ロジカルを追求し尽くした2ゴールジェフ千葉vs京都サンガ(9月15日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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□前半

エルゴラッソ』などを参考にする限り、最近のサンガはアンカーを置いた433で来ると予想していたのですが、蓋を開けてみると、おそらく442に近い配置だったでしょうか。山瀬と三平の2トップに、2列目が駒井と工藤。ただ、やってるサッカーはいつもと変わりません。ゆえにジェフとしてはサンガが中盤でこねくり回すところにハイプレスをかけます。尤も玉砕プレスというほどのことはなくって、メリハリを利かせて、「行くときは行く」って感じ。そんなジェフのプレスに対して、サンガは「そんなことは先刻承知」と言わんばかりに、慌てることなく、愚直なまでに丁寧な捌きで相手のチェックを剥がしていきます。

ただ、序盤はジェフのプレスに引っ掛かることが多かったことも事実。結果、なかなかリズムを作れないまま、ジェフに先制点を献上します。コーナーキックからの流れに最後、押し込んだのはケンペス! と、思いきや田中!! ジェフあるあるですな。

てなわけで、ジェフが先制したわけですけど、どうにもこの日のジェフは宜しくない。その要因を探っていくと、なんとなく谷澤にいつもの輝きがない。で、なぜ谷澤が今一つ冴えなかったかと考えると、まず、同じサイドの高橋とあまりシンクロできていなかった点が挙げられます。谷澤が出したいタイミングで出したいスペースに、なかなか高橋が走り込まない。たまにパス交換が成功しても、そういうときに限って、すぐにボールを奪われる。まさに「うまくいかないときはこんなもの」って感じでしたね。

谷澤が輝けなかった理由として、もう一つ、主審の扇谷さんとの相性がイケてなかったというのもあるかもしれません。遠目で見るだけなんでなんとも言えませんが、序盤から谷澤が主審に文句タラタラで、主審は主審で「どうせ得意のダイブでしょ」みたいに‘けんもほろろ’な対応しているように見えなくもなく。挙げ句の果てにはスローインの際に遅延でイエローを提示されてしまう始末。・・・この日の谷澤は宜しくありませんでした。

□後半

とはいえジェフがリードしたまま後半戦を迎えます。サンガとしては攻めなければならないわけですが、なかなか同点に追いつけない。サンガサポーターとしては切歯扼腕の思いだったでしょう。なにがじれったいって、「止める」「蹴る」「剥がす」が丁寧すぎる。もちろん、基本の‘キ’を大切にすること自体はとても素晴らしいことですが、やはり、それには手間暇がかかる。どうしても時間がかかってしまい、最後のツメの部分で対応されてしまうんですね。

それから、もう一つ、止める蹴るをキッチリやるってことは、言うなれば、「必然をトコトン追求して、再生産が可能な方法論でゴールを奪う」ということです。このことは逆に言うと、偶発性と決別するということになります。そして偶発性を排除するということは痛し痒しで、偶発性ゆえに決まってしまうゴールを放棄することになりかねない。

それでもサンガはロジカルにロジカルを積み重ねて、同点ゴール、さらには逆転ゴールを奪い取ります。特に同点ゴールはすごかった。もうね、ゴールを決めた安藤なんて、サイドバックのはずなのに、ずっとPA内に張り付いているんですもん。クロスやら、ゴール前のワンツーやらの雨霰。ジェフも防戦一方のなか、岡本を中心によく耐えていましたけど、さすがにこらえきれませんでした。

逆転ゴールは兵働がボールを持って米倉がオーバーラップをしかけた瞬間にロスト。米倉が空けたスペースには伊藤がフォローに入っていたものの、あっさり駒井だか中村だかに振り切られ、折り返しに山瀬が飛び込みました。この得点自体は多分に偶発的要素もありましたが、そもそも、この試合を通じて駒井vs米倉という、ジェフから見て右サイドの攻防は京都が制し続けていました。要するにジェフ対策の常套手段を突いて京都は勝利したわけですから、京都としては完勝、千葉からすれば完敗だったといえるでしょう。

□日本代表への推薦状

・推薦者

ジェフのCBコンビ

・推薦理由

最終的には大木サッカーの軍門に完璧に下ったジェフ守備陣ですが、それでも山口・竹内のCBコンビのパフォーマンスは出色でした。サンガでショートパスを繋ぎながらも実は時折みせる、相手最終ライン裏に出す長短の縦パスが勝負パスだったりします。ジェフは前半から、その縦パスにきりきり舞いでしたが、最後の1vs1での対応で凌ぎきりました。

山瀬や駒井や三平や中村や工藤が代わる代わる飛び出してきて、前向きにボールを収めかけるのですが、百戦錬磨のCBコンビは余裕綽々でボールを奪ってしまう。この2人を見ていると、〈パターン練習による崩し〉の範疇を超えないレベルの攻撃、なんらかの‘スペシャル’のスパイスを欠く攻撃では、経験豊富なディフェンダーを攻略できないことがよく理解できます。