実は地味な小倉グランパス〜名古屋vs仙台(3月19日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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今週は東海シリーズ。まずは新生グランパスの聖地(らしい)パロ瑞穂へ。

■前半

立ち上がりは両チームともに、非常に慎重でした。まずはベガルタ。今シーズンは最終ラインにCBタイプを4人並べるなど、守備重視の姿勢がより顕著になっていますので、相手がグランパスであろうとなかろうと、リスクを冒さない立ち上がりを見せます。対する小倉グランパスも、「5人目まで連動する」というのは、必ずしも「5人以上の人数をかけて攻める」という意味ではないらしく、繋げるときは繋ぎながらも、体勢不十分ならば中盤を省略してシモビッチにあてる。

全体としては、名古屋がポゼッションする時間が長い。なんだかんだで中盤で繋げたりもする。その中心にいたのがキャプテンマークを巻く田口。ワタクシ的には遠藤の後継者とも期待していたりするのですが、その道のりは長そう。ミスが多いんですよね。ボールを持ちながらよそ見をして奪われたり(梶山か!)、ここってタイミングでショートパスがボール1〜2個分ズレたり。「いまここでボール半歩後ろに行ったら、一気にリズムが崩れるじゃん!」って時に限ってズレる。

ともあれ、試合の流れとしては、名古屋やや優勢な一進一退。中盤での攻防が激しかった。その激しさを助長したのが主審のジャッジ。なんだかよくわからなかったですが、前線で倒された(倒れた)松田力が審判に対する不信感を露骨に表現したあたりから、急激に試合がヒートアップします。そこまで極端に不安定なジャッジはなかったと思いますが、当事者である選手たちにとってはストレスの溜まるゲームコントロールだったのでしょう。

そんな不穏な空気の中、試合を動かしたのは、シモビッチの頭。クロスに合わせたヘディングシュート。高さを見せつけました。ただ、だからといって、必ずしも「戦術シモビッチ」になっていないのが、名古屋の良いところ。シモビッチの高さは、あくまで“極めて有効性の高いなオプション”という位置付けであって、シモビッチがいないと全くの機能不全になるといった感じではない。先制点もクロスまでの流れからして、なかなか流麗でしたし。

■後半

後半に入っても、構図が大きく変わるといった感じではない。一言で表せば“ガチンコの肉弾戦”といったシーンが延々と繰り広げられます。ガチガチに潰しあい続けますから、両チームとも選手にダメージが蓄積されていく。結果として、名古屋では松田力、仙台ではリャンヨンギが負傷がらみも含めて途中交代を余儀なくされました。なんだか、数年前におけるJ2中位同士の対決を見ているようだぞ。逆に言えば、最近のJ2は、そういう肉弾戦サッカーではなくなったということか。

小倉監督は松田力のところに小川をまず投入。そののち小川を右に移して、野田を入れてきました。どうも小倉さん、トップ下には矢田のようなプレーメーカーではなく、FWタイプの選手を入れるのが好きなようです。シモビッチより、一つ低い位置で、縦パスの受け手、あるいは潰れ役を担える選手をトップ下に置く。さしずめ“シャドーストライカー”ならぬ“シャドーターゲットマン”を使うことで、シモビッチへのマークを分散させているのかもしれません。

そんな、実は論理的、かもしれない小倉采配。なかなか思い切りも良いです。1点リードの残り10分というところで、シモビッチを下げて3枚目のカードとして明神を投入。中盤の守備力を高めることで逃げ切りを図ります。結果的に、逃げ切りに失敗して同点に追いつかれますが、前線のフォローアップができず、マイボールの時間が作れないなか、中盤を厚くして前線をフォローさせるという狙いそのものは理にかなっていたと思います。

そして、クライマックスは後半42分。著しくシュートが少なく停滞感が漂うなか、矢野がシュート性のクロスを入れると、野田が相手ディフェンダーともつれながら飛び込んでいく。流れ的には野田のゴールに見えましたが、大型ビジョンの画面では矢野が盛んに自分のゴールだと主張している。おそらく、最後は野田ではなく相手DFの足に当たったということなのでしょう。数年前までの基準ならオウンゴールとなるところですが、矢野の決勝ゴールとして記録されたようです。

■日本代表への推薦状

□推薦者

松田力

□推薦理由

名古屋の前線にはスピーディーに走り回る選手が2人います。1人はご存知、永井謙佑。で、もう1人がこの人、松田力です。同じくスプリントを繰り返すとはいえ、少し趣は異なります。比喩的に表現するならば、永井謙佑が豹なのに対して、松田力はハイエナ。永井の場合、狙いを定めるや獲物に向かって一直線に襲いかかるようなイメージですが、松田力は、とにもかくにも休むことなくアッチコッチへ全方位的に走り続ける。

自分が仕掛けるためというよりも、チーム全体として「そこへ受けにいき、そして潰れろ!」ってところにサボらず走り込んでいく。タイプとしては岡崎慎司と同じですね。如何せん潰れ役としては、少しサイズが小さいというか、岡崎ほどの筋骨隆々感がなく相手を弾き返せないので、この試合でも負傷交代してしまいましたが、そのあたりがスケールアップすれば、十分に岡崎のスペアとして計算できるようになるんじゃないかと期待しております。