■ガンバ大阪 3 vs 1 モンテディオ山形[天皇杯決勝 12月13日]
電光石火で先制したのはガンバ。パトリックが競り合ってフリックしたボールに宇佐美が反応してシュート。一度は山岸に防がれるものの、こぼれ球に詰めて、再度シュートして見事に決めます。パトリック⇔宇佐美の黄金コンビによる得点でした。ガンバは前半のうちに追加点もあげます。相手CKからのカウンター。今度は宇佐美が起点となりパトリックにラストパス。パトリックのシュートは少し距離がありましたけど見事な軌道で決まりました。
格上相手に2点をリードされた山形ですけど、石崎さんが作り上げて、山岸というリーダーがいるチームですから、そんな簡単にファイティングポーズを崩すようなことはしません。タイマン勝負を仕掛け続けます。とはいえ、技術的にも、あるいは戦術眼的にも、やはりそこはガンバの方が一枚上。山形としてもプレスをかけていくんですけど、ガンバ陣内の広大なスペースを相手の意図に踊らされながら、右往左往しているようにも見えました。
両チームともに組織的な守備→鋭利なカウンターという意味では比較的スタイルが似ていると思いますが、守備時における無言の圧力というか真綿で首を絞める感において、ガンバが山形を圧倒していました。そして、そのような試合巧者的なゲームコントロールは、後半に入ると、いっそう顕著になる。45分間を相手を転がしながら進めていく。往年の鹿島や、調子の良かった時期のマッシモ流FC東京なんかを見ているような展開。
しかし、対する石崎さんも百戦錬磨の熟練。的確な選手交代によって、風穴をあぶり出していきます。まず後半開始とともにナンバー10の伊東に下げて舩津を投入。さらに後半15分くらいには、ターゲットを増やすべく林をピッチに送り出します。そうして流れをなぐりよせると、舩津から石川へと繋がったパスの折り返しからロメロ・フランクが1点を返します。今野などガンバ守備陣がクリアにまごついたという面もありますが、山形の意地がこじあけたゴールといえるでしょう。
そうやって奮闘する山形ですが、後半35分にアクシデント発生。交代のカードを3枚とも使い果たしたあとに、ウイングの山田が足を攣り、治療のためにピッチの外へ。そして、相手が1人少なくなった状況を見逃さないのが今年のガンバ。スルスルスルとボールを前に運んでいくと、プレスがかかりきらないところで、宇佐美がドッカンとこの試合2ゴール目を突き刺しました。31。やっぱりガンバは強かったですし、また、モンテディオにACLは少し早いという神様のお告げだったのかもしれませんね。
というわけでガンバが3冠を達成した試合となりましたが、その原動力は、やはり宇佐美とパトリック。ちなみにパトリックと山形のディエゴって、なんとなく似ていませんか? まず風体が似ている。いかつい上半身とか、スキンヘッドと坊主頭な感じも近いところがあります。プレースタイル的には強さと速さのパトリックに対して、ディエゴの場合強さとテクニックというイメージですけど、フィジカルの強さで貢献する選手同士です。
で、パトリックの相棒が宇佐美なんですけど、この試合、特に前半における宇佐美はエレガントでしたね。彼の必殺技ともいえるサイドチェンジは貫禄の安定感。さらに、トラップでのボールの置き方なんで溜め息が出てしまうレベル。先制点に繋がるトラップ→シュートとか、尋常じゃなかった。もちろん相手がJ2で6位のチームだったということもあるでしょうが、リーグ戦の優勝でプレッシャーから開放されたことが、天才を天才たらしめていたのかもしれません。