Jリーグ的指揮官同士によるJリーグ的好ゲーム〜長崎vs金沢(3月18日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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バカンス真っ只中。広島から長崎へ。戦後日本の繁栄の起点となるシンボリックな2都市ですが、修学旅行なりなんなりで、その辺の学習は経験済みですので、今回は純粋にフットボールを楽しみます。

■前半

高木琢哉と柳下正明、かつての青年監督もいまやキャリアをたくさん積んで、貫禄さえ感じるのはワタクシだけでしょうか。どちらも、その特徴は「安心安全」とか「信頼と実績」みたいな感じ。特別に目立つようなところはないものの、確実にチームを仕上げてくる。そのうち、柳下さんは4バックのイメージが強かったのですが、金沢ではトレンドに漏れず3421を採用していて、この試合のマッチアップはミラーゲームとなりました。

 

 

基礎をみっちり叩き込む系の好指揮官同士の対決で、システムもミラー状態となれば、一般論的には、詰め将棋を見ているような固い固い展開になりそうなところですが、スコアがポンポンポンと動きます。まずは開始早々、コーナーキックをヘディングでズドン、長崎が先制します。しかし、長崎は最終ラインのもたつきをかっさらわれてしまい追いつかれてしまう。まあ、セットプレーとミス絡みですからね、失点のしかたとしては、教科書的。両指揮官のカラーを反映していると考えられなくもない。

 

 

セットプレーやミスでの失点って、英単語のテストでナイフを「n」から始めたり、読みを「クナイフ」って発音しちゃったりするのと同じくらい教科書的な過誤ですよね。ついでに言えば、得点者が長崎の先制点は木村で、同点弾が金沢の西川。どちらも3トップの真ん中、要するにCFなわけで、スコアラーがCFというのも、なんとも教科書的ではなかろうか。やっぱり、両指揮官のカラーを反映している。

 

 

そんな、イメージがかぶってしかたない両チームですが、それゆえ、個の差というものも浮き彫りになる。個については、明確に長崎が上でした。島田と養父からなる魅惑のWボランチといい、木村と澤田と幸野からなる魅惑の3トップといい。なかでも、島田の黒子っぷりは素晴らしかったですね。「気づけば、そこに島田」みたいに、守備も攻撃もどちらもですが、特に守備において、「面倒事は全て島田が処理してくれます」状態でした。

 

 

 

■後半

さて、後半。前半のうちにもう1点、スコアが動いていて、翁長のミドルで長崎が勝ち越してました。左アウトサイドの選手が、右に持ち替えてデルピエロゾーンからのミドルシュート。このパターンも、やっぱり教科書的だったわけですが、特筆すべきはそこではなく、後半に入っても、両チームとも連動したプレスが衰えなかったところ。いくら春先のナイトマッチで走りやすい気候だったとはいえ、「鍛えられたチームは違うなぁ」と実感させられます。

 

 

ゲームがともかく引き締まっているのですよ。特に守備が。良くも悪くも90分間つぶし合いがエンドレス。逆にいうと、双方ともに自分たちのカタチで攻撃をしている時間が短いということですから、それぞれの必殺パターン、エグいヤツってのが、よくわからない。上品な表現をするならば、「クセがない」。どれくらいクセがないかというと、千鳥のノブが激怒するくらいにクセがない。

 

 

例えば、アンジャッシュの児島が、名字を間違えられて「児島だよ!」ってツッコミたいのに、敢えて周りが間違ってくれず、「間違えろよ!」ってなるときのように、ノブ的には「『クセがすごいんじゃ』って言わせ〜よぉ」ってツッコんでしまうくらいにクセがなかった。敢えてクセを挙げるなら、金沢はボールを奪うとゴールに向かって一目散な雪崩アタックであったのに対し、長崎はボールを奪うとサイドに一目散してからクロスを入れていくといったくらいの差はあったような記憶がなくもない。 

 

「ボールを奪うとゴールに向かって一目散」と表現しましたが、要するに金沢は縦ポンなんですよね。でも、それを非難するのはお門違い。まずはじっくり時間をかけて守備などベースの部分を作り上げる。中途半端に攻撃への色気を見せて自滅しない。そういうところが、いかにも柳下さんらしい硬派っぷり。垣田を投入して、とにかく圧をかけて同点を目指しながらも、怪人ファンマの奮闘などもあって結局は追いつけなかったですが、それは、この段階において不可避的に発生する成長痛みたいなものでしょう。

 

 

 

■日本代表への推薦状

□推薦者

・高木琢哉

□推薦理由

アジアの大砲も、すっかり白髪のダンディズムを漂わせるようになりましたね。そして、何年か前からはお隣(厳密には隣の隣?)でアジアの壁が、やはりダンディーに指揮を採っていたりする。そんな高木さん、監督としては、実は凄い実績の持ち主。だって、あの「オーナーの前ではカズを使わなければならない」というムリゲーなハンデを背負わせられるチームをJ1に昇格させるというミラクルを成し遂げているのですから。

 

 

その後、ヴェルディでは、あの地獄の転換期を押し付けられ、ようやく故郷に安住の地を見つけたかと思いきや、去年(それより以前から?)は、とんでもない社長の非道無道という、これまた地獄のハンデを背負いながらも、チームを壊滅させなかった。これは、たぶん、なかなか凄いこと。きっと、ジャパネット体制になったら、もっと監督業だけに集中できるのでしょうし、高木と高田のフゥッフゥッ!夢のハーモニーを期待しましょう!