エクアドルに足りなかった点についてアレやコレや抽出してみる【スイスvsエクアドル】の周辺をウロウロと…★ワールドカップ各試合を振り返る★

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■スイス 2 vs 1 エクアドル[WCグループE 06月16日]

キックオフから数分間は、「ものども、かかるぞ!」ってばかりにエクアドルが攻めまくります。ギリシャ戦のコロンビアもそうでしたが、相手がリズムをつかむ前にラッシュを仕掛けて、どさくさ紛れに得点を奪ってしまおうという感じ。ただし、エクアドルの、この、不意を突く先制アタックは、すんでの所でスイスに交わし切られてしまいました。少しずつ、タッチ数を増やしていったスイスがリズムを整えることに、さしあたりスイスは成功しました。

 

 

それでも先制点をあげたのはエクアドルフリーキックのチャンスでアジョビがクロスを放り込み、バレンシアがヘディングで直接合わせて得点。バレンシアが上手くマークを外したのか、スイスの受け渡しに難があったのか。ともあれ、先制してからのエクアドルは南米独特の“したたかさ”で時計の針を進めていきます。見た感じ、一応、スイスが攻めているようにも思えるのですが、エクアドル的には、「勝ってる試合だから、当然、これくらいは攻められるよね」って雰囲気で、余裕で対応していきます。

 

 

ただし、エクアドルには隙がありました。後半開始早々、左SBのロドリゲスが蹴ったコーナーキックに、後半開始とともに投入されたメフメディがヘディングで合わせてスイスが同点に追いつきます。そして、ここからは、カウンターの応酬。グランダーのパスを中心に中央突破的に速攻をしかけるスイスに対して、正確なロングパスを駆使しながらスイスのゴールに迫っていくエクアドル。互いに運動量も落ちていますから、ハラハラドキドキの応酬が続きます。

 

 

とはいえ、後半も時間の経過とともに、パスワークに分のあるスイスがペースを握ります。構図としては〈“こねくり回すスイス”vs“虎視眈々と待ち受けるエクアドル”〉というかたちのまま試合は進んでいった。ただ、構図が固定化したことによって、試合そのものも固まってしまいましたね。互いが互いのやり方に慣れを覚えて、突発的なアクシデントでもない限り、容易にスコアは動かなそうな、アタッキングはあれども、なんとなく眠気を覚える、そんな展開が続きましたが、ドラマは、後半ロスタイムに起きました。ベーラミが絶体絶命のチャンスのこぼれ球を拾うと一直線に突進。右に展開し、さらに左にサイドチェンジされる揺さぶりの末、ロドリゲスのクロスに、途中出場のセフェロビッチが飛び込んで、ブザービーターを押し込みました。

 

 

ということで、流麗なパスサッカーを誇るスイスが勝利を収めたのですが、後半の半ばまではエクアドルの方が試合をコントロールしていました。中南米のチームの得意技である「試合の空気感をコントロールする」ってのをエクアドルも炸裂させていましたね。そして、対するスイスは、なんだか一本調子に攻めるだけで、肝心の「空気感」を味方に出来ずにいる。こういう「機微を窺えない」ところは、なんだか我らが日本代表を見ているようでした。

 

 

それでも、時間とともにスイスの試合になっていきました。エクアドルは南米らしい巧みな試合運びを持ち味とするチームではあると思いますが、その南米らしさが、チリとかコスタリカに比べて少し中途半端だったかな、と。エクアドルにとって不運だったのは、スイスが明確な格上でなかったこと、緒戦であったこと、早い時間に同点になってしまったこと、などの要素によって、スイスが“焦れる”という感じにならなかったことでしょうか。比較的、相手が平常心を保ちやすいシチュエーションになったので、試合巧者ぶりも本領発揮とはいきませんでした。