「アイデンティティゆえに経営難ダービー」「港町ダービー」「山岳寺院ダービー」2014シーズンを振り返る・日本各地のダービー

                                  にほんブログ村 サッカーブログへ
にほんブログ村

おかげさまで「振り返るシリーズ」の2014シーズン版も、本エントリーで完了。今後はアップの頻度が激減することうけあいでございます。

アイデンティティゆえに経営難ダービー[東京Vvs群馬(11月15日)]

 

東京ヴェルディといえば、読売クラブ時代以来、数多くのタレントを世に輩出してきました。いまでも東京都の育成年代において、「ヴェルディユース」というのは1つのブランドです。そんな、キラ星のようなタレントを育て上げた舞台、それが、よみうりランドのグランド。山を丸ごとレジャーランド化し、そこに親会社の名を付けた。そして、その親会社のバックアップによって、かつての名門は作り上げられたわけですね。いわばヴェルディアイデンティティ

 

 

対するザスパアイデンティティとは何か。最近は、そういうスタイルではなくなりましたが、発足当初のザスパは「普段は温泉街の旅館でバイトしている兄ちゃんたちがJリーグ入りを目指している」というやり方で、前へ前へと進んでいた。草津温泉こそ、ザスパというクラブのアイデンティティでしょう。そもそもザスパのスパはスパゲティのスパではなく、温泉を意味する英単語の略語としてのスパでしょうし。

 

 

しかし、そんな草津温泉というアイデンティティが、却って群馬県全体からのスポンサードを受ける支障となってしまった。状況を打開すべく群馬を名乗るようになりましたが、依然として経営難からは脱せていない。一方のヴェルディも、あれだけ人件費を抑えながらも赤字が膨らみあがるのは、よみうりランドグランドの使用料がバカ高いから。もはや読売グループは工面してくれない。このように考えてくると、この両チームは「アイデンティティゆえに経営難」ダービーといえるでしょう。

 

 

 

■港町ダービー[神戸vs横浜(11月22日)]

まあ、この両チームの共通点については多言は不要ですよね。横浜も神戸も港町です。日米ナンチャラカンチャラ条約で開港された街です。他には函館とか長崎とか、そういうところですよね。どこもかしこも女子旅の人気スポット。シャレオツなカフェなんかが軒を連ねていて、きっとお酒の出る店にはバーニャカウダとかがあるのでしょう。ちなみに神戸北野の洋館街の洋館にはスターバックスになっているところもあるんだそうだ。

 

 

歴史的背景が共通していますから、必然的に街づくりも似てきます。例えばそれは中華街。開港されたからといって欧米列強ばかり来るわけじゃありません。金の匂いがするところには華僑がやってくるのです。そして、中華街を作るのです。それから港町としてのブランドが出来上がると「我が港町の全容を眺めていって下さいな」というわけで、タワーめいたものができます。ポートタワーもマリンタワーも登ったことはないですけど。

 

 

それからもう一つ、襟元を正して触れておかなければならないことがある。それは「震災」と「復興」ですね。横浜にある商船三井がやってる博物館で知ったのですが、横浜って関東大震災で壊滅的な被害を受けたのですね。そして、神戸。これも若い方にとっては歴史上の出来事なのでしょうか。いまや復興を遂げた神戸。あの日を伝えるのは「神戸讃歌」ですね。アウェイで聞いたことはありますけど、初めてホームの「神戸讃歌」を聞きました。聞いて良かったです。

 

 

 

■山岳寺院ダービー[千葉vs山形(12月7日)]

2014シーズン、プレーオフに回ることなくJ1昇格を決めたのが松本。反町さん率いるグッドチームは鮮やかにくせ者揃いのJ2を勝ち抜いていきました。ちなみに松本の正式名称は「松本山雅FC」、通称、「松本山雅」。漢字四文字ですね。Jリーグチームとしては初例になると思われますが、実は、この漢字四文字チーム名には幻の初例があって、モンテディオが一時期「月山山形」という名前に名称変更するかしないかで揉めていましたよね。

 

 

そうなんですよ、山形といえば月山なんですよ。そして月山といえば出羽三山羽黒山湯殿山を含めた霊山群の総称で、国宝の塔があったりします。で、東北日本海側で、国宝となれば、そりゃ松尾芭蕉が旅したわけですよ。「奥の細道」ってやつ。「奥の細道」でいえば、山寺も山形県ですね。山形県には霊山、つまり修験の山が多いのですな。江戸時代よりも昔の時代に山伏がいったりきたりしつつ、滝にうたれて修行していた、みたいな。

 

 

翻って千葉県。そういえば森田知事もジェフへの応援コメントとか残していましたよね。そんな森田知事の肝いり政策の一つがアクアラインの値下げなわけですが、アクアラインは木更津あたりに着地します。その木更津から少し南に行くと、東京近郊の中高生にとっては遠足のメッカともいえる鋸山なんて山があります。この鋸山も信仰の山、すなわち修験の山なんですよねぇ。そういう意味では、この対決は「山岳寺院ダービー」といえるのですね。