■シャルケ 1 vs 6 レアル・マドリッド[CL決勝T1回戦 2月28日]
豪華なコンビネーションからレアルが先制しました。前半10分と、ちょっと過ぎ。ベイルが中盤で相手をいなしてフリーになると、クリロナとワンツー。クリロナのリターンにはベイルではなくベンゼマが反応し、しなやかにシュートを叩き込みました。
レアルは、続けて追加点もあげます。再びベイルのボールコントロールが炸裂。単独ドリブルから2人くらいを置き去りにして、そのままシュート。それが決まってしまっては、シャルケ的にはお手上げとならざるをえないわけで。いやはや、個ですよね、個。
序盤は、比較的イーブンなのかな、って感じだったのですけど、立て続けにアウェイゴールを奪われたことでシャルケは意気消沈。時間の経過とともに、レアルの、クサビから一気にペースアップするメリハリ満載な攻撃にタジタジとなっていきます。
そして、シャルケは後半の10分くらいに、クリロナのゴールによって息の根を止められます。前半の2点目、ベイルが決めたシーンをリプレイするような、ドリブル突破からそのまま決めてしまったゴール。ホント、繰り返しになりますが、個なわけですよ、個。
こうなってしまっては、レアルのやりたい放題。4点目・5点目・6点目をあっさりと奪ってしまう。決めたのはベンゼマとベイルとクリロナ。それぞれ、この試合2ゴール目。全て、「前がかりになったシャルケからボールを奪うと、テクニカルかつスピーディーなカウンターを発動させ、そのまま決めきる」というかたち。くどいようですが、そこは個なのです、個。
そんなわけで、終盤にフンテラールが意地の一撃を返したものの、レアルが圧勝した一戦となりました。シャルケとしては、なかなか光明を見いだしがたいのですけど、ワタクシ的に印象深かったのはボアテンク。アタッカーというイメージを持っていたのですが、知らないうちにボランチの選手になっていたのですね。
もちろん、ブラジル風にいうと、1stボランチではなく、2ndボランチ的な役割を担っているわけですから、試合を通じて何度かスルスルスルとPA内まで上がっていきます。そして、一度そのときに見せたヘディングの高さが尋常でなかった。
そして、もう1つ尋常でなかったのが、オーバーラップを仕掛けた後の戻りの遅さ。他の選手がポジションを埋めてくれているので、ダッシュで戻っても、運動量の無駄遣いなのかもしれませんけど、思わず「お前は浦和時代の闘莉王か!」とツッコみたくなるってもんです。
一方、スコア通り、レアルは強かった。ここ数年で、もっとも「涼しげに強い」って状態にあるんじゃないでしょうか。モウリーニョ時代も強いことには強かったんでしょうけど、スペイン人の気質に合わなかったのか、余計な部分で騒がれていて、あまり「涼しげに強い」って雰囲気ではなかったですよね。
それに対し、アンチェロッティは、その辺のマネジメントが洗練されている模様。分かりやすくいえばカシージャス界隈がモウリーニョ時代ほど騒々しくないですよね。また、当初は不安視する向きもあったクリロナとベイルの共存も実現していますし。
なによりかにより、ペペですよ、ペペ。あの問題児キャラのペペが、なんと髪を伸ばしているじゃありませんか。スキンヘッドの強面だったのが、少なくとも遠目から後ろ姿を眺める限り、普通のサッカー選手に見えてしまう。これもアンチェロッティのマネジメントに違いないのですね、きっと、たぶん。