「強豪国の淀みなさ!」ってな試合【イングランドvsロシア】の周辺をウロウロと…★テレビ観戦記★

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イングランド 1 vs 1 ロシア[EURO 06月12日]

ネームバリューのあるチーム同士の対決。全体の構図としては、戦前の下馬評通り、イングランドが優勢に試合を進めます。強さのミソは“ハレ”と“ケ”の使い分けなのかな、と。もともとは民俗学かなんかの用語ですよね、“ハレ”と“ケ”。現代語に直すと“日常”と“非日常”とか、“通常モード”と“お祭りモード”みたいな言葉ですけど、ロシアもそうなんですけど、サッカーの試合においても、90分を通じてハレの時間とケの時間を使い分けている。

 

 

よく「縦のクサビが入ると、それを合図に一気に攻撃がテンポアップする」なんてことがいわれますが、要するにそう言うこと。ゆっくりパスを回すケの時間に対し、合図が入ってからのテンポアップした時間がハレですよね。日本の選手はついつい、儒教文化の影響からか、90分間ハレの時間でやりとおすことに美学を感じてしまうのですが、「ハレの時間の10分程度のために、80分ほどのケの時間がある」という考え方に、意識を変えた方がサッカーに関しては合理的なのかもしれません。

 

 

ともあれ、イングランドで特筆すべきは、ハレの時間に入った後の素晴らしさ。スイッチを入れたからといって、スイッチを入れたボールを失っては、かえって失点の危険性を高めることになる。でも、イングランドは、そこでボールを失わない。淀みなく縦パスをポンポンポンと繋いでいく。これは、出し手にしても、受け手にしても、相手守備陣のギャップの使い方が上手だからこそ可能になる思うのです。精度がめちゃめちゃ高いという感じではないですけど、ギャップの使い方が淀みないのです。アベレージが高いというか。

 

 

でも、その“淀みなさ”は、さしものフットボールの母国とはいえ、全ての試合、全ての時間帯で発揮できるものではないらしい。後半に入ると、確かに、淀みが発生するようになります。もちろん、そこにはロシアが前半に比べてボール保持率を上げてきたという他律的な要素もあるんでしょうけど、あらゆるスポーツ、なかでも球技は生き物ですから、すれはつまり水物ということ。上手くいくときもあれば、上手くいかないこともある。試合は停滞します。

 

 

しかし、サッカーというのは相手との相対関係によって結果が発生するもの。イングランドが攻め続けるということは、ロシアが守り続けるということ。イングランドの攻撃にリズムが発生すれば、それに伴ってロシアの守備のリズムも良くなっていく。逆に、ロシアがボールをキープできるようになって色気を持ってしまうと、守備への意識が薄まってしまう。そんななかで生まれたのがイングランドの先制点。ダイアーの直接FK、ゴラッソでした。

 

 

こうなるとロシアが攻めに出ざるをえなくなりますから、イングランドにもチャンスが増える。ロシアがボールをポゼッションしながらも、そもそもフラットな状況では守勢に回っていた側ですから、クオリティという部分で相手を上回れない。カードを切って選手を入れ替えていったも、そうそう上手くはいかない。イングランドイングランドでカウンターのチャンスを決めきれず。「あぁ、いつものパターンで、このままタイムアップかな」なんてことを考えていたら、まさかのまさかですよ。後半ロスタイムにロシアが同点ゴールをもぎ取って、ドローに持ち込みました。