2週続けてのnack5スタジアムとなりました。
■前半
讃岐の中盤は珍しく逆三角形でしたね。ワタクシ的には、モウリーニョが最初に率いたときのチェルシーのイメージが強くて、もっと普及するのかなと予想していたんですけど、日本ではそれほど広まってませんね。というか、そもそも1トップが浸透していない。それもこれも1トップ向きのFWが少ないからなんでしょうけど。果たして讃岐の1トップも外国籍のアンドレア。
で、中盤が逆三角形と言っても、433と表現するにはいささか抵抗があって、1トップのアンドレアを残して、4と5のツーラインでしっかりと守るイメージ。単純な話で9人で守って攻撃はアンドレア任せなのですね。なので、讃岐の左右SHには第2のSBのような役割が求められる。仲間も沼田も献身的に低い位置で守備をしては、カウンターに移るや高い位置まで一心不乱に全力疾走しておりました。
まあ、沼田はもともとSBの選手ですよね。いわゆる逆輸入みたいなかたちでガンバに加入したときはSBだという触れ込みだった記憶があります。なので、前半の30分くらいに小澤が相手選手と接触して倒れ込み、ピッチの外に運び出されていた時間帯には、小澤のポジションである左SBを守っていました。こういう選手がキャプテンとして活躍してくれると監督としてはありがたい。
ただ、皮肉なもので、いや、皮肉ではなく論理的なことなんですけど、その沼田が左SBをやっているタイミング、すなわち小澤がピッチの外にいた時間帯に讃岐は先制されてしまいます。大宮で売り出し中の泉澤が、左側45°の、いわゆるデルピエロゾーンから放ったミドルシュートが讃岐GK清水の手の先をくぐりぬけていきました。相手が1人少ないうちに確実にゴールを決めるところが、現在の大宮の好調さを示しています。
■後半
後半に入っても、前半と構図は変わらず、大宮が攻めて、讃岐が守る流れ。いまの大宮の武器は左サイドですね。フリーマンの家長はレフティですから、どちらかといえば左に流れたときの方がスムーズ。そこに件の泉澤がいて、さらに左SBの和田が巧みに絡んでくる。左サイドを完全に蹂躙しながら、どんどんとクロスを入れていく。
でも、最近の大宮はムルジャではなく播戸が先発していることもあって、なかなかゴール前でクロスに合わせられない。少しじれ出す。ピッチの選手たちに焦りはなかったかもしれませんけど、スタンドのフラストレーションは溜まっていく。そんななかでも、追加点を確実に奪ってしまうのが、首位のチームの底力。左サイドからのクロスに横谷が、足でも頭でも肩でも股でもなく、なぜか土手っ腹で合わせてゴールを決めました。土手っ腹だけに、決めたあとの横谷は、だいぶ痛そうにしていました。そりゃそうだ(噂によると、土手っ腹よりも、もっと痛い箇所だったとか)。
2点差になったことで勝敗の行方はほぼほぼ決しました。大宮としては、あとは確実に時計の張りを進めてタイムアップを迎えるだけ。しっかりとしたパスワークで讃岐を陣内に押し込みつつ、隙があれば追加点を狙うという、試合巧者なサッカー。選手交代もムルジャ・渡邊大剛・大山を投入していく必勝パターン。試合途中でムルジャが入ってくるんだから、相手としてはたまったもんじゃない。
対する讃岐も終盤に木島良輔や高橋泰といったベテランFWを入れて2トップ気味にしたり、沼田を左SBにスライドさせて攻撃的な大沢を投入するなど相応に攻撃モードにシフトチェンジしましたが、それほど極端に「リスクを冒して何が何でも同点に追いつくんだ!」モードにはならない。おそらくシーズンを長い目で見たときに、目先の勝ち点のためにスクランブルなことをやるよりは、「まずは自分たちのベースを築き上げ、そこから外れることはやらない」という我慢をしたということなのでしょう。
■日本代表への推薦状
□推薦者
・泉澤仁
□推薦理由
この試合で鮮やかな先制点を叩き込んだホープですが、ポジションは左のウイング。J2で少し実績を残したからといっておいそれと代表にお呼びがかかるようなポジションではありません。何せ、激戦区。すぐに思い浮かぶだけでも、香川真司、乾貴士、原口元気、清武弘嗣、南野拓実など海外組の名前が次から次へと出てきます。
ちなみに泉澤って確か、なかなか得点を奪えなかったんですよね。それが先日の愛媛戦で待望のゴールが決まって以降、前節までですでに3ゴールをあげている。まさにケチャップドバドバ状態。ここで思い出すのは、あの選手。ドリブルキレキレ感は素晴らしかったものの、なぜかシュートだけ決まらず伸び悩んでいたところ、突然のケチャップドバドバで海外移籍を果たした選手。そうですね、FC東京の武藤ですね。泉澤にも武藤のようなサクセスストーリーを期待しましょう。