「90年代サンフレッチェのWボランチが、歴代代表サッカーを圧倒!」ってな試合【高校サッカー決勝】の周辺をウロウロと…★テレビ観戦記★

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■東福岡 5 vs 0 國學院久我山[高校サッカー決勝 01月11日]

今年の高校サッカーは、四中工が初戦で敗退してしまったのと、日テレのCMをバスバス入れるパッチワーク中継に魅力を感じなくなってしまったこともあり、ほとんど見ておらず。なので両チームのスタイルも初見。久我山は、ゴール前までいけばショートパスが発動しますが、基本的にはボールを奪うと“手数をかけずに縦に速く”というスタイル。ハリルさんや関塚さんに近いイメージ。岡田さんも縦ポンに見えて、こういう感じだったような気がしなくもない。ってことはザックを除く近年の代表(五輪も含む)が見せてきたスタイルですね。

 

 

対する東福岡は、生意気なサッカーでしたねぇ。平気でボランチが最終ラインに戦略的なバックパスを入れていましたし、最終ラインは最終ラインでそのボールを丁寧にじっくり回してビルドアップしてました。まずは丁寧に相手のプレスを剥がして、マークの緩い場所で悠然とボールを回しつつ状況を作っていく。普段からそういう意図のもとで練習をしているのでしょう、バックパスだというのに判断に外連味がなく、パススピードもなかなか強気。さながらサンフレッチェのサッカー。

 

 

もう一つ東福岡で特筆すべきは、トラップですね。どこにボールを置けば相手のチェックを外せるか、というのを第一に考えている。つまり、パスを受けたら、その瞬間に相手DFとのドゥエルが始まる、という考え方。そこの1対1をしっかり制することにポイントを置いている。「結局、サッカーは1対1の集合体」というスタンスや、トラップの置き方=相手の剥がし方=パスコースの確保を重要視しているところは風間フロンターレのスタイルに近いといえるかもしれません。

 

 

森保さんと風間さんか。高木琢也擁するサンフレッチェが1994年のサントリーシリーズを制したときのWボランチだなぁ。なんてことを考えていたら東福岡が先制点を奪います。一気にスピードアップしたパス回しにおいてトラップで相手を剥がす→相手守備陣がフォローに入る→バランスが崩れる→スペースができる、って流れの中でそこに走り込んだフリーの選手(三宅君)がファインゴール。「東福岡ここにあり!」ってところを全国に顕示しました。

 

 

その後はフリーキックとカウンターでリードを広げた東福岡が夏冬完全制覇を成し遂げました。この試合を見て東福岡に感じた印象は、サンフレッチェやガンバに対する印象に似ている。勝つチーム、強いチームというのは“空気を読むサッカー”をするチームなんだな、と。高偏差値進学校である國學院久我山のサッカーは、“勤勉なサッカー”“頭を使うサッカー”をしていたんだと思います。でも、サッカーで必要なのは、教科書には書いてある正解を“頭で考える力”ではなく、そのときどきごとに求められている最適解を“感じる力”なんだなぁと。「学校社会で求められる要素と、社会人になって必要とされる要素の相違」といいましょうか、なんだか、サッカーというのは社会的リアリティの縮図なのかもしれませんね。