野津田vs中島翔哉を堪能しつつ、ジェフに残ったオシムのDNAに思いを馳せる【高円宮杯決勝】&【皇后杯決勝】の周辺をウロウロと…★テレビ観戦記★

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東京Vユース 1 vs 4 広島ユユース[高円宮杯U18チャンピオンシップ 12月18日]

両チームとも、東西それぞれのエリアで圧倒的な強さを誇っていたということなんで、「一進一退の拮抗した試合になるのかなぁ」なんて思っていたら、キックオフから1分経つか経たないかで、あっという間にサンフレッチェユースが先制します。

その後は、しばらくヴェルディのペースで進むのですが、前半の40分くらいから広島がカウンターに鋭さを増し、野津田と末広のコンビプレーで追加点を挙げました。〈寿人が潰れて、マークが緩くなった高萩のパスを浩司が決めた〉みたいなゴール。

後半になるとヴェルディも反撃。中島が蹴った大きなコーナーキックを、CB畠中がパワフルに折り返し、SB安在がももで合わせてねじ込みました。中島のキックと畠中の高さが光りましたし、左SBの安在がゴールに向かって右側にポジショニングしていたことも幸いしましたね。

追い上げられた広島は、野津田のミドルシュートで突き放します。解説の名波さんが仰るお通り、「無回転気味に蹴ったシュートが、結果的にアウトにかかってキーパーの逆を突くこととなった」もの。シュートコースが出来たことを「花道が開いた」と表現する名波さん、お洒落です。

広島4点目も素晴らしかった。選手交代で1トップに入った越智がサイドに流れてキープ。「時間がかかっちゃったかな?」って雰囲気になったのですが、そこで、敢えて相手守備陣を引付けて、ボランチのオーバーラップを促すと、折り返されたボールに走り込んだ平田がダイレクトで強烈なミドルを叩き込みました。

〈野津田と中島、すでにトップデビューしている両者が、ともに10番を背負い対決する〉という‘テレビ受け’するアングルの一戦を制したのは広島でした。広島の素晴らしいところは、ユースがトップのやりかたを、そのまま踏襲しているところ。

3421のシステムで、得点を決めれば弓矢パフォーマンスを行うってところが、まず共通しているのですが、サッカーの中身もかなり近い。攻撃的なイメージと裏腹に、両WBが最終ラインまで下りてきて、かなり守備的というのが似ていますし、攻撃のメリハリもトップチームと相似形。

ボールを奪うや、さしあたり前線の3人で素早く攻めきろうとする。それがダメなら、タメを作って、WBなりボランチの攻め上がりを促す、ここのメリハリですね。この辺りが、2012年のJリーグを制したトップチームに、かなり似ていました。

逆にヴェルディは、まぁ、442のショートパスサッカーなんで、‘ヴェルディ伝統の…’といえば、そういうイメージもあるんですが、2列目の二枚看板、中島と前田が、かなり流動的に動き回って、‘接近’を作っていましたので、京都のサッカーに似ていたように思います。狭い空間でパス交換を繰り返すのは、見ていて愉快なのですが、広島の人海戦術ディフェンスの恰好の餌食となってしまいました。

さて、この試合では片鱗を見せつけながらも、悔しい結果となってしまった中島君。この選手は、どことなくヴェルディっぽくないですよね。もちろんそれはプレースタイルのことではなく、見た目の問題。ヴェルディユース出身者て河野とか小林とか、遡れば平本とか、いかにもヤンチャな小生意気小僧って雰囲気が強くって、‘大人になる’という(そういうタイプにとっては)分厚い壁にぶつかり、そこを越えられず燻り続けるってイメージもなくはないのですが、中島君に関しては、石川遼君みたいな感じですし、そういう心配は要らなさそう。ヴェルディ昇進後も期待できますね。

INAC神戸 0 vs 1 ジェフL[皇后杯決勝 12月24日]

いやぁ、凄い試合でしたね。INACを向こうに回したジェフの大善戦が際立ちました。決勝点は後半ロスタイムにコーナーキックの流れから田中明日菜が押し込んだもの。王者の持つ‘勝者のメンタリティー’が勝敗を分けたでしょうか。

ジェフはキックオフからフルスロットルで守備的に戦います。‘フルスロットル’という単語は、あまり守備的戦術には用いないかと思いますが、この言葉がピッタリくるくらいアグレッシブな戦いをジェフは見せたと思います。

8番と11番が2トップだったんですが、この2人が自陣PA内にまで戻って守備をする場面が一度ならず見られたことに、この日のジェフが象徴されています。要するに、‘流動的’といえば流動的、金魚のナントカっちゃナントカなスタイルでINACに立ち向かったわけですね。

中継途中に流れていた事前インタビューで星川さんは、「いつも通り70%を越えるポゼッション率で完勝を目指します!」と述べていましたが、こういうバルサチックなチームに対して、ジェフのアグレッシブな守備戦術、玉砕的ともいえるハードプレスは、けっこう凸と凹で、噛み合わせがよい。ジェフとしては会心のゲーム運びとなっていたいました。

尤も、これは、INAC用の秘策ではないでしょう。準決勝の伊賀くノ一戦も同じような感じでしたし、少なくとも皇后杯期間における‘いつも通り’の戦い方だったかと思います。そして、このプレスは玉砕でもなんでもなく、延長PKにまでもつれ込んだ準決勝を生観戦したときの印象でいけば、97分間くらいは持続するようです。てなわけで、ジェフLはジェフLの良さを発揮して、勇敢に散っていたのでした。

そのジェフLを作り上げたのが‘ジャンボ’こと上村監督。この人ってオシムの薫陶を受けているんでしたっけ?ここまで縷々述べてきた、ジェフLの戦い方は、まさにオシムの戦術そのものですからね。男子トップチームが、‘脱オシム’と‘オシム路線継続混迷’の間を右往左往するうちに、すっかり全てを失ってしまったのに対し、女子チームにオシムのDNAが脈々と受け継がれているというのは、なんとも皮肉な話。

そんな上村さん。後半途中に清水選手が退くと、ベンチで迎え入れます。ここまでは、よくある風景。ただ、いつもと何が違うって、その身長差。高瀬やヤネズなど長身の選手を擁するINACと違って、ジェフLはちびっ子選手が多かったので、その小柄な選手と190cmの上村監督がコミュニケーションを取ると、非常にマンガチックな光景が展開されることとなります。

そんな小柄な選手が多いジェフの中で、唯一、高さを武器にしていたのがCFの小川選手。この小川選手、角度によっては鹿島の大迫選手に似ている。しかし、見ようによっては剛力彩芽にも見えなくもない。・・・ということは、三段論法を駆使すれば、大迫は剛力彩芽に同系統の顔をしているってこと???

うむ、気になって夜も眠れなくなりそうです。。。。