戦略vs戦術の妙についてアレやコレや満喫してみる【クロアチアvsメキシコ】の周辺をウロウロと…★ワールドカップ各試合を振り返る★

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クロアチア 1 vs 3 メキシコ[WCグループA 06月24日]

状況的に、勝たねばならないクロアチアと、引き分けでもOKなメキシコ。必然的に、より攻撃的に出て行くのはクロアチアということになります。ただ実力的には五分。ハーフコートゲームってことには決してなったりしません。ポゼッション率では60%対40%くらい。なんとなくクロアチアが攻めまくっているように見えるのですが、どこぞのサムライブルー同様、サイドにサイドに押し出されて、運動量だけが消費されていくっていく感じ。

 

 

前半も30分を過ぎると、少しずつメキシコも忍ばせておいた刃をちらつかせ出す。そしてコーナーキック地獄に引きずり込む。のですが、なんだかメキシコってセットプレーでシンプルに蹴りますね。高さの差で跳ね返され続けてハーフタイムへ。両チームとも後半開始とともにの交代はありませんでしたが、60分までには満を持して切り札を投入。すなわちクロアチアインテル所属のコバチッチ、メキシコはマンU所属のエルナンデスが登場します。

 

 

そういう丁々発止を繰り広げる中、少しずつクロアチアはメキシコの術中にはまっていきます。解説の清水さんが何度も繰り返していたように、モドリッチが封じられる。気がつけばラキティッチも消えてしまった。というかコバチッチ投入でアンカーから一列あがったことが逆効果になった。そして、前半から再三にわたって許していたコーナーキックから、ついに先制点を献上してしまった。決めたのはマルケス。大ベテランの大黒柱が、ここで存在感を発揮しました。

 

 

こうなるとクロアチアはバランスを崩しまくって攻めまくるしかない。SBのプラニッチを下げてFWのイエラビッチを投入したりする。しかし、そうやってばたついているうちに落ち着く暇もなくメキシコはグアルダードが追加点を挙げると、気落ちしたクロアチアを横目に途中投入されたエルナンデスがダメ押しの3点目。終盤にペリシッチが一矢報いたとはいえ、さすがのテクニシャン軍団も、メキシコの軍門に完璧に下ってしまいました。恐ろしや、メヒコ。そんな簡単に「日本もメキシコを目指します!」とか言っちゃいけません。

 

 

というわけで、終盤にクロアチアが崩れてしまった一戦でしたが、ニココバチ監督としては「やれることは、やった」といった感想かも知れません。わりと明確な“戦略”を立てきていたと思います。すなわち、あえて中盤に守備的なプラニッチを起用した4141を採用することで、「絶対に先制点を許さず、勝負所でアタッカーの枚数を増やす」というプラン。10で勝つことを想定して、そこから逆算した合理性溢れる選手起用で決して悪くない用兵だったと評価できます。

 

 

しかし、メキシコには、それを上回る“戦術”があった。ラキティッチモドリッチを巧みに消していたというのもありますが、それよりもクロアチアのサイドアタックを上手にいなしていた。ヨーロッパスタイルで高さに利するクロアチアは当然、クロスからの攻撃を志向するわけですが、メキシコの532あるいは3322は、柔軟にサイドの守備人数を調整できる。クロアチアに精度の高いクロスを許さない。そしてチャンスになったら、中夫突破からバイタルを攻略してシュートまで持って行く。試合巧者というか、柔軟な戦い方の出来るメキシコの“戦術”がニココバチの10“戦略”を凌駕した一戦といえるのではないでしょうか。