J3の影響と護送船団2ステージ制復活の周辺をウロウロと…/7

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※「構造的欠陥により白紙撤回か!?」みたいなことになってしまっていますが、2ステージ制を模索せざるをえなかった状況(Jリーグを取り巻く環境)や、導入によって期待される効果(現状のJリーグに必要とされているもの)について、本質的な部分が解決されたわけではないと思いますので、何事もなかったように継続いたします。。。

□J3の影響

2012シーズンにJ2が22チームになったことで、J2とJFLとの入れ替えが発生するようになりました。その最初の‘犠牲者’となったのが町田ゼルビア。プロリーグからアマチュア中心のリーグに転落したわけですから、スポンサー収入やら観客動員やらで苦戦するのは目に見えている。加えて‘Jリーグファミリー’から‘Jリーグの親戚’くらいの位置付けになるわけで、分配金に預かれなくなる。

一年前までは分配金を前提に予算を組んでいたクラブから、その分がゴッソリ抜けると、当然、クラブが立ちゆかなくなる。ってなわけで〈J2からの転落=破綻〉という構図が既成事実化しないための受け皿として、J3が発足することとなりました(たぶん)。

で、このJ3の発足と、今回の2シーズン制再導入には、けっこうな因果関係があると思います。すなわち、J3が発足すればJクラブの絶対数が増えるということです。Jリーグ事務局は「収入を減らさないための2シーズン制」と言っていますが、実は、収入を現状維持するだけでは、頭数が増える分、1クラブあたりの分配金は減少します。だから、収入総額を単に維持するだけでは足りない。2〜3割増やさないと、経営が厳しいクラブが少なからず出てくる。まずは、このポイントを押さえたいところです。

それにしても、J3はどこまで増やすんですかね。仮に24チームくらいとして、もし、その定員が満たされたとき、次はJ4を作るんでしょうか? 「非正規には厳しく、正規には甘い」という日本社会の基本構造を考えると、いったん‘Jリーグファミリー’になったクラブはその後も面倒を見続けるでしょうから、理論上、‘もう1つ下のリーグ’は無限増殖されることとなりかねないのですが、そのあたりは大丈夫なんでしょうかね。

□Jリーグの理念との兼ね合い

一言でザックリと言ってしまえば、要するにクラブ数が増えたことで、Jリーグのクビが回らなくなってしまっているのが、現状なのかな、と。オリジナル10みたく、ある程度、親会社がシッカリしたクラブだけに新規加入を制限していれば、ぶっちゃけ、こんなことにはなってないハズです。グランパスやレッズが分配金頼りの財務状況とは思えないですし。

ただ、こういうことを言葉にすると、「無計画にクラブ数を増やしてきたJリーグの偉いさんには責任をとってもらわないと・・・」みたいな安易な‘偉い人叩き’が発生しそうですよね。ワタクシ個人としては、「必ずしも財源が潤沢でなくとも、一定の基準さえクリアすれば、まずはファミリーを増やそう!」という、ここまで20年間の歩みは、決して間違いじゃないと考えています。

そもそもが、「分母を制限して、親会社に特権を与えることで赤字を垂れ流しても大丈夫な状況を作る」というプロ野球文化(戦後的=昭和的=高度成長期的=団塊的文化)へのカウンターとして、スタート時のJリーグは支持を得たんですね。「オラが町のクラブ」こそ、Jリーグの理念であって、アイデンティティ。「簡単に参入できること」がJリーグ最大の長所であって、そして、ありとあらゆる長所には裏返しの短所がある。マイナスを甘受することなく、プラスだけ享受しようというのは余りにもムシが良い。犬を飼って温もりを享受しておきながら、「犬は吠えるから腹が立つ」と怒っているようなものです。参入が容易であることのメリットを享受している以上、それにともなうデメリット(=金策が難しく、そのためには手段を選べなくなることもありうる)も甘受しないことには仕方がない。

□弱者を見捨てない文化

とにもかくにも、Jリーグの理念は「地域密着」でやってきた。そして、その理念の実現のために新規参入へのハードルを低くしてきた。ここまでは問題ない。ただし、「地域密着」はあくまでヨーロッパのスタイルの輸入だったわけですが、ヨーロッパと日本とでは決定的な違いがあるんですね。匿名でないライターさんとかの記事を拝見すると、「問題意識は共有できているが、なかなか改革が進まない」「特に規制緩和が進まない」ということのようです。で、Jリーグに限らず、日本においてありとあらゆる規制緩和が進まない理由は、ズバリ、畢竟「護送船団文化だから」ということになる。

要するに「一度、仲間になった人には、できるだけ面倒をみる」という文化ですね。その分「まだ、仲間じゃない人」には冷たい。正社員と非正規の格差とか、そういう問題です。それが良いか悪いかはわかりませんけど、というか、当然、一長一短あるわけですけど、ともあれ、日本では「自由競争」より「護送船団維持」が優先される。これは日本社会で千年くらいの間に醸成された、まさに文化ですので、一朝一夕では決して変わらないでしょう。そして、「護送船団の維持」を最優先とする限り、自立できないクラブの尻拭いを‘全体’でしなければならない。つまり、あらゆる犠牲と引き換えに分配金は維持されなければならないわけですね。

繰り返しになりますが「護送船団の維持」という文化は、我々が生きているうちには、おそらく絶対に動かないでしょう。少なくとも、ワタクシはそう考えています。そうなると、好む好まざるに関わらず、もはや、「分配金維持のためには手段を選ばない」というのは甘受する以外どうしようもない。それがワタクシの2シーズン制再導入への立場であり、現状の結論です。

最後に少し筆を滑らせると、結局、2シーズン制再導入に反対するということは、究極的にいうと、「分配金が減少して、その結果、財務的に厳しいクラブが潰れるのは仕方ない」ということです。つまり「〈すでに仲間になっている人は見捨てない文化〉の放棄」ということですね。で、現状のJリーグで議論されいる問題、たとえばベストメンバー規定やら、秋春制の問題やら、あるいはライセンス云々やらって、究極的には、「〈護送船団を守る〉or〈むき出しの弱肉強食でやっていく〉」の二択のどちらを採るのかって話に行きつくような気がします。

例えば、秋春制反対の議論は、究極的に「護送船団を守れ!」って議論だと思いますし、ベストメンバー規定撤廃については逆に、「みんながみんな全ての大会で全力を尽くさなくても良いじゃないか!(同じ方向に同じような船が同じペースで進まなくても良いじゃないか!)」って主張でしょう。なので、各論者は、そのあたりに一定の筋を通して、トピックごとにスタンスが変わらないようにしなければならないのかな、と思います。ちなみにワタクシは「どーせ、護送船団は守られるんでしょ。だったら、その枠内で考えないと仕方ないなぁ」というスタンスです。