守備への責任感不足〜名古屋vs鹿島(8月9日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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いわゆる“出張のついで”ってヤツで、豊田スタジアムに初見参してまいりました。

■前半

今年のアントラーズといえば、なんといってもJリーグでも屈指のボランチコンビということになろうかと思います。小笠原と柴崎、2人のハードワークも厭わぬパサーが心臓としてチームを機能させている。特に素晴らしかったのは、横幅を使った攻撃ですね。鹿島のDNAにサイドアタックというのは刷り込まれていると思いますが、その起点となるサイドチェンジのロングキックが、とにかく正確。だから西も山本も躍動できる。

 

 

一方の名古屋でプレーメーカーの役割を担うのは田口。和製シャビなんて異名を得つつ将来を嘱望され続けてきた選手です。なのですが、この選手のポジショニング、ちょっとヘンですよね。ビルドアップのときとかに、すぐCB脇におりる。こういうビルドアップ自体は最近の流行りなのですが、それにしても中央をガラガラにしすぎる。442のシステムで、Wボランチの一角が中央を放棄しちゃっているので、ダニルソンは大忙しですよ。そりゃ、終盤、ヘロヘロになるってもんだ。

 

 

それでも、先制したのは名古屋でした。サイドへのはたきに右SBの矢野がワンタッチでクロス。相手最終ラインとGKの間に飛んだライナー性のボールに永井が倒れ込みながら飛び込んで、先制ゴールを決めました。クロスを上げたのが矢野で、決めたのが永井。2人ともコンディションが良さそうでしたね。この2人については西野政権になったことによって、再生が果たされつつありそうです。西野再生工場の代表的存在になっていくかもしれません。

 

 

ただ、基本的に優勢に試合を進めていたのは鹿島でしたので、なんだかんだで追いつきます。右サイドをえぐって、そこからのクロスに、左SBの山本がヘディングシュートを叩き込みました。前半を通じて名古屋は、この試合で復帰したケネディが今ひとつ前線の起点になりきれていなかったこともあって、どうにもリズムが作れなかった。Wボランチがマイペースに試合を作っていた鹿島とは好対照。そういう意味では必然の同点ゴールといえると思います。

 

 

■後半

 

後半に入ると、マッハで名古屋が勝ち越します。レアンドロ・ドミンゲスペナルティーエリア内でドリブルを仕掛けるとPKを獲得。それをケネディがフワッとド真ん中に蹴り込み、とにもかくにも、復活ゴール。ここからの時間帯は、名古屋の永井がアグレッシブでした。ただし、攻撃に対してではなく、守備に対してですけど。何度も何度も長い距離をかっ飛ばした鬼戻りを披露していました。これには頭が下がります。

 

 

で、なんでそんなに永井が守備に全力疾走せねばならなかったかというと、名古屋の左サイドとバイタル中央のディフェンスがペンペンだったから。共通項としては田口の存在が浮かび上がりますけど、どんなものでしょうか。何にせよ、守備を強化しないといけない。しかもリードしてますからね。そこで西野さんは、守備のテコ入れというか、クローザーとしてというか、中村直志を投入します。そして、この采配は奏効してました。・・・後半の37分までは。

 

 

そう、後半37分にダヴィの同点ゴールを許してしまったのですね。ダヴィと牟田がカラダをぶつけながらボールを奪いあうなかで、完璧にカラダを入れ替えられてしまった。慌てて楢崎が飛び出しましたが、全く及ばず。これはハッキリ言えば牟田のミスです。ミスでなければ、実力不足です。ただ、果たして、そこに原因を求めてよいものか。それ以前の時間帯から、全体的に守備が他人任せになっていた。ほとんどダニルソン任せというか。

 

 

後半のロスタイムには気落ちした隙を突かれて遠藤に決勝ゴールを許しますが、それも、本質的な原因はダヴィのゴールと通底している。一言でいえば、全体として足が止まってしまっていたのですね。相手にぶつかられて、簡単に転んで、そこからは追いかけない。闘莉王とか矢野とかダニルソンとか先述の永井なんかは走っていましたけど、他の選手の守備に対する責任感が少し不足していたように感じました。それでは勝てません。

 

 

■日本代表への推薦状

 

□推薦者

矢田旭

 

□推薦理由

 

一般論的に言えば、鹿島でレギュラーの座を維持している植田・昌子・柴崎・土居といった若手選手の面々に注目すべきなのでしょうけど、ここは敢えて矢田旭を挙げておきましょう。その理由は、この選手の名前。「あきら」ではなく、そのまま「あさひ」と読むらしいから。我々世代としては、幼い頃、「ザ・ベストテン」でポッケに手を突っ込んで、熱きハートを歌い上げていた、あの昭和のスターを思い出してしまいます。この選手にもスターになってもらいたいのです。

 

 

でも、西野さんも、この選手のことを随分と買っているみたいですね。この試合ではベンチに小川とか玉田とかがスタンばっていましたが、てことは、これらの選手たちを押しのけて先発起用されていたということですから。ただ、この試合では、ポジショニングに苦労していて、良く言えは“流動的に”、悪く言えは“虚空を漂っているように”、あっちこっちを行ったり来たりしてました。その結果、本来の持ち場である左サイドを突かれまくっていましたので、この試合の出来では、まだまだスターには至っておりませんでした。