え〜、だいたいこの季節には、東京を離れたところでサッカーを見たりしていますが、今年は万博記念競技場。ちなみに去年はヤマハスタジアムに居た記憶があります。
■前半
さて、前半。しばしば森保サンフレッチェについては、「ペトロビッチのベースを受け継ぎながらも、そこに森保さんが強固な守備戦術を植え付けた」と評価されます。実際、この試合でも、ペトロビッチ感満載に、それはそれは綺麗な415を形成していました。結局は綺麗な415なのですよ。
その415の「1」として、「4」と「5」をリンクしつつ、広島を牽引しているのが、ご存知、青山。オシャレでしたね〜。前半には積極的なシュートを見せる。しかも、なかなか小憎いというか、小賢しいというか、アウトにかけてスライスさせる感じのシュートを2本も。それから、ミキッチに一発で届けるロングパス。これまたスキルフルの巻。さすが日本代表という貫禄で、広島の攻撃を牽引しておりました。
一方のガンバはオーソドックスな442。2トップは遠藤(7)とリンス(9)。二列目が倉田(11)と阿部(13)。Wボランチが今野(15)と明神(17)。そうですね、7から17の奇数が美しく揃っている。しかも、前線からボランチにかけて、小さい数から大きな数へと。このあたりは几帳面な長谷川監督の面目躍如・・・でしょうか?
そんなガンバの攻撃陣で一際、存在感を示していたのが倉田。この倉田、まず、遠藤との相性が宜しい模様。左サイドやや真ん中寄りの位置で、近い距離関係を維持しつつ、互いにシンクロするようなスピード感で、小気味よくパス交換を繰り返していました。
そして、この倉田、同じサイドの藤春との相性も良さげ。上で述べたように、倉田は、神出鬼没に動きながらも、基本的には左サイドやや真ん中寄りにいます。そのポジションが絶妙。少し真ん中に寄っている分、藤春が爆走するコースは作れている。ただし、少ししか寄っていないから、藤春とワンツーとかができる距離にはいる。ガンバの左サイドは攻撃のストロングポイントになっていたと思います。
■後半
後半になると、まずは広島が押し返す。山岸も決して悪くなかったと思いますが、森保監督は後半頭から柏を投入するという決断を下します。すると、両ウイングの突破が前半にも増して活性化。柏もミキッチも、縦に突破して、いったん切り返して、本来のパターンとは逆の足で順接のクロスを次々に放り込んでいく。
受けに回ったガンバは、やや、タジタジ気味。どれくらいタジタジになっていたかと言うと、カウンターのチャンスにピッチラインでボールを受けた今野が、周囲の選手を探して、青黒っぽいシルエットを見つけたので、とりあえず、そっちに向けてパスを出したら、それはピッチラインぎりぎりで指示を出す、黒系のスーツを着た森保監督だったってくらいタジタジになっておりました。
とにもかくにも、全体を眺めてみれば、中盤で緊張感溢れる攻防が90分間続いた好ゲームだったと思います。両チームとも、ルーズボールに素早く反応して、しっかり相手を潰す。或いは、綺麗なタックルで相手を倒すことなくボールを奪いきる。ファウルで流れが止まってしまうってことがほとんどない、アクチュアルプレーイングタイムの長い前後半は、ホント、見応えがあった。尤も、これは、両チームの選手が互いにフェアだった結果なのか、審判のジャッジにヘンなクセがあったからなのかは、なかなか微妙なところですけど。
なお、試合は1ー1のドローで終わりました。ガンバの得点は前半、ショートカウンター気味のロビングに阿部が裏抜けして、最後は遠藤が仕留めたもの。一方、広島の同点ゴールは後半。ガンバの先制点と同じような感じで石原が裏抜けし、PKを奪うと、エースの佐藤寿人が貫禄たっぷりに決めたものでした。
■日本代表への推薦状
□推薦者
・FW遠藤保仁
□推薦理由
言わずもがなながら、遠藤は去年後半からFWで起用されていますよね。FW遠藤の効能は、万博記念競技場に隣接する「源気温泉万博おゆば」くらいあると思いますが、その一つとして、事実上のフリーマンゆえ、ポジションに気兼ねなく、受け手としてスローインを迎えにいけることが挙げられそうです。スローインを受けるのって、けっこう大変ですよね、実は。でも、遠藤くらい正確にボールを収められると、ひょひょいと出来てしまうらしい。
それから、ポジショニングですね。ボランチ本職の遠藤ですから、てっきり引いて受けたがるのかと思いきや、実のところ、守備のときも含めて、攻め残ることが多い。これは別に守備をサボっているわけではなく、前に残って逆襲の起点になった方が相手は嫌がるだろうという、的確な判断に基づくのでしょう。遠藤最大の長所は「常に冷静沈着で、精密機械のように正確な判断を下す」ところにあると思うのですが、そういうスーパーな才能はFWの位置でも発揮されるようです。