水戸の勇戦、FC東京の貫禄〜FC東京vs水戸(11月11日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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天皇杯への出席率は、だいぶ高いです。

■前半

エルゴラッソ』の情報によると、水戸は通常の442のフォーメーションが予想されていましたが、実際に見てみると、おそらく532だったのではあるまいか。まぁ、相手はJ1でもチャンピオンシップ進出を争うFC東京ですから、格下の水戸としては、「まずはしっかり守って、少ないチャンスをどうにかしよう」との戦術を採用することは、穏当っちゃ穏当な選択。じっくり構えてひいて、人海戦術的に守りを固めます。

 

 

水戸の人数をかけた守備網に、FC東京としてもタジタジになりかけましたが、そのような暗雲を蹴散らしたのが前田の先制点。このゴールは素晴らしかった。完璧と言っても過言ではない。なにが完璧だったかといえば、まず太田宏介のクロスが完璧だった。コースといい、スピードといい、球質といい。そして、前田のヘディングもまた完璧。位置取りといい、タイミングといい。いつも感じるのですが、前田のヘディングって、ホント、ビジュアル的に美しい。水戸がいくら人数をかけても、これは防げない。

 

 

先制されてしまった水戸としては、いつまでも穴熊戦法を続けるわけにはいかない。右WBの石川を右SH、右ストッパーの細川を右SB、左WBの田中を左SBへとスライドさせることでシステムを442に戻し、さらに守備も構えるのではなく、前プレをかけまくるやり方に改めます。そして、それがなかなかちゃんと機能している。というか、おそらくいつもの戦術に戻しただけなんですけど、プレスはかかるは、パスは繋がるは、試合は水戸ペースとなります。

 

 

実は、水戸の試合を見るのは、今シーズン2試合目。8月にKスタに行ったときにも思ったのですが、西ヶ谷さんになってからの水戸って、めちゃくちゃ良いサッカーをしてますよね。しっかり中盤を作り、横幅も広く使う。パスはバシッバシッと繋がるし、選手がみんな同じ画を描いているってのが伝わってくる、そんなサッカー。適当なタイミングでケチャップがドバってなっていたら、平気で5連勝だとか、10戦無敗とかになりそう。残念ながら、今シーズンはケチャップの蓋が詰まりっぱなしだったっぽいですが・・・

 

 

 

■後半

FC東京的には先制した後に攻められまくられても、「いつものこと」ってことなんでしょうが、「格下相手なのに・・・」ってのが少しでも意識をかすめると、ややこしいことになりかねない。そこで「“三田ぱん”じゃない方の三田」こと、通称「タマ」(つまりは「タマぱん」??)に替えて、ここのところのレギュラー格である橋本を投入。そのマッシモ采配がズバリ的中して、橋本のスーパーミドルが突き刺さり、FC東京がリードを広げます。

 

 

こうなると、もはや余裕しゃくしゃくモード。イタリア人監督に率いられた“逃げ切り上手”はすいすいすいと時間を進めていきます。マッシモさんによるチーム作りの集大成のような試合運びが発動します。マッシモトーキョーの真骨頂、それは、リードした後においては、“点を取るため”でなく、“攻められないため”に攻めるというゲームコントロール。実に試合巧者。こうなると、J1の強豪でさえ手も足もでなくなる。貫禄の逃げ切り勝利を収めました。

 

 

対する水戸ですが、2点目を奪われてからは、さすがに少しリズムを狂わせてしまいます。石川に替わって鈴木武蔵が投入されたこともあり、前線がドリブラーの鈴木雄斗、縦抜け系の山村、鈴木武蔵と、縦への意識が強い構成になりすぎていた。そこに2点のビハインドですから、どうしても、中盤が雑になってしまい、淡白で強引なアタッキングが目につきだします。特に鈴木雄斗のムチャなドリブルがチームのリズムを崩していたような。

 

 

そこで西ヶ谷監督は、すぐさま、山村から馬場へとスイッチします。馬場は、大宮における家長みたいなスタイルでプレーしますから、タメが出来ますし、中盤に丁寧さも戻りました。白井と岩尾のサイドチェンジやミドルパスなんて、「こんなサッカーをJ2のチームがするのか!」ってレベル。さすがに相手が悪く、どうにもこうにも得点の予感は漂いませんでしたが、西ヶ谷さんのチーム作り、個人的に大好きでございます。

 

 

 

■日本代表への推薦状

□推薦者

マッシモ・フィッカデンティ

 

□推薦理由

マッシモさん、今シーズンで任期満了になるんでしたっけ? 退任するとかしないとか、報道されていましたね。城福さんを復帰させたいがゆえの苦渋の決断だとかなんとか。サポーターとしても、おそらくマッシモさんに対して、感謝こそすれ、文句はさほどなかったでしょう。この試合でも、選手紹介後と、キックオフ直前にしっかりと「マッシモ、トッキョー!」コールがされていました。

 

 

この監督さんの最大の功績は、公正で健全な競争が実現し続けていたというところにあるのではないでしょうか。若手を抜擢して自己満足に浸ることもなく、ベテラン偏重になることもなく。そのときそのときで発揮できるパフォーマンスに基づいて選手起用を決めていたように思います。だからベテランの石川直が先発することもあったし、三田や武藤が抜擢されもした。三田が今ひとつなパフォーマンスになると、ビシッと羽生との序列を入れ替えたり、と。年齢的に向こう10〜15年間くらいは、常に日本代表監督候補のリストに入れておいて相応しい監督さんだと考えます。