オリンピックグループ予選第2戦(男女)の周辺をウロウロと…【オリンピック観戦記】

                                  にほんブログ村 サッカーブログへ
にほんブログ村

スペイン五輪代表が、ユーロにおけるオランダ同様、78年前の在り方、「結局、ネタチームだよね」になってしまっている今日この頃、皆様におきましては如何お過ごしでしょうか?

ワタクシは別館4thDayMarketCentreをアップしております。

スペイン戦後の[スポーツナビ+]ブログの傾向と対策、その1

スペイン戦後の[スポーツナビ+]ブログの傾向と対策、その2

スペイン戦後の[スポーツナビ+]ブログの傾向と対策、その3

■なでしこ 0 vs 0 スウェーデンロンドンオリンピック 07月29日]

両チームとも、決して引き分け狙いだったわけではないですが、結果としてグループリーグによくある「勝ち点1を分け合うことで、両チームとも美味しい思いが出来た」ってパターンになりましたね。

スウェーデンは8番のシェリンという万能型でフィジカルにも優れた大エースがいますから、そこを使っていきます。結局、なでしこのパスワークというのは、バルサみたいに繋ぎ倒すというわけではなく、ショートカウンターに分類されるものですので、スウェーデンとしては、まずは「危険な位置で失わないこと」を重要視してきたということですね。

なので、グランダーなりハイボールなり、長いボールを素早く最前線にまで送って、危険な位置ではプレーしない、そして攻撃はやりきる、といった基本的な部分を大切にしていました。

そういった展開ですので、なかなか、なでしこ持ち前のワンタッチでのパスワークが発動されません。そこでクローズアップされるのが宮間。この選手は低い位置までボールを貰いに行って、そこから一発で相手ディフェンダーとキーパーの間のスペースに高精度のロングパスを出せますし、そういうプレーが好きですから、ドンドンと一発を狙っていきます。

ただ、そこには、「諸刃の剣」的要素もあるのではないかな、と。

湯郷では、例えばINACやベレーザなどを相手にしたとき、どちらかと言えば弱者の戦術を採用せざるをえないことも多く、そういう時には縦一本の必殺キラーパスが非常に効果を発揮するのですが、なでしこで、あまりそういったプレーばかりが多くなると、チーム全体のパスワークに悪い影響を与えるのではないか、パスワークのリズムを阻害してしまうってこともあるんじゃないか、なんて気もします。

できれば短いパスを5本、10本と繋ぎながら、ジリジリと相手を揺さぶりつつ、ゆっくりゆっくり攻めるって時間帯を、前半の早いうちに作れると、長い時間に渡ってペースを握り続けるって試合展開になったかもしれません。

実際に、後半も25分を過ぎた辺りから、近賀選手が積極的にオーバーラップを繰り返すようになると、さしもの宮間選手にも、その近賀選手を使うためのグランダーパスが増えました。そして、それに歩調をあわせるように、チームとしての決定機が増えたことは、ただの偶然じゃないでしょう。

しかし、それでも、最後のところで点が入らない。具体的には大儀見が決められない。別に彼女を批判する意図はありませんし、プレーの質そのものは全く悪くない。ただ、カナダ戦も含めて、どこか「持ってないな」感が漂うのですね。

男子で言えば清武選手と、なんだか状況がカブる。しっかりプレーしていて判断も悪くない。シュートをふかしたりすることもなく、概ね「さすがは良い選手だなぁ」ってプレーを繰り返しているんですが、なぜか得点が決まらない。よくいうところの「今日は、この人の日ではなかった」ってのが続いているんですよね。この両選手って。男子にせよ、女子にせよ、歴史的な快挙に到達するためには、清武なり、大儀見なりの「風の吹き回し」が幸運な方向に傾かないと厳しいでしょうから、とりあえずお祈りしましょう。

■日本 1 vs 0 モロッコロンドンオリンピック2012サッカー男子予選 07月30日]

永井のスーパーゴールで勝った試合です。グランパスに入ってからは、スペイン戦のようなスピードの生かし方、狭い空間でも加速度の早さで相手を上回るって感じの活躍のしかたをしていましたが、今回は、福岡大学時代、年代別代表(つまり、このチーム)に招集されてスポーツニュースなどで取り上げられていたときに見せていたようなプレー、広大なスペースを1人で爆走して相手を振り切りシュートを流し込むってゴールでした。

にしても苦戦しました。堅い試合というか、拮抗した試合というか、重い試合というか、なんというか「見ていてつまらない試合」と感じた人も少なくないのではないでしょうか。

序盤は「つまらない」なんて言ってる場合でもなかったですけどね。モロッコの攻撃にタジタジとなっていました。

前のエントリーで「スペインの攻撃はJリーグでもよく見られるパターンのやつ」と書きましたが、この日のモロッコは、それとは対照的に、「Jリーグでは、あんまり見かけないやつ」でした。具体的には前線の4人、7番のラビアド、9番のアムラバト、10番の茨田、、、もといバラダ、11番のビダウィのカルテットに手を焼きました。

基本的に、モロッコは「少ない手数で攻めきる」っていう、大まかに言えば「非ポゼッションサッカー」だったと思います。で、Jリーグで「少ない手数で攻めきる」といえば、グランダーのパスによるショートカウンターか、ロングボールを前線の選手の頭にめがけて放り込むってパターンが多いのですが、モロッコは前線の選手の足下にロングパスを送り、前線の4人も、それに応えて正確なトラップでピタッと足下に収めるってサッカーをやっていました。

誇張すれば、セリエAに似た感じのスタイルのサッカーとも言えるかもしれませんが、普段あんまり経験しないアタッキングに、やや面食らったのか、単にそもそもカラダが重たかっただけなのか、ともあれ、序盤はリズムを作れませんでした。ただ、それでも前半の中頃くらいからは、概ねイーブンに盛り返し、後半は、日本のペース。

ただ、攻撃は停滞しました。それもモロッコのサッカースタイル、戦術による影響が大きいでしょう。モロッコは6人で守り、4人で守るっていう攻守分業サッカーでした。後半、23度、右のジェップールがオーバーラップしていましたが、サイドバックは殆ど守備専従でしたし。そうそう簡単にシュートまでってわけにはいかなかったようです。

で、攻守分業、あるいは「6人で守り、4人で守る」って意味では、日本もモロッコも似た部分があったと思いますが、最大の相違は、日本の前線が4人+αのパスワークで相手を崩そうとしているのに対し、モロッコの場合、個の突破力に託すって部分が大きく、そういう意味では対照的でもあったわけですが、日本のパスワークは不発でした。

東が存在感を示せなかったこと、扇原がうまくフォローアップできなかったこと等、いろいろ日本側の不出来もあったんだと思いますが、それはともあれ、コンビの日本と個のモロッコという構図の中、永井の「個」が勝負を分けたというのは、なんともかんとも、皮肉というか、あんまり単純に大喜びしている場合じゃないのかもしれません。