風間サッカーに必然的に付随する副作用についてアレやコレや分析してみる【川崎vs清水】の周辺をウロウロと…★テレビ観戦記★

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■川崎 2 vs 3 清水[J1リーグ戦 11月03日]

キックオフから、まず存在感を示したのは大久保。川崎はグラウンダーのパスを合理的に繋いでいくサッカーを展開しているわけですが、大久保に出すパスに関しては、裏一発に近いようなミドルレンジのボールも飛んでいく。そうして、エスパルスの腰が引けたからかどうなのか、果たせるかな川崎が先制します。憲剛の蹴ったコーナーキックに福森がヘディングで叩き込んだもの。登里のコンディション不良で得たチャンスを見事に生かしました。

 

 

川崎と清水の前半の戦いを見ていると、顕著なのはパスレンジ。川崎は1人飛ばすということのない距離感でパスを回していきますが、清水は本田拓也をはじめとして1人どころか2人・3人と飛ばしたダイナミックな展開を見せる。そうはいっても全体として川崎のポゼッションが高かったわけですけど、一瞬の隙を突くように清水が同点に追いつきます。竹内が右サイドを掌握すると、そのクロスに六平が腰を捻ってミドルシュートを蹴り込みました。

 

 

「筑波大時代から風間サッカーにはエアポケットが発生しがちらしい」なんて話を聞いたか読んだかしたことがありますが、このときの失点などは、まさにエアポケットの典型例。証拠に、その後も川崎が試合を支配して、前半のうちに勝ち越しに成功しましたし。大島だか山本だかの展開から小宮山が右サイドを攻略しクロス。小林がスルーしたボールをリターン的に小林に戻し、小林が代表選手らしい決定力を見せつけました。5人が絡む、綺麗な崩しでしたね。

 

 

後半に入ると、形勢が逆転して、清水が同点に追いつきます。中盤の逆三角形(本田拓・六平・竹内)がパス交換を繰り返しながら局面を形成し、スペースを見つけた六平がスルーパス。呼び込んだのは左SBの吉田で、その吉田が決めきりました。前半の終わりの方に清水は六平と竹内の左右を入れ替えたのですが、それ以降、一気にリズムが良くなって、この時間帯なんかは、まるで清水が川崎かと見間違うようなリズミカルなパスサッカーを見せていました。

 

 

で、川崎にとっては悪いことが重なるもので、最近はずっと左足を痛めていた中村憲剛が、今度は右足を痛めて負傷退場してしまいます。こうなると川崎は厳しい。丁寧なインサイドキックを繰り返す川崎において、唯一トリッキーというか、応用編なプレーをしていたのが憲剛。その憲剛がいないと、どうしても一本調子で決定打に欠くようになる。やがて清水の攻勢は強まり、「4人が続けざまに押し込むだけシュートを浴びせかけ決めきれない」みたいなビッグチャンスを生み出していく。

 

 

そして、五分に近い展開となれば切り札を持っているチームの方が強い。川崎はそもそも「スタメン11人が90分戦うのが最も合理的」というチーム作りをしていますから、もとより切り札は用意していない。対する清水には村田という明確な切り札がいる。果たせるかな、その村田が決勝ゴールをもぎ取りました。本田拓也のハードワークでボールを奪取し、石毛がスルーパス。猛然と走り込んでいた村田が決めるという、お見事な得点でした。

 

 

 

というわけで、川崎としては優勝を争う上で痛恨の敗北を喫したわけですが、川崎がときどき一見するとポカにみえる負け方をするのもよく理解できます。というのも川崎というのは常に同じ距離感・同じリズムでサッカーをやり、また、やりきることを是としている。なので、例えば距離感においては選手配置に一定の法則性が発生する。でも、その距離感が、結果として相手にとっても心地よい距離感になっている場合があって、そういう場合には、必然的に打ち合いになってしまう。相手の攻撃力まで引き出してしまうのですね。

 

 

また、リズムにおいては、アーティストとオーディエンスの関係をイメージすると理解しやすいかもしれません。アーティストはライブにおいて、まず自分たちがパフォーマンスしやすいリズムで音楽を奏でる。でも、それは結果的にオーディエンスにとってもノリノリになれるリズムなわけです。自分たちが気持ちよいリズムを作れば作るほど相手も気持ちよくなるという関係。川崎(=風間さん)のパスサッカーって、そういう側面があるように思います。