5分間の川崎劇場〜川崎vs仙台(10月14日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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えと、この試合は「3連戦ダービー」です。ルヴァン連戦の後のリーグ戦、3戦全てが「仙台vs川崎」。だから「3連戦ダービー」。“ダービー”の定義とは何ぞや!?

■前半

序盤から両チームの小気味よい攻撃が相互に繰り返されるような、見ていて気持ちの良いマッチアップ。フロンターレのパス回しについてはすでに何年もの蓄積と定評がありますが、どちらかというと守備的なイメージの強い仙台が、こんなにもテンポの良いパス回しをするようになったんですね。2得点を奪ったという結果もそうですけど、そこにいたるプロセス、単純に中盤のパス回しを見ているだけでみ、普段の訓練の痕跡が確認できます。

 

 

やや攻撃的に舵を切った仙台ですが、攻守のバランスは「守備的な布陣をベースに攻撃的な選手を多く起用すること」によって担保されている模様。3421ですから、守備時には541になる。いざとなれば守備的に徹することのできるフォーメーションなのですが、例えばサイドに中野を置くなど、攻撃のタレントを多く起用している。特に顕著なのは、奥埜と三田というWボランチですね。攻撃的な2人が中盤に配されていることで、格段に構成力が高まっております。

 

 

対するフロンターレ。キックオフからしばらくのフロンターレは、攻撃が左に偏重していた印象があります。ベガルタ右サイドは、少なくとも左の中野よりはDF属性の高い古林だったのですが、むしろこちらが狙い目だったんですかね。ただ、余りにも左ばっかりで、なかなかそれ以上の突破口が見つからない。ってなこともあってか、途中から家長と三好の左右を入れ替えてきました。家長が右に来ると完全にフリーマンになりますから、ボールを受ける範囲も広がり、全体のバランスが改善しました。

 

 

ついでにいうと、サイドに張らなくなって、真ん中に入りまくるので、憲剛とパス交換する場面も増えました。いやぁ、家長と憲剛のコンビプレー、往年の翼と岬を彷彿とさせるよ。お若い皆さまには通じないかもしれませんが。でも、家長に惚れ惚れしたのは、ここまで。だって、家長、退場しちゃうんだもん。ネットなどでは2枚目があれこれ取り沙汰されているっぽいですが、1枚目のシミュレーションも相手のファールへの報復っぽい意図(ヤンチャなプレーにはヤンチャなプレーで返すぜ!的な)を込めたダイブに見えたのはワタクシだけでしょうか?

 

 

 

■後半

前半のうちに1人少なくなって、かつ先制までされた川崎。「引き分けでオッケー」ってわけにはいかない。そのためには家長退場後は左サイドに移動していた憲剛をセントラルに戻したい。なので森谷を下げてアタッカーを入れるのかな、とか思ったのですが鬼木監督は強気です。森谷ではなくネットと長谷川を交代させました。これは妙手でしたね。憲剛に「トップ下兼ボランチ」。長谷川に「左SH兼FW」の役割を託して、数的不利を相殺しようとした。合理的です。

 

 

ちなみに仙台の先制点は、ダイナミックな展開から野津田が決めたもの。野津田、将来を嘱望された広島ユース時代からトップ昇格して、清水にレンタル移籍。いまひとつ伸び悩みというか、本領を発揮できないままきていましたが、仙台に移籍してからは“水を得た魚”状態のようですね。この選手の左足ドッカンをいかにして生かしていくか。まだまだシチュエーションを選ばないと輝けないのかもしれませんが、ともあれ、このまま頑張ってくれ。

 

 

ともあれ、反撃を試みる川崎をあざ笑うかのように、仙台は追加点を決めて引き離します。映像で見れば石原の綺麗なゴールだったんですが、スタンドのワタクシの角度からは、どういうわけだか奈良か誰かのオウンゴールに見えたよ。にしても、この時間帯までの仙台は試合巧者というか、勝負強かった。まるで、茨城県臨海部方面の特産物たる“カシマる”が常磐線経由で白河の関やら勿来の関やらを越えて、仙台平野にまでお届けされたよう。

 

 

でも、川崎は諦めない。ここで森谷に代えてハイネルを投入。攻撃的も攻撃的、超攻撃的に勝ちに行きます。ハイネルと三好と憲剛でピッチを4分割したときの右上をどうにしかしよう作戦。それが5分間の川崎劇場の呼び水となります。そう、皆さんご存知の通り、5分間の内にミドルシュート3発で逆転してしまいました。いやぁ、凄かったですよ。スタジアムの雰囲気。「大逆転するときって、こういう空気感になるんだなぁ」と改めて実感させられました。アッパレ。

 

 

 

■日本代表への推薦状

 

□推薦者

・サポーターの作法

□推薦理由

ヨーロッパとか、いわゆる“ワールドスタンダード”は知りませんけど、日本のスタジアムでは、審判のジャッジに対する不満表明は作法化されてきましたね。そもそも、特に日本人のメンタリティ的に「(バカ正直に)公正に!」ってのがあるから「ホームアドバンテージにならないように!」って意識の強い審判さんが多い。その結果“ホームディスアドバンテージ”現象が多々見られる。審判への不満は露骨なホームアドバンテージに対してではなく、逆方向に向けられることが圧倒的だと感じます。

 

 

この試合でも、その傾向が顕著で、家長の退場はさておいても川崎サポにはストレスフルな笛ばかりだった。ハーフタイムでは一斉にブーイング。その様子が美しかった。なにが美しかったって、ブーイングしながらも、徐々に選手を鼓舞するコールが上回っていく絶妙なハーモニーが美しかった。そして、だからといってメインスタンドの貴族的な富裕層(?)も優雅に構えるのではなく自らブーイングに手を汚すこと厭わない。そして大逆転勝利の劇場の余韻漂う状況であっても、審判団が下がっていくときには大ブーイング。これで良いと思います。ブーイングの文化には賛否両論あるでしょうし、ブーイング嫌いの方々を批判するつもりもいっさいありませんが、スタンドやネット上での罵詈雑言ではなく、ブーイングでネガティブな感情をぶつけるというのが、日本サッカー界の作法としては最大公約数的になっていくのかな、と思います。