ホンダの強さ、FC東京の強さ〜FC東京vsホンダFC(11月9日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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天皇杯の季節ですね。醍醐味はカテゴリーが違うチームのマッチアップ。ってなことで極寒の味スタへ。

■前半

事実上、FC東京のホームゲームとなった一戦。J1でも終盤は無敵の強さを誇ったFC東京に、快進撃を続けるJFLのホンダが挑みます。カテゴリーの順番でいくと1部リーグのチームと4部リーグのチームによる対決となりましたから、いくら代表で守備の2枚看板を欠くといっても、普通にやればFC東京が勝つはずの試合。果たせるかな、序盤からホンダは圧倒的にポゼッションされ、ハーフコート状態で自陣に釘付けとなります。

 

 

ただ、「天皇杯」と書いて「げこくじょう」と読む。あるいは「ばんくるわせ」と読む。得てして、こういう構図の試合では、一見、押されているように見える“格下”のチームが先制したりするものです。これぞ天皇杯の罠といいましょうか、前半の18分にホンダFWの久野が抜け出して、まんまと一撃くらわせました。しかも、このゴールのミソは決してラッキーパンチではなく、見ている側としても納得するような、必然性に溢れた先制点だったこと。

 

 

確かに、序盤から(厳密にいうと、時間の経過とともにそうでもなくなったので、序盤“だけ”かも)、ホンダは守備に人数をかける“弱者の戦術”を採用しているように見せていました。でも、ホンダは“まやかしの弱者”でした。だって、攻撃に移ったら、FC東京以上に細かなパスワークを披露していたんだもん。当然、そのシチュエーションにおいては、5人とか6人とかが相手ゴール前まで押し寄せている。攻撃にも人数かけまくりなわけです。

 

 

というか、普通に上手いのですよ、ホンダの選手たち、技術レベルが。特に目を引いたのが、止める蹴るの正確性ですね。きちっとトラップして、ちゃんとマイボに収め、そのタイミングにおいては周囲も丁寧に三角形を作ってあげているので、苦し紛れのキックでなく、ロジカルに確保されたパスコースへと繋いでいく。パスコースがあるということはドリブルのコースもあるということ。そう、ホンダのサッカーは、“正確な止める蹴る”と“次のプレーへのコース作り”を特徴としているという意味で風間サッカーに似ているのです。

 

 

 

■後半

先制された後、FC東京の攻撃は停滞しました。その理由は、上で述べたようにホンダのサッカーは適切なポジショニングによって成り立ってますから、中央スカスカみたいなことには決してならずに、真ん中が堅牢で隙一つないから。となればFC東京としてはサイドから攻めたいわけですが、左に室屋、右に橋本というSBコンビでは、なかなかサイドをえぐれない。特に室屋の左サイドは厳しい。縦に全くいけない(左足でクロスを入れられない)ですし、さりとて持ち替えてからもモタモタしてしまう。

 

 

そこで、篠田監督はハーフタイムに修正を図ります。左SBに小川を投入し、室屋を右に。右SBの橋本をボランチに上げて、梶山を下げました。これによってSBの攻撃停滞にテコ入れできますし、中盤に潰し屋を入れることでカウンターの脅威も半減できる。真ん中のビルドアップは田邊で十分でしたし。ちなみに2列目も中央の河野と右の水沼を入れ替えてきましたかね。ひょっとしたら前半の途中からポジションチェンジしていたかもしれませんが。いずれにせよ、これもサイドに起点を作ろうという意図でしょう。

 

 

FC東京にとって待望の同点ゴールは中島翔哉ミドルシュート。バックスタンドからだとよく見えませんでしたけど、ゴールキーパーの動き方的に、相手ディフェンダーに当たってシュートコースが変わったパターンですかね。だとしたら、そういう面ではラッキーゴールだったわけですが、でも、忘れてはいけないのは、この波状攻撃の起点となったのが左SBで投入された小川の豪快なオーバーラップだったということ。左利きだからこその滑らかな攻撃参加。篠田采配が的中したということです。

 

 

そして、決勝点は右SBに移った室屋のシュート。これも、トラップが流れたのが絶妙にシュートコースを作ることとなったというラッキーによるもの(ラッキーでなく、狙ったトラップだったら、室屋よ、スマン)。ても、これも本職の右サイドに入っていたゆえの攻撃参加とプレー選択。シュートの数こそ中島翔哉がボカスカ打ってたのでわかりませんが、少なくともPA進入の数なら後半は、おそらくホンダの方が多かった。それくらいホンダはグッドチームだった。でも、最後は後半開始とともにポジションを調整し直した篠田監督の修正力がホンダを上回りました。

 

 

 

■日本代表への推薦状

□推薦者

中島翔哉

□推薦理由

それにしても、この選手は、ボールを持ったら迷わずつっかける。“ドリブル&シュート”が常にファーストチョイスで、そこにブレがない。ワタクシが彼の同級生だったら“つっかけ虫”というあだ名を付けていたに違いない。どれくらい“つっかけ虫”かというと、思いっきり正面から突っ込んでいって、カテゴリー的に格下の相手ディフェンダーに見事に吹っ飛されるくらい“つっかけ虫”。間をすり抜けようとしてすり抜けられなかったときの吹き飛ばされ方が、美しくさえある。

 

 

でも、1度や2度や3度や4度や5度や・・・度くらい吹っ飛ばされた程度のことで、つっかけることを止めないのが、この選手の素晴らしいところ。そうしているうちに、相手にイエローカードを誘発させることにも成功したりする。こういうメンタリティって、ひょっとしたら高体連出身だと育まれづらいのかもしれません。いや、普通のユースチームでも、そうそう出てこない。そこはヴェルディ育ち、読売育ちだからこそ。異端の才能は重宝せねばなりません。