ツイてない男・田坂和昭の周辺をウロウロと…(清水編)

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■救世主になれた監督、なれなかった監督

ご存知の通り、田坂さんは、結果的にオリジナル10の清水を史上初めてJ2に陥落させてしまった監督さんです。が、ゆえに、「私の趣味は他人の批判です」って人たちからは、オモチャにされてしまいました。まあ、実際に立て直しのカンフル剤になれなかったのは紛れもない事実。ただ、そもそもカンフル剤を求めるなら田坂さんで良かったのか?って問題もあります。ということで、まずは、どういうタイプの指揮官がカンフル剤に向いているのか考えてみましょう。

 

 

シーズン途中に就任して、見事にチームを立て直した事例として、今シーズンでは、ヴァンフォーレの佐久間さんとか、アントラーズの石井さんが挙げられます。両監督とも素晴らしい指揮官で、そこは素直に認めないといけない。でも、忘れてはいけないのが、両者ともに、それ以前から、GMなりコーチングスタッフなりとして、チームに関与していたという事実。チームの内情を知り尽くしているからこそ、チームの雰囲気や個性を壊すことなく、問題点を改善することができた。

 

 

それに対して田坂さんはどうだったのか?確かに、コーチからの内部昇格ではありました。では、「チーム事情を知り尽くしている」という状況だったかというと、決してそんなことはない。せいぜい数ヶ月間、「雇われ番頭」のようにヘッドコーチに据えられていただけ。シーズン開始からのヘッドコーチならともかく、ほとんどフロントのアリバイ作りとしか思えないような腰掛け状態からの内部昇格ですから、もはや、そんなもんは内部昇格とはいえない。佐久間さんや石井さんとは、前提となる部分が全く異なる。そこを、まず、押さえておきたいと思います。

 

 

 

■相性とタイミング

それ以前に、そもそも、田坂さんがカンフル剤として適切だったのかって問題もあります。別に田坂さんの能力の絶対値に疑問を持っているわけではありません。全ての指揮官には「得手不得手」あるいは「向き不向き」がある。だって人間だもの。田坂さんの指導者としての特性と、当時の清水の置かれていた状況のマッチングの部分で、少し疑問があるのです。野球の投手で例えれば、先発向きの選手を左対左のワンポイントリリーフとして登板させちゃったんじゃないですか、と。

 

 

カンフル剤、あるいはワンポイントリリーフとして優秀な成績を収めた監督として大分のシャムスカさんが挙げられます。シャムスカさんが大分を立て直したとき、その要因として、彼のモチベーターとしての手腕が評価されていました。カンフル剤として機能するのは、「チーム事情を知り尽くしている」か「モチベーターである」かのどちらかの要素が求められます。田坂さんの場合、粘り強く選手と向き合うというジャンルのモチベーターではあったと思いますが、一方で、叱咤激励をして短期間で選手に前を向かせるタイプではないんじゃなかろうか。

 

 

それから、田坂さんと佐久間さん・石井さんとの最大の相違は、ヴァンフォーレにせよアントラーズにせよ、「悪くはないが良くもない。より悪くなることはあれども好転する可能性も低い。ならばドツボにはまらないうちに早めの対応を」ってチーム状況、負のスパイラルにはまりそうながら、まだ、はまってはいないってなタイミングでのバトンタッチだった。風邪もひきかけならばルルが効くのですよ。葛根湯があれば鬼に金棒。

 

 

一方で田坂さんはどうだったか。田坂さんがバトンタッチしたときの清水は、「完璧にドツボにはまりこんでいる。どうやっても抜け出せそうにないから、最後の手段、パルプンテを期待して監督交代だ!」って状況。田坂さんはそんなバトンの渡されかたをした。要するに負のスパイラルにずっぽしハマっていたのですよ。こうなると、難しい。さんざん治療を放置して末期となったガン患者を押し付けられたようなもの。しかも田坂さんは、たぶん、抗がん剤治療のスペシャリストでも、ゴッドハンドな外科医でもなく、東洋医学的な漢方投与で、人間生来の抵抗力を向上させて治癒させるタイプ。末期ガン患者へのパルプンテなんて、そもそも専門外だったと思われます。

 

 

 

■まずは厄落としを

前エントリーも併せてまとめますと、この一年の田坂さんの状況って、大分でも清水でも、「そんな理不尽な・・・」ってな状況を押し付けられ、ムリなものはムリなんでできなかったということだったんだと思うのです。

 

・・・それにしても、どちらか片方でも災難なのに、それが1年のうちに2度も降りかかってきますかねぇ。

 

田坂さんは日本人としては優秀な指揮官にカテゴライズされると、ワタクシ個人は評価しております。なので、近い将来、必ずやリベンジしてくれるでしょう。でもね、例えば来シーズン、古巣のセレッソあたりからオファーがあったとしても、それは断ってほしい。だって、どう考えてもバイオリズムが悪い。オトナの皆様なら経験ありますよね、人間、なにやっても上手くいかないときは上手くいかない。人生にはそういうバイオリズムの瞬間がある。田坂さんは、現在、そういうバイオリズムなんだと思います。こういうときは「なにもせず、じっと嵐が過ぎ去るのを待つ」、これしかない。まずはとりあえずお遍路さんにでも行って、厄落としをしてから、ピッチに戻ってきてもらいたいと心から思います。