王国の転換点についてアレやコレや杞憂してみる【ドイツvsブラジル】の周辺をウロウロと…★テレビ観戦記★

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■ドイツ 7 vs 1 ブラジル[WC準決勝 07月09日]

圧倒的にアウェイな状況下、先制したのはドイツ。セットプレーからミュラーが決めました。やはりセットプレーではドイツに分がある。あるいはチアゴシウバのいないブラジル守備陣が脆かったのか。ともあれ、試合が動きました。先制点に象徴されるように、試合の入り方が、よりナチュラルだったのはドイツ。ドイツの試合の入りをみていると、「これがW杯の準決勝なんだ!」って感じがしない。この辺りは所属クラブでの成功体験の為せる業でしょうか。

 

 

焦るブラジルを尻目にドイツはすぐさま追加点を挙げる。右サイドのミュラーの崩しから、最後はクローゼ。ベテランのクローゼ、ボックスプレーヤーの面目躍如といったゴールでしたね。この勝負強さは何なんでしょう? そして、そのわずか23分後に、3点目まで入ってしまう。エジルの展開からサイドバックのラームが右サイドを攻略してクロス、ミュラーのシュートは空振りになりましたが、その背後にいたクロースがキッチリと決めました。

 

 

ブラジルとしてはプチパニック・・・しているうちにクロースが、この日2点目で、合計4点目。あのブラジルが、こうもあっさり崩れてしまうんですね。そして、カメラマンが天才的なアングルでブラジルサポーターの表情を捉える。2失点目の時は「茫然自失となった美女」が映し出され、3失点目の時は「半べそ状態の少年」、4失点目の時には「泣き崩れる女性」が映し出されました。「いったい何台のカメラがスタンドを捉えているんだ?」と。

 

 

「もう許してやれよぉ」ってモードになるわけですが、そこで許さないのがゲルマン魂。“ゲルマン魂”とは「あくまで勝利を追求するメンタリティ」ということでしょうから、淡々と合理的にケディラが5点目を叩き込みます。それが前半30分前後。10分で4点。ブラジルとしては、もはや「ヘビに睨まれたカエル」。ハーフタイムでの立て直しに一縷の望みを繋げつつ、むなしく時間が過ぎていく、そんなイメージの前半戦となりました。

 

 

後半に入ると、ブラジルは半ば捨て身で攻撃を仕掛ける。ダビドルイスとか、もう、ずっと上がりっぱなし。で、決定機も一度ならず作り出す。ただ、そこにノイアーがいるのですね。どうやっても、ここの牙城を崩せないのですよ。そうやっているちにドイツはカウンターから余裕綽々に6点目。がら空きの右サイドを颯爽とオーバーラップしたラームの丁寧なクロスに途中出場のシュールレが押し込む。なんというか、残酷ですね。こうなってしまうと。

 

 

後半の戦いを見ていて、何が残酷って、一方のブラジルは必死で、他方のドイツは油断してないまでも少し弛みが出ていたと思うんですね。にもかかわらず、全くブラジルがドイツのゴールを割る気配がしなかったこと。そのコントラストが余りにも残酷。ドイツのダメ押し弾は再びシュールレミュラーが縦パスに反応し、最終ラインを破ると、ワンタッチでクロス。割と雑なラストパスだったのですが、マークの緩いシュールレにはこれで十分でした。7点目。

 

 

この後は、ひたすら白けたムード。淡々と時間だけが進んでいく。エジルのシュートミスなど、さすがのドイツも緊張感の弛緩した雰囲気となる。ってなかで、オスカルが1点を返します。返しはしましたが、ここまで差が付いていると「一矢報いる」って印象にはならないものですね。王国ブラジルが、ホームの地で王者ドイツのこてんぱんにされた一戦。ブラジルの選手が、なんらかの犯罪行為に巻き込まれないかという心配すら湧いてきました。

 

 

そんなわけで、歴史的な結末を迎えたわけですが、結果論全開で申し上げるならば、キックオフの瞬間から、そういう予感がなくもなかった。と言いますのも、あのブラジルが、一気呵成に攻め立てたのですよ。ブラジルと言えば前半はのらりくらりとやり過ごしながら相手の急所を炙り出していく、そういうサッカーは持ち味だと思うのですが、そのブラジルが「うぉぉぉ!」と向こう見ずに攻め込んでいった。その時点で、どこかおかしいわけですよ。

 

 

やはり余裕がなかったんでしょうね。PK戦など苦しい戦いをどうにかこうにか勝ち上がり、その度に重圧に苦しんでいる姿を垣間見せてしまってきた。そしてブラジル世論は、死人に鞭を打つように、「情けない!」と更なる重圧を加える。そりゃ、勝てんよ。セルジオ越後さんとかブラジル人は、「そういう世論がブラジル代表を強くしてきた」と正当化するのでしょうけど、そういう前近代的な世論のスタイルだと、今後の大会でもブラジルは苦労するのではなかろうかと杞憂するところです。