サッカー選手も人間ですよね。一口に4ー3ー3と言っても複雑ですよね。そんなお話し。
先日の川崎と城南の試合、見に行ってきました。フロンターレには、この勢いのまま中国に乗り込んでもらいたいものです。
さて、ご存知の通り、3ー0で川崎が快勝し、無敗の城南に土をつけた、そんな試合です。
実はこの試合で、フロンターレは4回、相手ゴールネットを揺らしているんですね。つまり、オフサイドで取り消された幻のゴールがあったわけです。シュートを打ったのは黒津選手。
このシーンを見ていて、少し微笑ましいものを感じたので、いささか駄筆を滑らせてみようと思います。
このシーン、相手ディフェンスラインの裏で味方からの縦パスを受けた黒津選手が、そのままシュートをゴールにねじ込むという流れだったのですが、ボールをもらった瞬間、オフサイドだとわかったんでしょうね、黒津選手の動きが一瞬止まって、周りをキョロキョロ見回しました。で、ホイッスルが鳴っていなかったので、「あ、続けなきゃ」と思い直し、シュートを打つ。で、シュートの後に、ラインズマンがドタドタ追いついてきて、フラッグを上げる。黒津選手を筆頭に敵味方を問わず、観客席も含めて、「ですよね」みたいなテンションになって、粛々と次のプレーに移行しました。
一連の流れの中で、ボールを受けたときの、瞬間的な黒津選手のリアクションがとても面白かった。「やべ、俺オフサイドだ」ってモードになっていたのが、観客席から見ていても、すぐにわかりました。
何というか、おすましな美人のキャリアウーマンさんが、ハイヒールで躓いて、その一瞬だけ、ついつい舌を出して、「テヘっ」てなっちゃう、みたいな。
全く間に合っていなかったので、たぶんラインズマンは、黒津選手とか、その周辺の選手の挙動で旗を上げたと思うんですね。
黒津選手があたかも「オフサイドなんて、あるわけないじゃん」みたいな感じでプレーしていたら、ゴールが認められていたかもしれない。だから、厳しい見方をすれば、黒津選手のあり様はプロのFWとしては、適切でなかったかもしれない。
サッカーに造詣の深い方々からすれば、「ストライカーはエゴイストでなければならない。イタリアのFWは、なんとかかんとか。インザーギだったら、うんぬんかんぬん」と仰られるところかもしれませんが、個人的には、黒津選手の思わず露呈してしまった“人間臭さ”が、けっこう好きだったりします。
「だから?」と言われると大変困りますが…
川崎といえば、第一次高畠政権期から、4ー3ー3ですよね。この試合も、そう思って見ていたのですが、素人目には少し困惑させられる場面もありました。
CHのはずの田坂選手が、その割には高い位置で右ワイドに張り出すことが少なくなかった。一方、田坂選手と理屈の上ではペアになる谷口選手は比較的、稲本選手と良い距離感を保っていました。さらに、レナチーニョ選手に至っては、気分のまま(?)な感じのポジショニング。あるいは、登里選手と田坂選手が2列目に入る4ー2ー2ー2かなとも思いましたが、登里選手は田坂選手ではなく、明らかにレナチーニョ選手との関係性に規定された位置取りをしていた。だから、『エルゴラッソ』にもそう書いてありましたし、基本4ー3ー3だったんだと思われます。
で、そんなことを考えていると、古くて新しいと言いますか、古くて古いと言いますか、とにかく「フォーメーションって、何?」という、古典的な疑問が湧いてくるのですね。
例えば、岐阜の監督(倉田さん?)は、試合後のコメントで「4ー2ー2ー2だとこうなって、4ー1ー3ー2だとあーなって」みたいなことを、こと細かに論じられていた。フォーメーションなるものを非常に重要視されているんだろうなと推察されます。
一方でオシムさんなんかは「フォーメーションは保障でしかない」なんて言葉を残していますし、「フォーメーションはスタートの位置以上のものではない」という考え方も、よく耳にしますよね。
きっとフォーメーションなる概念に如何なる価値を与えるかは、指導者や選手、サポーターの中でも、「人それぞれ」としか言いようがないのでしょう。
ウイイレとかでは、たぶんフォーメーションって凄く重要になってくるんだと思います。ワタクシは全くやりませんので知らないのですが、ウイイレとかでも、「フォーメーションが流動的で複雑怪奇なチーム」とか、「ポジションをいっさい守ろうとしない選手」みたいな設定ってあるんですかね??
さて、最後に、試合の内容についても蛇足を書き入れます。
テレビのスポーツニュースなんかでは、ケンゴ選手が投入されてすぐに、黒津選手へ絶妙なスルーパスを送り、そこから得たPKでだめ押しをしたシーンが取り上げられていたかと思います。
ただ、ケンゴ投入以前から、同じような場面はあったんですね。
前がかりな相手の裏を前線の選手が独走して、相手ディフェンダーがファウルで、時には警告と引き換えに止める。てな場面が一度ならずありました。
そういう意味では、ケンゴありきの戦術が、ケンゴなしでも局面的には機能させられる、そんなチームに川崎はなってきたのかなぁ、なんて感じたりもします。
以上モロモロ、皆さま如何お考えですか?