永井謙祐批判の周辺をウロウロと…

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■永井不要論

旧聞に属すことですが、9月19日のフロンターレ戦で永井謙祐が負傷しましたね。救急車に運び込まれるときには、たまたま視察に訪れていたハリルホジッチさんが、永井に寄り添っていたとか。ハリルさんが永井を重要な選手の1人として位置付けていることが視覚化されるような出来事でした。「おい、大丈夫か!早く復活してくれ!」みたいな言葉もきっとかけたんじゃなかろうか。

 

 

確かに、永井はハリルジャパンの常連ですからね、そういう行動に出てしまうってもんです。でも、世間的には、「なぜハリルは永井を寵愛するんだ!」とか、「全体的にはハリルのことを評価しているが、永井を使い続けることだけは理解できない」みたいな声がなくもない。そうなんですよ、ロンドンでは絶賛された永井も、ハリルジャパンではバッシングの対象になっているんですよ。

 

 

その主な要因は、東アジアカップですかねぇ。目立っちゃいましたもんね、「おい! あとはキーパーとの1vs1なんだから、とりあえずシュートを撃てよ!」とか、「ちょいちょいちょい! そんだけドフリーなのに、そこでシュート外しますか、普通?」みたいなシーンが。見ている側としていては、まこと、切歯扼腕させられまくり。

 

 

東アジアカップでは、チームとしてもなかなか「国民的期待」に応えることができなかったこともあり、ほとんどスケープゴート状態になりました。確かに、この大会を通じて、最もオーディエンスにストレスを与えたのは永井謙祐だったと思うのですよ。だから、ある程度の批判に晒されるのはしかたない。FWとは、そういう役回りでもありますし。

 

 

 

■批判の論点を整理しましょう

とはいえ、「おい! あとはキーパーとの1vs1なんだから、とりあえずシュートを撃てよ!」とか、「ちょいちょいちょい! そんだけドフリーなのに、そこでシュート外しますか、普通?」ってな理由で永井謙祐というFWを批判するのは、ちょっと違うんじゃないかなぁ、とも思うんですよね。端的に言えば、「そういうシチュエーションにまで持っていけたことが凄くね!?」と。

 

 

ハリルジャパンみたいな戦術のチームにおいて、FWが相手GKと1vs1になるというのは、相手最終ラインとの駆け引きを制して裏抜けし、かつ、追いすがる相手守備陣をスピードとフィジカルで振り払って独走状態を作り出しているということ。「相手最終ラインとの駆け引き」および「相手守備陣との追いかけっこ」の2つの要素で勝利した、という部分をちゃんと見ないといけないんじゃないかな、みたいな。

 

 

要するに、「そこで画面に映ったこと」に対しても正当な評価を与えないとフェアじゃないと思うのです。仮に永井が佐藤寿人みたくボックスストライカーならば、「シュートを外す=使えない」と評価されても致し方ない部分もある。でも、永井に関しては「シュートを決めること」以外の部分に、彼にしかできないことがたくさんありますよね。

 

 

上述した、ロングでもショートでもカウンターで裏抜けできる走力も素晴らしいですし、彼の良さはその走力を長い時間安定的に発揮できること、さらには、守備でも発揮できること。もちろん永井より決定力の高い選手がいれば、代表に呼べば良いんですけど、だからといって「永井は要らない」とはならない。そうなるのは、「永井と同じ能力(走力)があって、なおかつ、永井よりシュートが決まる」って選手がいたときに限られます。

 

 

 

■永井批判の本質

それ以前に、そもそも「永井はシュートが決まらないから要らない」って批判する人々って、日本人サッカー選手のトータルとしての平均値をちゃんと認識しているのだろうか(知ってるわけないことは重々わかりきっているんですけど、あえて皮肉を込めて疑問文調で)。要するに「じゃ、そんなに決定力がある選手って、誰?」ってことになる。

 

 

大久保でしょうか、佐藤寿人でしょうか。確かに彼らの決定力は素晴らしいですけど、佐藤寿人に爆発的なスピードでファーストディフェンスとしてチェイシングすることはできません。大久保については、ブラジルワールドカップで散々批判されましたよね。今さら掌返しをするんでしょうか。まぁ、「掌返し」と書いて、「ネットで匿名で感情的な批判を繰り返す人々の基本的習性」と読むんでしょうけど。

 

 

少し、感情的になりました。ミイラ取りがミイラになるところでしたね。話を戻しましょう。要するに永井を批判する人たちの基本的な思考パターンというのは、「目の前で自分の期待を裏切った選手=使えない選手」なんですよね。日本人フットボーラーの平均値やそこでの偏差値から相対評価するのではなく、自分の感情を唯一の判断基準とした絶対評価なのです。

 

 

でも、よく言われるように、「サッカーは失敗するスポーツ」なんですよ。だって、足でやるんだもん。目の前で自分の期待するベストパフォーマンスが裏切られる経験の連続。だから「目の前で自分の期待を裏切った選手=使えない選手」なんて言ってたら、最終的に「日本代表に相応しいサッカー選手なんて日本にはいない」ってことにしかならないですけど、永井を批判する人たちは、その辺のことを自覚しているのだろうか・・・