マッチアップの妙についてアレやコレや唸ってみる【米国vsポルトガル】の周辺をウロウロと…★ワールドカップ各試合を振り返る★

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■アメリカ 2 vs 2 ポルトガル[WCグループG 06月23日]

序盤から試合は動きました。ポルトガルベローゾアウメイダとパス交換しつつボールを保持しながら状況を見計らってペナにボールを放り込むと、アメリカ守備陣のクリアがナニへのプレゼントとなり、そのまま決められてしまいました。ただ、ポルトガルとしては好事魔多しで、「さぁ、ここから緒戦での得失点マイナスを挽回するぞ」というところでCFのポスチガ負傷退場。初戦でもウーゴアウメイダを失ったポルトガル。CF2枚がいないとなると、さすがに苦戦は免れません。

 

 

まぁ、そもそも試合の大勢はアメリカが支配していましたので、ポスチガの交代でそこまで極端にピッチ上の風景が変わったというイメージはありませんけどね。アメリカはベッカーマンとジョーンズのWボランチペトロビッチ浦和のボランチみたく低い位置に下がって丁寧にビルドアップしていく。そこのボールをかっさらってポルトガルショートカウンターからクリロナの個人技を生かす、そんな展開。ただ、ポルトガルとしては少しボールを奪う位置が低かったかもしれません。

 

 

後半の頭からポルトガルアウメイダに代えてカルバーリョを投入する。どうやらこれも、戦術的な交代というより怪我人への対応だったとのこと。今大会のポルトガルは怪我人続出の無間地獄。これで4人目だか5人目の負傷離脱だそうで。こういう、もっていないチームには、アンラッキーが降りかかる。コーナーキックからの流れでアメリカのジョーンズが同点ゴールを叩き込んだのですが、大会全体でも屈指のスーパーミドル。ポルトガルからしてみれば災難としか言いようがない。

 

 

そして、焦るポルトガルを傍目にアメリカは決勝ゴールをあげます。ビーズリーがボールを奪うとブラッドリーに預ける。そこからベッカーマンとジョーンズを経て右サイドのイェドリンへと展開。イェドリンが精度の高い折り返しを入れるとポルトガルCBのアウベスとコスタが必死に掻き出そうとする。しかし、それが相手へのプレゼントとなってしまった。ブラッドリーが拾うと逆サイドのズシに繋ぎ、再びクロス。最後はエースのデンプシーが胸で押し込みました。

 

 

初戦、ドイツに惨敗し、勝たないことには決勝トーナメント進出の芽がなくなるポルトガルは、「カウンターからクリロナの個人技」という必勝パターンに勝ち越しを託します。しかし、例によって代表チームでは発動されないのがクリロナのスーパープレー。オフサイドを繰り返すだけで、あと一歩、あと5cmが届かない。ロスタイムになってバレラの同点ゴールをアシストしましたが、ポルトガル国民や世界のサッカーフリークの期待値ほどは活躍できませんでした。

 

 

 

というわけで、ポルトガルが決勝T進出に首の皮一枚の可能性を繋いだ一戦でしたが、この試合の見所の1つはヒッピー対決でしたかね。まずは本場アメリカが誇るヒッピーといえばボランチに入っていたベッカーマン。あまり清潔とはいえないロングヘアーをドレッドにして三つ編みにして、みたいな感じで、我々がイメージするどおりのヒッピー風。一方、ポルトガルの「ジャパニーズサラリーマンから一番遠いところ」といえばメイレレス南アフリカ大会の時にすでにアウトロー風の見てくれでしたが、さらに立派なお髭を蓄えるようになられた。

 

 

そんなメイレレスは、同点に追いつかれた直後にバレラと交代します。これによってポルトガルはシステム変更。中盤を一枚削り、バレラをサイドに。で、クリ田ロナ男が最前線へと配置される442として勝ち越しを目指します。それに対し、ポルトガルクリンスマン監督は、右サイドハーフにイェドリンを投入。サイドバック属性の高い選手を右に二枚並べることで守備力を強化します。こういう采配の攻防も、この試合の見所の1つといえました。