合。置かれた状況は似ている。互いにACLがあって、チームとしても決して再建期ではない。財務体力も相対的にはJリーグにおいて優位にある。その割に、このシーズンオフにおける補強動向は対照的でした。静のガンバに対して、動の浦和。この日のスタメンもガンバは赤嶺を入れたくらいで基本的に昨シーズンを踏襲していたのに対し、浦和は「この選手がレギュラーを奪ったら面白いな」という面々を少なからず起用してきました。
上述の相違は、長谷川さんは就任3年目、ペトロビッチは4年目、そういうことの影響があるように思います。ときどき「プロサッカクラブのサイクルは3年」なんてことが言われますけど、それを基準とするならば、ガンバは磨きの仕上げをかける時期ということになり、浦和は新たな刺激によりマンネリを防止する時期ということになろうかと思います。それが先発メンバーや補強動向からも窺えるのかな、と。なんてことを考えていたら、日本史の教科書を思い出しました。江戸時代の文化って、上方中心の洗練された元禄文化と江戸中心の爛熟した化政文化みたいな構図で教えられた記憶があるのですが、上方(関西)のガンバが元禄文化っぽくて、江戸文化圏(関東)の浦和が化政文化っぽいなぁなんて思った次第です。