え〜、例によって、平日でもサッカーを見に行けてしまうお気楽極楽なワタクシ。行っちゃいましたよ、埼スタ。ナビスコ予選を見るために。
■前半
ナビスコカップですから、ターンオーバーしてきますよね、両チームとも。犬飼体制崩壊後は、悪名高きベストメンバー規定も常識的に運用されるようになりましたし。もはや、自然消滅を見守っておけば、成仏するに違いない規定ですから、各チームとも、さほど神経質にならず。浦和のラインナップを見てみると、いわゆる“レギュラー”とされる名前は柏木と平川くらいでしたかね。それにしても、平川。一般的にベテランはこういう時に休ませてもらえるのですが、若手に睨みを利かせる当番なのでしょうか。
ともあれターンオーバーしたところで、それでも浦和のメンツって凄いですね。坪井とか永田とか鈴木啓太とか青木とか関口とか山田直輝とか、日本代表に絡んだり、絡みかけたりって実力者がズラリと顔を並べる。去年の天皇杯・山形戦では学徒動員で、どうにかこうにかBチームを編成していたのに、怪我人が少ないとか、そういう事情もあるんだとは思いますが、知らないうちに、いきなり層が厚くなっている。不思議なもんだ。
対する徳島。フォーメーションは、343でしたね。最終的に断念したものの去年からトライしていたシステムを、浦和対策という意味なのか、あるいは低迷打破の起爆剤なのか、この試合で復活させてきました。尤も、この試合に関しては3バックというより5バック。昔、フランスにペンペンにされてヒヨりまくったトルシエが欧州遠征で試みた“フラット5”を彷彿とさせるような、それはそれは綺麗な5バックだったのでございます。
そうやって守備的な陣形であった上に、ゾーンで守ることを徹底したということかもしれませんが、攻められても1対1でガツンと潰しにいかないので、外野から見ているとズルズルと下げさせられているように見える。要するに、へっぴり腰というか、腰が引けているように感じられたのですね。開幕から未勝利街道で自信を失っているというか。にもかかわらず、前半終了時点でスコアが1ー1っていうのが、サッカーの面白いところではあるのですが。
■後半
後半の頭から浦和は山田直輝を下げる。山田直輝、特別ヒドいプレーが目立ったわけではないですが、彼の持ち味を「歌って踊れるシンガーソングライター」ばりの「走りながらプレーできて使われることもできる司令塔」と捉えるならば、運動量という面で物足りなかったかもしれませんね。山田に代わって入ったのが矢島。その矢島が早々にミドルを決めて浦和が勝ち越します。後半の早い時間帯の浦和は良かったですね。前半に比べて関口が妙にアグレッシブでしたし、阪野の裏抜けとかも利いていました。しかし、そういう流れを自ら手放してしまうのがペドロビッチの浦和。
いやあ、後半の10分くらいからの30分間における浦和はグズグズでした。まず、カウンターから徳島の小暮に独走を許し、同点ゴールを献上。ペドロビッチ戦術は、こういうカウンターからの縦アタックに、ホントに弱い。“たまたまのアンラッキー”では決してなく、何度も繰り返される構造的失点だと思います。さらに、徳島は後半に入ると小賢しいことを全て排除し、シンプルかつ愚直にドウグラスの高さを生かすという攻撃を仕掛けてきたのですが、まんまとその形で勝ち越しゴールまで奪われてしまう。選手交代で集中力が途切れたエアポケットでの失点ですから、これも浦和の自滅のようなもの。
逆に徳島の側からみれば、ここまで分かりやすく浦和が崩れてくれたのに逃げ切れない。オウンゴールと濱田のヘッドで追いつかれるどころか、再逆転されてしまう。勝ててないチームのチームコンディションが推してはかられる負け方となりました。
■日本代表への推薦状
□推薦者
・花井聖
□推薦理由
そんなわけで、圧倒的に浦和がイニシアティブを握った試合だったにもかかわらず、先制したのは徳島。ゴールの形はコーナーキックのチャンスで、サインプレー気味に意表をついたグランダーのキックを窪田が押し込んだもの。そのコーナーキックを蹴ったのが、この人、花井。デビューしたグランパスでは華麗なるテクニシャンとして将来を嘱望されていた選手だけあって、相手を欺くテクニカルなプレーはお手の物なのでしょう。
そんな選手が、なぜ徳島にいるのか。理由の一端は、この試合でも十分に垣間見れました。チームの戦術面との絡みもあるのかもしれませんが、まあ、動かない。いわゆる“パス地蔵”。そこは、徳島へと環境を移しても変わらないらしい。「かつての天才が徳島で再起を賭ける」という構図は柿谷と同じなのですが、そうは問屋が卸してくれそうにありません。こうなっちゃ、最後の最後、ザッケローニに再生を託すしかない!・・・なんて言ったら確実に叱られるものと確信しております。