新星、あらわる?柏vs新潟(5月10日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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実は、3年連続で、このカードを日立台で見ました。

■前半

昨シーズン後半から好調を持続している新潟。その強さは、キックオフ直後から伝わってきました。コンビネーションが確立していますね。阿吽の呼吸でパス交換がなされる。だからワンツーの成功率が非常に高い。それからフリーになった選手の使い方がとても上手。「いま、誰が、どこでフリーになっているか」をチーム全体として把握できている感じ。おそらく、これも、チームとしての意思統一がハイレベルで実現できているからでしょう。

例えるなら“鹿島ー磐田時代”の鹿島みたいなイメージですかね。決して手数はかけないのだけれど、ボールを奪った瞬間にゴールまでの逆算が共有されているから、無駄なものが一つもない流れでシュートまで持っていける、みたいな。あるいは、天皇杯で快進撃を続けるバージョンのHondaFCに近い。組織的なディフェンスから電光石火のロングカウンターでジャイアントキリングを繰り返す、そういった戦術。選手の出入りが激しいトップリーグではなかなか難しいのですが、新潟の場合、それが実現できている。

一方の柏も新潟にインスパイアされたんですかね。同じように完成度の高いサッカーを展開していました。工藤とか田中順也を起点としたワンタッチでのパス交換を繋げながら攻撃しつつ、奪われた途端にもの凄く素早く守備へと切り替える。もっとも、柏のパスがワンタッチだったのは、ツータッチだと新潟守備陣の餌食になってしまうからかもしれませんけど。ともあれ前半のロスタイムが0分だったように、非常に引き締まった攻防が繰り広げられた前半でございました。

■後半

好調アルビレックスの屋台骨を支えるのは王国のボランチ、レオ様ことレオシルバ。去年も見たはずですが、この試合では、その凄まじさが際立っていました。わかりやすくFC東京で例えるならば、高橋秀人のポジショニングと米本のボールハンティングと梶山のゲームメーク能力を1人で兼ね備えている感じ。特に見事なのは視野とテクニック。いわゆる無責任な“鬼パス”は絶対に出さない。周囲にいる選手の中で、最も状況の良い選手を瞬時に探し出し、確実にそこに繋げる技術を目にすると、こっちとしては舌を巻く以外の選択肢は1つも存在しなくなってしまうってものです。

ただ、勝負のアヤというのは面白いもので、そのレオシルバが与えたプロフェッショナルファールからのセットプレーでレイソルが決勝点を挙げてしまうんですね。田中順也のフリーターキックがポストに直撃し、その跳ね返りに鈴木大輔が詰めた得点。鈴木大輔は前半から塩谷化に目覚めたかのように、前へ前への守備から積極的にオーバーラップを仕掛けつつも、塩谷みたいなミドルシュートがないので右往左往して引き返すってのをリピートしてましたが、ここでは殊勲のゴール。全体的に新潟のペースで試合は進みながらも、多くないチャンスで確実に仕留めてしまうのが、いかにもレイソルらしい。ネルシーニョ体制になってからは、こういう勝負強さで勝ち点を積み重ねてきました。

追いつかなければならない新潟は鈴木武蔵を投入して反撃を試みましたが、これについては奏効しませんでした。その要因として、1つには、鈴木のスピードを生かそうと素早くパスを出そうとする余り、ビルドアップが雑になってしまったというのがあります。何より、リードしたことでレイソル守備陣が引いてブロックを形成したことにより、鈴木のスピードを生かすスペースが消されてしまいました。むしろ、長身揃いのレイソル守備陣に対抗できるだけの高さが必要だったと思いますが、そういう部分でのコマが新潟には足りなかった。互いに良さを出し合ったグッドゲームはレイソルの勝利となりました。

■日本代表への推薦状

□推薦者

・小林祐介

□推薦理由

なんとも微妙な時期ですよね。今さらブラジルワールドカップの日本代表に向けて推薦状を提出するってのも体裁上、ヘンですし。ってなわけで、暫くは2018年のワールドカップであったり、リオ五輪であったりへの推薦状ということで。そう考えたとき、この試合はまことに都合が良かった。レイソルボランチ界隈に怪我人が続出していて、大量に学徒動員がかけられていましたから。若手の有望株をピックアップするのに、とても助かったのですね。

ということで、それら学徒動員の中で唯一スタメンに抜擢された小林祐介をば。若手だからというバイアスをかけなくとも高い評価を与えられると思います。この選手の良さは、さしあたり消えないところでしょうか。この試合ではボランチの相棒が茨田で、その茨田は試合中に行方不明になることで有名なので、余計にそう感じたのかもしれませんけど、よくボールに絡めていたと思います。このパフォーマンスを安定して発揮できるかどうかは未知数ですけど、リオ五輪候補に挙げておいて良いのではないでしょうか。