サッカーIQとボディブロー〜相模原vs秋田(5月8日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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ゴールデンウィーク最終日は、ギオンスタジアム

 

■前半

 

この日が相模原でのデビュー戦となった川口能活。日本代表としてマイアミの奇跡を演出したり、ワールドカップのピッチにも立ちまくった選手ですから、知名度は抜群。試合前のウォーミングアップのときから、スタジアムアナウンスなどで、川口のデビューを煽りまくり。先制点は、そんな川口による“川口劇場”から。バックパスの処理を誤り、苦し紛れの逃げパス。でも逃げ切れず。流れの中で結果的にファールを与えることとなり、そこからのフリーキックで先制点を献上。そう、川口劇場で奪ったのではなく、奪われたのです。

 

 

反撃に出たい相模原のキーマンは、川口とともにワタクシ的に注目していた深井。ここ数年は所属チームであまり出番を得られていなかったですが、相模原に移籍した今シーズンはコンディションが整ったのか、少し周りとは役者が違いましたね。特にシュート技術。多少ムリな体勢からでもキッチリと枠を捉えたシュートに持ち込む技術はさすがです。

 

 

全体の展開としては、システムのイメージそのままな構図で進みます。すなわち、相模原が4231で秋田は343だったんですが、4231の相模原がイニシアティブを握ってパスを回すのに対し、343の秋田は、しっかり守って、かつ、カウンターのチャンスでは運動量豊富に攻撃でも人数をかけてゴール前に押しかける。アクションとリアクションがわかりやすい構図です。

 

 

そんな噛み合わせの両チーム。しかも、リアクション側の秋田が早い時間帯に先制点を奪ったものだから、そこからは必然として、秋田が相模原を手のひらでコロコロコロコロと転がしながらゲームを進めます。好調時の広島みたく、ボールを奪って、ゴールに直結するルートがないとなると、最終ラインでダラダラダラダラとボールを回したりする。ふてぶてしいというか、サッカーを知っているというか。悠然と秋田がリードを守ってハーフタイムを迎えます。

 

 

 

■後半

この試合、80分くらいまでの秋田のサッカーは、惚れ惚れするくらいに素晴らしかった。近年、頻繁に耳にするようになったサッカー用語に“サッカーIQ”という言葉があります。「技術はあるけどサッカーIQが足りない」とか、「フィジカルの不足をサッカーIQで補っている」とか、そういう使われ方をする言葉です。“サッカーIQ”には様々な含意があろうかと思われますけど、ワタクシ的に要約すれば「臨機応変な判断力」といったイメージでしょう。

 

 

で、その“サッカーIQ”、“IQ”って単語を使うものだから、ついつい先天的な頭の良さとか、そういったイメージを抱いてしまうわけですが、どうやら、“サッカーIQ”とは天賦の才ではなく、鍛えるものらしい。だって、秋田のサッカーは極めて“サッカーIQ”の高いサッカーだったのですが、それが天賦の才だとすれば、J3というステージで実現するはずがない。間瀬監督が鍛え上げたと考えるしかないでしょう。

 

 

前半から“サッカーIQ”を駆使した、要所要所でボディブローを打ち続ける秋田のサッカーに、前のめりに攻め続けてきた相模原の選手たちはスタミナを奪われていく。そしてバイタルエリアがお留守になる。そこを面白いように秋田は突いていく。キーパーが吊り出されたゴールへのシュートはライン上で保崎にクリアされてしまいましたが、その後も猛攻を繰り出して、相模原にオウンゴールを引き起こさせました。

 

 

もはや相模原としては絶対絶命なのですが、そこから同点に追いつくのだからサッカーは面白い。最後まで勝負を諦めなかった相模原の選手やサポーターの執念もさることながら、あまりにも秋田はリズムが良くなりすぎて、攻撃の機会が想定より多くなりすぎたってことなのでしょう、「相手がグダグダだから攻め続けていたら、逆に攻め疲れしちゃったよ」状態が発生したのではあるまいか。ともあれ、相模原が気合いと根性で同点に追いついた一戦でした。

 

 

■日本代表への推薦状

□推薦者

間瀬秀一(監督)

□推薦理由

間瀬さんといえば、オシムの通訳だったことで有名です。オシムが日本サッカーを席巻していたのは、もう、10年とか前になるんですね。ホント、革命でした。オシムの素晴らしいところは、自分の率いるチームの成績を上げるだけでなく、自らのノウハウを、確実に後継者に伝えていったところ。残念ながら、そのノウハウには傑物にしか使い切れない部分もあったらしく、日本のサッカーシーンへの影響力は薄まりつつある。でも、反町さんや、曹さんのサッカーは、大きくいえばオシムの流れ。

 

 

そんなオシムサッカーの正統的後継者として名乗りをあげることとなったのが、間瀬さん。いやあ、オシム千葉を彷彿とさせるような「次から次へと選手が湧き出てくる」サッカーですよね。平気でゴール前に6人とかいますし。チャンスと見るや、みんな全力疾走。ゆえに、ヘンな奪われ方をすると、至る所がスカスカになっている。でも、それで宜しいのです。それがオシムのサッカー。そこは本文中でも述べたように“サッカーIQ”で補っていけば良いのです。