一昔前の戦術だからって悪いとは限らない、可能性も考慮に入れてテレビで見た3試合の周辺をウロウロと…

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チェコvsペルー

キリンカップ、日本でない二カ国の対決だったわけですが、こういう地味な試合にこそ、ひねくれ者の情熱は疼いてきたりします。夜中の録画中継を、次の日の朝に見たりしました。

やっぱり、日本代表の国際的立場を踏まえると、こういうクラスの国を呼ぶのが最善かもしれませんね。これ以上に強い国、アルゼンチンやらといった、ワールドカップでも優勝候補の一角に挙げられるような国だと、どうしても物見遊山の小遣い稼ぎ的雰囲気が出てしまいますが、ワールドカップ出場の当落線上にいる国だと、相手国にとっても、日本というのは、絶好の腕試しになりますから、本気度の高い試合になりますよね。

当然、チェコにとってのペルー、ペルーにとってのチェコだって、「ちょうどよい相手」なわけで、この試合においても、なかなか白熱した真剣勝負が展開されていました。

なかでも、見応え十分だったのは、チェコが攻めるコーナーキックにおける、ネチドvsラモスの小競り合い。相当ハードにやりあっていましたね。一度、主審に呼ばれて両者にイエローカードが出された後も、延々とポジション争いを繰り広げていました。こうやって、招待した国同士がムキになってくれると、招待した側に属する我々も嬉しくなります。それと、こういう小競り合いのディテールはスタンドからではわかりづらいので、テレビ観戦の妙味を味わえたりもして得した気分です。

試合内容についてですが、両チームが多くの選手交代をするまでの時間、概ね後半20分くらいまでは、明確にペルーペースでしたね。ペルーの場合、「ファルファンが先発していれば!」って感じだったのに対し、チェコの場合、「ロシツキーがいてもなぁ」って感じだったと思います。

日本代表vsチェコ

やはりTBSの解説陣は良いですね。ペルーvsチェコのときの水沼さんもそうですが、金田さんも、ちゃんと大人の意見を聞かせてくれます。

特に「頭で理解することと、体が反応できるようになることでは、全く時差がありますからね」という発言には痺れました。ペルー戦の不出来を受けて、「ザックの343では通用しない」なんて意見が飛び交いましたが、正しい理屈を指揮官が提示し、選手がそれを理解したら、すぐさま上手くいくほど、スポーツって単純じゃないと思うんですね。

より厳密には、頭の中で理解できれば、すぐに行動に落とせるほど、人間という生き物は上等に出来ていないと考えます。むしろ、ある戦術を実行できるようになるための訓練は、頭の中で理解してからこそが本番なわけで。

「ザックの343は通用しない」という議論は、現時点で、すでにある程度「ザックの343」が浸透している、或いはザックの意図が相応にピッチ上に反映されている、ということを前提としていると思いますが、たかが数日の合宿で、選手が監督の意図を実践できるようになるなら、或いは、頭で理解したことをそのまま実行できるのであれば、サッカーの練習はグランドではなく、会議室で行えばよいわけです。

ザックも当然それはわかっているのでしょう。アジア予選を突破してからでは間に合わないというのが目に見えているからこそ、敢えて、この時期に新たなチャレンジをしているんだと思います。

近視眼的な一喜一憂は、サポーターの特権ではありますが、余りにもそれが過剰すぎて、「応援する気持ちが却って足を引っ張る」という結果をもたらさないように注意しなければなりません。

ちなみに、この試合に限れば、ザック流343は、遅攻のなかで両WBが攻め上がり、事実上「325」のような形になったときに、迫力を感じました。

マリノスvsレイソル

レイソルが首位にいる理由がよく伝わってきましたね。

とにかく攻守の切り替えが早い。相手にボールを奪われた後の守備への戻りが早いのは、ある意味、グッドチームとして当然なんですが、柏の白眉はマイボールになったときの動き出しではないでしょうか。

味方がボールを奪った次の瞬間には、既にパスコースができている。決して1人1人が長い距離を走るわけではないのですが、多くの選手が連動して動き出すことによって、パスの出し手が出し所に困ることのないような仕組みが完成されています。

早い時間帯に先制したこともあり速攻が目立ちましたが、遅攻なら遅攻で、SBのフォローアップのタイミングが絶妙でしたし。

対するマリノス。先週の三ツ沢で見た試合でも感じたのですが、木村監督の嗜好性と渡邊・大黒両FWのプレースタイルとの相性が、余り良くないのかもしれませんね。

今年のマリノスの目玉政策といえば谷口選手のトップ下起用ですが、「縦へのダイナミックな推進力」という武器を封印させてまでも谷口選手を一列あげたのは、この試合を見る限り、「コート中央で(左や右に流れることなく)ポストプレーをこなす」、「センタリングを起点とした攻撃でゴール正面からシュートを撃つ」というタスクを期待してのことだと思われます。

これって、かつて木村監督が現役だった時代における典型的なCF像と一致しますよね。木村監督はFWに、「ゴール正面での活躍」を求めているのではないでしょうか?

そうすると、大黒選手は、混戦のなか体を張りつつ泥臭くシュートを撃つことより、裏に抜け出し一発で決めることに長けていますし、渡邊選手は、基本的に左右に流れてボールを貰いたがりますから、木村監督のお眼鏡に叶いづらいということになります。

この試合、ハーフタイムに両FW2人ともを下げて、キム・クナン、小野両選手に入れ替えましたが、それは木村監督の「FW観」によるのかもしれないなぁなんて感じたりしました。