日本代表アジア3次予選の周辺をウロウロ振り返る

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※本シリーズは、まぁ、【御蔵出し】みたいなものです。当時のリアルタイムで書いたものなので、そういうものとしてお読みください。。。

■日本代表 1 vs 0 北朝鮮代表(2011年09月02日)

アジアの厳しさを毎度のこととして教えていただいた試合でしたが、注目は柏木。本田の故障を受けて、トップ下には誰が入るのかって話題で一頻り世間は盛り上がり、「憲剛?」ってところで落ち着きかけたところで、その憲剛もケガ。繰り上がりで柏木がスタメン出場しました。

で、ロスタイムにようやく決勝弾をねじ込んで勝ち点3を這々の体で確保するという大苦戦に対し、少なからず「苦しんだ要因は柏木!説」が持ち上がりました。ただ、個人的に思ったのですが、柏木って、そんなに悪かったですかね?

印象としては「ごく普通」という感じです。シュートも何本か撃ってますし、ラストパスも送っている。らしくないといえば、すこし運動量が少なかったかなぁという部分でしょうか。

本田と比較すると、どうしても「わかりやすい凄さ」に欠けるわけですが、Jリーグの水準(日本サッカー界の平均値)で考えると、トップ下の選手がミドルシュートを撃つって、実は案外、少ない。しっかりケアされますからね。そもそもJリーグで4231を採用するチームは少ないのですが、4312も含めて、いわゆる「トップ下」の選手は、どちらかというと山田直輝のように「潤滑油」の役割を担うことが多く、第2のFWとして大活躍している選手って、ほぼゼロに近いんじゃないでしょうか?セレッソのシャドー達が該当するっちゃ該当しますが。

そう考えると、日本人的トップ下(翼君=磯貝君=沢登君の時代はさておき)という観点からすれば、柏木の出来は、「ごく普通」ということになるかと思います。ただ、それでもやはり、若干の物足りなさを感じたというのは否めません。その理由を少し考えてみますと、やはり先に指摘したように、「運動量」というか「どこにでも顔を出す」って部分ですね。

そもそもザックジャパンのシステムは、「本田システム」なわけです。当初から、「流動的なトップ下」を理想として、たまたまそこに本田を充てはめたというより、おそらく、「本田」という現時点で最高の駒を有効に活用したいというところから始まったシステムだと思うんですね。

本田が「トップ下じゃななきゃ嫌」とか言うからトップ下のポジションを与えた。そうしたところ本田はトップ下に拘束されることなく、FWのようなポジションを取ったり、CMFに下りていったりと、良く言えば「柔軟」、悪く言えば「気まま」なポジショニングをした。そしてそれはネガティブな現象ではなく、彼がそうすることで間違いなくチームは機能したわけで、当然、ザックは、そういう本田の個性を消さないようなシステムを作った。そういうことかと考えます。

だから、本田を生かすための本田システムにおけるトップ下は本田にしか務まらないわけで、そこに、ほぼぶっつけのような形で柏木をポンッと入れて、スムーズに起動すると考える方が楽観的に過ぎよう、とか思うわけですね。そして、もう一つ、本田的トップ下を務めるためには、豊かな戦術眼で臨機応変なポジションを取る必要があると思いますが、柏木の所属チームは、それまでの数年間、一貫して「柔軟性」を否定する戦術を好む監督が指揮を執り続けているという点も、強調しておかねばならないでしょう。