相馬采配とベテランの判断力〜町田vs北九州(5月15日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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今週末は町田。天気が良かったです。

■前半

町田と北九州。野津田の競技場のスタンドに着いて、思う。なんだか、スタジアムのイメージがよく似ているぞ。確か、野津田も本城も実質的には一万人とかがマックスなんですよね、仮に緩衝帯を一切設けないとしても。そして、バックスタンドやらゴール裏やらには傾斜が全くないに等しいので、さっぱりピッチの様子が見えないってところも似ている。なんだかんだで本城にも2回ほど行っておりますので、実感として覚えております。

 

 

そんな、現時点ではスタジアム的に難がなくもない両チームですが、この日のピッチで繰り広げられた光景は決して悪いものではなかった。前半から両チームともに、決定的チャンスを作ってシュートまで持ち込んでおりましたし。しかも、相手のミスとか、偶発的なラッキーでシュートが撃てたのではなく、セットプレーも含め、ちゃんと、それぞれの狙いを持って、意図のあるプレーからシュートまで持ち込んでいた。なかなか立派です。

 

 

相対的に、より優位に試合を進めていたのは町田だったでしょうか。町田のサッカーは、リスクを冒さないけど、運を天に任すわけでもない感じ。よりシンプルにボールを前に運ぼうとしますし、ゴールへの最短距離から逆算したプレー選択をする。できるだけ中央に近い位置で、相手のギャップに潜り込んだところにクサビをいれている。そこがパスの出し手と受け手の間で共有されていますから、ちゃんとパスが繋がるのです。どちらかというとハリルジャパンに近いスタイル。

 

 

対する北九州は、いまや古参に属する柱谷監督が率いているだけあって、ハリル流というより、一昔前のザック流に近い。相手の守備が整う前に縦に速いパスを入れていくというより、サイドに開いて、そこから丁寧にパスを繋ぎつつ、相手守備陣を揺さぶりながら、崩れたところでクサビを入れていくようなイメージ。日本人に馴染み深いスタイルですよね。もちろん手数がかかるのですが、これはこれで、相応の有効性が、今尚あると思います。

 

 

 

■後半

試合はスコアレスのまま前半終了。ハーフタイムを挟んで後半になると、町田は前半以上にプレスの強度を高めます。北九州ボールとなると前線から追い込みまくり。前半のうちは、まだ、それなりにビルドアップできていた北九州のWボランチ(加藤と風間)も、これにはタジタジ。後半の序盤10分弱は、ひたすら町田が北九州に圧力をかけ続けるという展開になります。明らかに、町田は後半になってギアが一段、上がりました。すっかり北九州は、あたふた口から泡を吹きかけそうになっておりました。しかし、そんな北九州が先制するのです。原が左サイドに流れて内巻きのカーブで入れてクロス。それが、そのまま町田のゴールネットに吸い込まれていきました。

 

 

追う展開となった町田は、当然のごとく、怒涛の反撃を仕掛けます。その中心にいたのが、土岐田とリハンジェ。まず、押し込んでいるシチュエーションでは、右SBの土岐田が、実質的な司令塔としてサイドを崩していく。そして、そこからの折り返しを弾き返されたとしても、今度は中央でリハンジェがセカンドボールを確実に回収して、二次攻撃、三次攻撃をしかけていく。いわば、レジスタがセントラルにもサイドにもいる状態です。

 

 

でも、如何せんクロスの精度が足りない。そこで相馬さんは土岐田に代えて三鬼を投入します。これによって、確かにクロスの質は向上しました。しかし、土岐田を下げたことで、肝心なポゼッション率が下がってしまった。この交代は両刃の剣でした。相馬さんの選手交代については、もうひとつ微妙な点があって、それはボランチの森村を下げ、最後のカードとしてCBの畠中を投入したこと。これ自体は問題ない。ボランチを下げてCBの投入というのは、「ここからパワープレーでいくぞ!」のサインだったりもしますので、常套手段っちゃ常套手段。しかし、相馬さんの作戦は、畠中をそのまま前線に入れるわけでも、長身のキムソンギを前線に上がらせるのでもなかった。畠中を最終ラインに入れて、ヨンアピンを上げた。しかも、最前線ではなく、ボランチに。つまり、パワープレーモードに移行したわけではなかったのです。確かにヨンアピンのドリブルでの推進力は魅力的ですが、あのタイミングでビルドアップの部分をテコ入れしても、効果は薄いのかな、と。この交代は、少し中途半端だったかなぁと思うのですよ。そんなわけで、北九州に逃げ切られてしまい、町田は首位から陥落してしまいましたとさ。

 

 

 

■日本代表への推薦状

□推薦者

本山雅志

□推薦理由

この試合、本論中でも述べた通り、後半は猛烈な町田ペースでした。そんな中でチームを救ったのは、原のラッキーなゴールだったわけですが、この得点には伏線がありました。実は、原のゴールの直前、町田の攻勢を前にした北九州が、這々の体でボールを奪い返すというシーンがありました。あたふた状態の北九州の選手たちは、ついつい、ようやくマイボにできたものだから、町田と同じように、速いペースで押し返そうとします。

 

 

そこで、一人だけ違う感覚の選手がおりました。それが、本山。本山はボールを持つと、まず、ボールを止めました。自分の足下でボールを遊ばせておく時間を作った。そう、「今はテンポをスローダウンさせて、相手のペースを流し去ることだ」という意思表示をしたのです。これで町田に吹いていた風が、一旦、止まった。だからこその原のゴール。さすがは百戦錬磨のベテラン。素晴らしい状況判断だったと思います。