レベル5スタジアムの最寄り駅って地下鉄の「福岡空港」駅なんですね。せっかくなので、試合後、祇園町のビジネスホテルにそのままチェックインせずに、空港のお土産屋さんを冷やかしてみたところ、なんと出発ロビーで新潟サポが選手にサインを貰ったり、プレゼントを渡してたりする場面に遭遇しました。
というわけで、新潟の良かった点などを書いていきます。
この試合、新潟と福岡とでは似ているようで、それでいて決定的に異なる点がありました。それは、メンバーリスト上のFWで、おそらくセカンドトップに相当するであろう選手のややこしいポジショニングについてです。
アビスパは成岡選手がFW登録で、実際に左右ウイングの松浦・岡本両選手よりもゴールに近い位置に居ることが多かったように思います。成岡選手の場合、ジュビロでも同じような役割を担っていましたし、特にオカシなことでもないのですが、それなりに自由な位置取りが許されているにもかかわらず、消えている時間が長かった。そんなところまでジュビロ時代のスタイルに固執しなくても良いのに…みたいな。
対する新潟はミシェウ。FW登録ながら、とてもFWとは思えないポジションを取る。昨シーズンもそうでしたが、完璧なるフリーマン。DFラインと中盤(ボックス)の「44」に、最前線のブルーノ・ロペスを加えた「441」を基本として、後は適当にミシェウが入ってくる。「441ミシェウ」、この場面の「ミシェウ」は固有名詞であり、ポジション名でもあるわけですが、とにかく、そういう感じ。
で、ミシェウ、去年のエントリーでも書きましたが、とにかく自由人。自分が居たいタイミングで、自由の好きな場所にいる。もう、ボランチなんだか、SHなんだか、ウイングなんだか、さっぱり分からない。
そして、そうやって縦横無尽に動き回るミシェウは、ボールに絡むことが抜群に上手い。しかもキープして前にパスを出せる確率が非常に高い。
新潟の攻撃、なかんずく遅攻については、殆どがミシェウから始まっていました。中盤前線における「預けどころ」として、見事なまでに機能していたわけです。
他にもミシェウ選手は、おしゃれアウトサイドキックでこぼれ球をシュートしたり、うっかり先制点を上げたりの大活躍。イエロー2枚で退場した成岡選手とは、対照的な出来映えでした。
とはいえ、前半の新潟は余り良くありませんでした。アルビレックスが試合の主導権を握り出すのは、後半に入ってからです。
後半の新潟は、突如としてサイドアタックが活性化します。左サイドのチョ選手は、いつものように前半から突破力を散発的ながら発揮していましたし、酒井選手の攻撃力についても、今さら説明の必要もないでしょう。左サイドは放っておいても最低限の仕事をするわけですが、この試合の後半は、西選手の放出を受けて新加入した藤田選手の攻撃参加が多くなりました。札幌サポの心中や如何に。
で、後半になって、新潟の攻撃に迫力が増した要因として、三門選手の働きが挙げられると思います。前半の三門選手は、お世辞にも良い出来だったように見えませんでした。
三門選手って、元はボランチの選手でしたっけ?前半は余り右SHが板についていないと思わせる場面も少なくなかったかと。クロスを入れる意識も希薄に感じられましたし、真ん中に入っていきたがる。藤田選手との息も今ひとつ合っていませんでした。
余談ですが、新潟の三門選手と、元仙台の三澤選手の区別が付かないのはワタクシだけでしょうか?ああ、そうですか。そうですよね、やっぱり。
話を戻します。そんな(どんな?)三澤、、、じゃない、三門選手、後半になると急に存在感を示し出します。なぜか藤田選手とのコンビネーションが突如として冴えはじめるんですね。大外を追い抜いていく藤田選手に三門選手がスルーパスを出すって場面が、後半になって、目に見えて多くなりました。
それに加えて、「サイドに入ったセンターの選手」というギャップもポジティブに作用しはじめます。再三、述べてきたようにミシェウ選手は、あんまり指定の位置にいません。さらにチョ選手がカットインしたり右サイドに流れたりするなどして、かなりの度合いで全体のポジションがぶれました。流動的というか。で、そうすると、誰かがバランスを取らなければならないわけですが、その役割と、真ん中に入りたい病を罹病している三門選手との相性が非常に良かった。
人工密度が低くなったポジションを埋めているだけのはずが、自然とボールが集まり出すという好循環が、偶然か必然か、とにかく発生しており、しかもそれが悉く新潟の潤滑油として効果的に機能していました。
さて、もう1点、話題を変えます。新潟の二点目は新加入のブルーノ・ロペス選手が叩き込んだものです。この選手についても簡単に触れておきましょう。
ブラジル人選手の発掘が非常に上手いと評判の新潟スカウト陣。このブルーノ・ロペス選手についても、少なくともハズレではなさそうです。
試合を通じて消えている時間帯がないわけではなかったですが、前後半を通してポストプレーに対する意識は非常に高かったと思います。潰れることを厭わずターゲット役を担おうとする献身性に不足はないかと。また、献身性という意味ではチェイシングも、それなりに熱心だったような印象が残っています。
加えて、さすがはブラジル人。スペースがあるときのドリブルは大好きそだし、しかもゴールまで決めているわけです。
ですから、新潟の心配はブルーノ・ロペス選手が機能するかどうかではなく、浪速方面でアドリアーノ選手がフィットしなかったり、宇佐美選手やイ・グノ選手が海外移籍したりしたときの「魔の手」なのかもしれません。