泥水をすすってでも前に進む〜横浜FCvs熊本(7月16日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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土曜日はニッパツへ。

■前半

キックオフ早々、あっという間に試合が動きます。まだ、試合の流れが落ち着き出す前の、縦に急ぐ展開の中、八久保颯が颯爽と走り込み、シュートを横浜FCゴールに突き刺しました。まだこちらは「20番と27番、どちらが八久保でどちらが中山?」なんて確認している最中だったってのに。ゆっくりじっくり慎重に立ち上がるのではなく、蹴り合い蹴り合いしながら先制点。90分を通じてハイテンションになっていく予感がムンムンと漂いまくる立ち上がりとなりましたね。

 

 

そして、その予感どおり、前半は両チームとも、ひたすらハイプレスです。中盤のハイテンションな攻防でボールを奪った方が、そのまま縦ポンで一気にボールを前方に送り出すような感じ。ハイプレスを仕掛けながらも、なかなか高い位置でボールを奪うって感じにもならなかったので、ホント、縦ポンの応酬って雰囲気。いかにもJ2っぽいというか、日本のサッカーっぽいというか。なんだかんだで、こういうのが、日本のサッカーの日常風景になっていくんだと思われます。

 

 

両チームのあり方を振り返ると、まず熊本は“ミスターターゲットマン”こと巻に向かってロングボールを入れる。当然狙いは「巻がフリックしたり、キープしたりしたボール、あるいはセカンドボールを拾ってからゴールに押しかけてよう!」というものであったかと思われますが、せっかく巻が潰れたりフリックしてりしても、そこからの展開が今ひとつでした。それだけ相手が丁々発止で巻に対抗していたわけで、その丁々発止の挙げ句、巻は前半での退場を余儀なくされます。

 

 

対する横浜FCは、試合序盤に、件の巻との交錯で頭に包帯姿となった田所がキーマンのように見えました。観戦していたバックスタンドから一番近いところでプレーしていたから意識が集中しただけかもしれませんが、わりとフリーになっていたんですよね、田所。ただ、フリーで貰ったときのトラップが、安全第一ということか、自分より後方に置く癖があるらしく、それで、せっかくの流れを淀ませてしまうって場面が目立っておりました。

 

 

 

■後半

後半に入ると、当然のことながら1人多い横浜FCが一方的に攻め立てます。ハーフタイムを挟んでいますから、横浜FCとしても、「1人多くなったからには、こういう感じで行くぞ!」って意志統一もできていたのでしょう。熊本としてら袋のネズミ状態。ひたすらサンドバックとなります。もちろん、ハーフタイムを挟んだのは熊本も同じですから、「とにかく最初の15分くらいは耐えて、少しずつ攻め疲れさせよう」といった感じで凌ぎ続けます。

 

 

そして、ほんの少しだけ横浜FCの攻勢が一段落しかけたタイミングで、熊本は前線で1人残る役割の選手を平繁から齋藤恵太へとスイッチします。巻が1人で残るならばともかく、平繁の場面、こういう役割は少し酷だったらしい。代わりに入った斎藤とて、「孤軍奮闘でキープ!」ってわけにはいってませんでしたが、それでも、走り回って最終ラインに儚いながらも必要不可欠なプレスをかけるなど、逃げ切りに向けてのタスクを遂行します。

 

 

そんな熊本の踏ん張りの前に、横浜FCは攻め倦ねる。サッカーにおいて往々にして発生する現象ですが、優勢にボールを支配できる方は、余裕があったり、あるいは相手がゴール前を固める分、シュートよりも「より良いラストパスを送ろう」というところに意識が向くのに対し、形成が不利な方は、「打てるうちにシュートを打たねば」とか、「シュートで終わらなかったときにヤバい」とかといった意識が高まり、シュートに対して積極的になったりするもの。この試合の後半は、まさにそんな雰囲気。

 

 

なので、全体として流れとしては虎の子の1点をベロベロになりながら熊本が守りきるパターンだったのですが、後半40分、ついに堪えきれず嶋田がエリア内でファールを犯しPKを献上、同点に追いつかれてしまいます。とはいえ、熊本はここでガクンとこなかったところが素晴らしい。ファールを与えた嶋田ですが、途中投入されてから何度となくカウンターの脅威を横浜FCに与えており、それは同点になったあとも変わらず。熊本が堂々とドローに持ち込みました。

 

 

 

■日本代表への推薦状

□推薦者

植田龍仁朗

□推薦理由

後半の半ばに、少し怪しげな判定がありました。それは熊本ゴール前で熊本CBの植田が相手FWと交錯して、横浜FC側にファールが与えられたシーン。遠目からなので詳しくは確認できませんでしたが、状況としては逆に植田の反則を取られてもおかしくなかったところ。ともあれ、倒れこんだ植田はしばらく動かず、治療に入る。しかもレフェリーの目を盗んで、その治療をピッチ内で進めたりする。熊本の立場からすれば、石にしがみついでも時計の針を進めなければならないので、当然といえば当然のマリーシア

 

 

なんか、その、1人少ないという非常事態におけるロアッソの様子を見ていて、被災地熊本のリアリティがシンクロしてきたのです。震災で家や職を失うという非常事態に陥った熊本の皆さんは、正直、平常時ならば二の足を踏む“みっともない”ことを余儀なくされることもなくはないと思うのです。ただ、それでも、その非常事態を切り抜けるべく、次の一歩を踏み出さないといけない。泥水をすすってでも生きていかないといけない。そんな熊本の“生命力”を、後半45分間のロアッソの戦い方に感じました。