低調なスコアレスドロー〜京都vs岐阜(9月10日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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京都で所用があったので、そのついでに観戦してきました。

■前半

エルゴラッソ』などの事前情報によると、最近の京都は中盤逆三角形の433を採用しているらしい。というのでそのあたりのことに注目して並びを確認したのですが、433というより41221っぽいイメージだったと思います。4バックは普通の4バック。で、アンカーの位置にキムナムル。インサイドが山瀬と原川。前線は大黒を頂点に、宮吉と駒井なんですけど、宮吉と駒井はウインガーというよりも、シャドーっぽい動き方をする。

 

 

433の基本属性として、サイドにウイングとSBがいて、数的に優位を作りやすいというのがあると思いますが、ウイングが中に絞りがちなので、却ってサイドの人数は少ない。その分だけ真ん中の位置に人数が多くて、特にセカンドボール争いなどで優位性を作っていましたが、攻撃では手数をかけて中央突破を試みるという感じではない。あまり高くない位置でSBが「大黒、任せた!」って感じのアーリークロスを入れていくってのが、京都の攻撃のイメージでした。

 

 

対する岐阜。ラモス率いる岐阜の戦略は、我々ロートルファンにはお馴染みのオールドファッションド。逆にユース上がりの若い選手には斬新に映るかもしれないスタイル。それは、ズバリ、「引いて守って、とりあえず大きく蹴り出す」ってヤツ。国見や鹿児島実業が得意として、80年代の高校サッカーでは一世を風靡した、あの戦術です。駒沢大学が大学サッカーでの地位を低下させて以降、絶滅したと思っていましたが、こんなところで再会するとは。

 

 

そんなこんなで、全体として前半は一見すると京都がイニシアチブを握っているように見えました。でも、そう見えるからといって京都が攻めまくっているわけでは決してなく。先に述べたようにセカンドボールを高い位置で奪えていたので、なんとなく京都が押し込んでいる感じになるんですけど、結局、京都の攻め手は、“右サイドを石櫃が突破してクロス”ってパターンしかなかったような。高い位置で奪えるんだから、中央突破のショートカウンターを磨けば良さそうな気もしますが。

 

 

 

■後半

と、まあ、正直、前半から低調だった、この試合。その低調さはハーフタイムを挟み後半になっても、特に変わることはなく。この試合で、唯一といってよい決定機は、カウンターから岐阜の難波が独走したシーン。相手最終ラインを見事に振り切って、キーパーとの1vs1になったんですけど、そこでシュートミスしますかね〜、みたいな。でも、京都の側から見れば、このピンチはアクシデントではなく、必然的な欠陥によるもの。

 

 

それは、アンカーに入っていたキムナミルのポジショニングが中途半端だったこと。最近ではアンカーを置いた場合、攻撃において両CBがサイドに開いて、アンカーが最終ライン真ん中に入ることが多い。この試合の京都にもそういう局面が多かったものの、基本的にはSBの1枚が真ん中に絞るクラシカルなやり方で最終ライン3枚を作っていた。どちらかに徹底すれば良いのですが、その辺が中途半端で、両CBが開きながらもキムナミルが落ちてないってことも少なくなく、難波の独走は、そこから発生したピンチだったと思います。

 

 

この難波のシーンに象徴されるように、後半になると、僅かながら岐阜にも攻撃のシーンが増えました。その要因として、ラモス采配をあげてもよいかもしれません。交代カードを切るのではなく、左SHの高地をボランチに、ボランチの青木を右SHに、右SHのジウシーニョを左SHへとスライド。青木とジウシーニョの左右は割と流動的でしたが、ともあれ、この配置転換以降、岐阜にリズムが生まれました。

 

 

ラモスさんも、ようやく「オレ、センスないかも・・・」って気づいたんですかね。「勝てないのは選手のせい!」みたいな、選手の使い捨てをしなくなったような。で、「せめてJ2残留だけはしないと!」ということになったらしい。スコアレスの状況なのに攻撃の駒を1枚減らして、高木和道を投入してました。年間順位20位(以上)を確保できれば、それで万々歳と言わんばかりの采配。これはこれでブラジル人的合理主義。決してキライじゃないです。

 

 

 

■日本代表への推薦状

□推薦者

山瀬功治

□推薦理由

いつの間に山瀬はセントラルの選手になったんだ? 山瀬功治といえば、司令塔系のドリブラーで、ゴリゴリのアタッカーというイメージだったんですけど、この試合ではインサイドハーフで起用されていました。しかも、原川との関係性は、「山瀬が攻めあがって、原川がバランスを取る」ではなく、「原川が動き回って、山瀬は要所を押さえる」といった役割分担。完全に黒子ですやん。すっかりベテランのプレースタイルになりました。

 

 

ただ、それによって、山瀬の新たな一面に磨きがかかっております。それは、山瀬って、実は縦パスが上手いのねってところ。ボランチ的な位置だと、その縦パス能力が遺憾なく発揮できる。こういう、「もとはアタッカーだけど、年齢とともにツボを押さえたバランサーになった」という選手として、ギグスとか澤穂希とかがいると思います。なので、山瀬は「日本のギグス」あるいは「日本の澤穂希」と言えるのかもしれません。・・・「日本の澤穂希」って、おかしな日本語ですけどね。