小野と稲本に首ったけ〜札幌vs横浜FC(9月5日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

                                  にほんブログ村 サッカーブログへ
にほんブログ村

夏休みですよ。北海道に行きました。北海道滞在時間は24時間くらいでしたけど。

■前半

最近はすっかりとお馴染みになった3421のミラーゲーム。同じ3421でも、ここまで内容が異なるか、と。単に横浜FCが悪かっただけかもしれませんが。横浜FCのサッカーは、「縦に速いサッカー」といえば聞こえは良いですが、前線の3人を走らせるだけの縦ポンサッカー。コンビネーションもへったくれもあったもんじゃない。

対する札幌は良かったですよ。監督が代わってからは、なかなか白星に恵まれていないみたいですけど、見ていてちゃんと練習をしていることが伝わってきました。パスの出し手と受け手の意図が合っていましたし、各選手も迷いなくプレーを選択していた。「まずはナザリトを見て、ダメならサイド」という意思統一もできていましたし、小気味よかった。セカンドボールも次々と回収して、横浜FCに反撃の糸口を掴ませないくらいの戦いぶりを、少なくとも前半は見せておりました。

なかでも、アクセントになったのは、この日先発出場を果たしていた小野伸二。相変わらずエレガントですね。コンディションさえ整えば、テクニックは一級品。この選手のフワリとしたミドルパスを見るだけでも、入場料を払うだけの価値はあるのではなかろうか。周囲で走り出した選手がいたら、ほぼ見逃すことなく、ワンタッチツータッチでパスを出す。それもほとんどが浮き球のシルキータッチ。よく「狙いのあるミスならOK」みたいなことを言いますが、この選手に狙いのないプレーなんて存在するのだろうか。

他に札幌て注目されたのは、宮澤とナザリトの2トップ。たぶん、攻撃のときは、ナザリトがゴール前で構えて、宮澤はサイドに開き、少し低い位置に小野がいるという関係性だったと思います。守備のときは小野は動かず、宮澤が下がっていたので、少し関係性が変わりましたけど、登録上は宮澤とナザリトがFW。宮澤がFWに入るのって、エラく久しぶりのような。そして、ナザリトの名前も久々に聞いたなぁ。さすがの存在感で先制ゴールもこの人でした。

■後半

惜しむらくは、後半になって札幌が少し落ちたこと。小野なんかも、前半から効率的な運動量配分をしていたように感じられたのですが、それでも、後半は今一つ。一つ一つのプレーに精度を欠き、ことごとく「しかしMPが足りない!」状態。ファンタジーを発動させられません。加えて、主審は岡部拓人。いつもの岡部クオリティで、選手・ベンチ・サポーターのイライラを増幅させていきます。この人の、こういうところの安定性は、ホント、ブレない。必ず、スタンドからブーイングを浴びせかけられることになっている。ブーイングを欲しているとしか思えない。

札幌を悩ませたのは、自分たち自身と主審だけでは、もちろん、ありません。後半になって横浜FCが良くなった。まず、後半頭からシステムを動かし、442にします。ただし、この変更だけみると、さほど効果は感じられなかった。目に見えてボールが回るようになった契機は、内田に代えて野崎を投入してから。メカニズムはわかりませんが、ここから明らかに横浜FCがペースを握りました。

対する札幌も、選手交代で態勢の立て直しを図ります。1枚目のカードとしてイルファンを投入。すいません、イルファンって誰ですか? 髪型だけならイルハンっぽかったですけど。次いで、二ウドがピッチへ。ヴェルディ時代の印象では先発向きの選手のような気がする。そして、最後にベテラン河合。この交代は合理的。これで逃げ切りへの準備もばっちしとなり、そのまま札幌が1ー0で横浜FCを下しました。

■日本代表への推薦状

□推薦者

稲本潤一

□推薦理由

この試合におけるこの選手(小野もそうですが)を見ていると、昨今、猛威をふるっている「90分間ハードワークを怠らないことこそ正義」という価値観が、必ずしも絶対ではないんだなぁと再認識させられます。最前線の選手はファーストディフェンダーとしてハードワークすることが求められますけど、それより後ろの選手は、適切なポジショニングをしていれば、必ずしも走り続ける必要はない。走らなければならないときだけ走ればよい。ってのが、よく理解させてくれました。

それから、前半に意図的にチームをスローダウンさせようというプレーがあったのですが、これが、また非常に重要なんだと思うのですね。人間の持久力に動物としての限界がある以上、それを如何に有効に使うのかってのは常に問われると思いますし、たまにスローダウンがないと、攻撃のテンポが一本調子になって、相手にも対応されてしまう。ハリルジャパン苦戦の要因は、遠藤保仁みたいに、テンポを支配できる選手がいないところにあると思うので、そういう能力のある選手が待望されます。