ケンペスの喜怒哀楽千葉vs神戸(10月6日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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■前半

序盤の攻防を見ていると、この両チームが展開しようとしているサッカーは比較的似ているのかもしれませんね。ファーストチョイスは前線でプレスをかけてのショートカウンター。前半は特に神戸の出足が良かったですが、とにかくボールを奪うと素早く縦に。そして、中盤の選手が次から次へとゴールに向かって全力疾走。それがダメならサイドチェンジから大きな展開で攻め直す、と。常道っちゃ常道ですが、律儀なサッカーと言えるでしょう。

非常に運動量を必要とするサッカーですが、その分、体力があるうちにリズムを掴むと、ビックリするくらいに美しいサッカーが現出する。コンフェデのときのイタリア戦みたいな感じと言いますか。神戸の先制点は、まさに、そんなゴール。森岡が前線の真ん中で起点となり、サイドを駆け上がった相馬にパス。相馬の折り返しに‘三人目の動き’で走り込んだ小川が鮮やかに決め込みました。いやあ、良いゴールだった。

先制点を奪ったことからもわかるように、前半は神戸の方が圧倒的に良かった。千葉が悪かったともいえますが。神戸の良かった点は、なんと言っても、前線の流動性。森岡が前線の核となり、その核の細やかな上下動に対応して、周囲の衛星が変幻自在に動き回る。おそらく神戸は442をスターティングポジションにしていたと見受けられましたが、森岡が引けば4213のようになり、プレスを狙い済ましたときには4231のようにもなる。そして、チームメートの流動的な動きを周囲がシッカリ把握していて、見事なまでに出し手と受け手の狙いがシンクロしていました。

反面、千葉は出し手と受け手の齟齬が目立ちました。例えば、前半の千葉はおそらく一度もワンツーができていなかったんじゃないでしょうか。また、ボールホルダーに連動して周囲がオートマチックに動くってこともない。必然的に神戸の先制点における小川のような、三人目の動きは皆無に近かった。

■後半

しかし、ハーフタイムを境に状況は一変します。前半は全く得点の気配のしなかった千葉が、ちゃっちゃと2点をあげて逆転してしまいました。同点ゴールは千葉のストロングポイントである右サイドの崩しから。米倉がペナ脇を攻略すると、そのクロスにケンペスがダイナミックに飛び込む。ケンペスのシュートは奇跡的になぜか田中佑昌の足元にピタリと収まり、ごっつぁんゴール。そして、逆転ゴールはケンペスの個人技。キーパーを嘲笑うかのような非常にテクニカルなミドルシュートを突き刺しました。

後半になって千葉が攻勢に出られた要因としては、まず、神戸のガス欠を挙げなければなりません。前半あれだけ流動的に動き回り、面白いように森岡のゲームメークがハマっていたのに、それが忽然となくなった。特にマジーニョエステバンの消えっぷりは清々しいくらいのレベル。そんな神戸とは対照的に千葉は後半になって流動性が生まれだした。特に兵働が中に絞ったり、佐藤勇人が上がったりして、バイタル真ん中が厚くなったのは効果的でした。

そんなわけで、見事な逆転劇で勝利を収めたジェフですが、そんな中にも浮かない選手はいるわけで。その1人は兵働。というか、今シーズンの兵働って、どうですか? ワタクシが見た何試合かに関していえば、さっぱりダメダメなような気がします。そもそも兵働って、サイドで使って輝くのだろうか。筑波時代は藤本淳吾と両ウイングみたいなことになってたらしいですが、基本的に‘セントラルで使ってこそ!’って選手のような。真ん中に置きたくとも、「前で使うにはゴールに直結する動きが少なく、後ろで使うには守備が…」ってな問題があるんでしょうけど。

ジェフで浮かない選手として、もう1人挙げられるのが、ケンペス。2得点に絡む大活躍をしてのですが、イエロー2枚で退場に。その2枚が2枚とも気の毒なカード。1枚目はファールのあとのボールの返し方が非紳士的というカード。これ、たぶん、主審は目視していない。神戸の選手による‘お約束なオーバーリアクション’を真に受けた感じ。スタンドから見る限り、〈ちゃんと返そうとしながらもコントロールをミスっただけ〉だと思われます。2枚目は、ロングボールにおける通常の‘お互い様な競り合い’。審判によってはカードはおろかファールもとらないレベル。よくわからないですけど、よっぽど主審さんの印象が悪かったんでしょうねぇ。ホント、お気の毒さまでした。

■日本代表への推薦状

□推薦者

森岡亮太

□推薦理由

いわゆる長身のテクニシャン。フォワードに入っていましたが、ゴールゲッターというよりも、チャンスメーカーに近いプレースタイル。低い位置におりて、良質なパスを配球する感じは、往年の我らが小倉隆史を彷彿とさせる。

しかし、我らがオグちゃんとは決定的に異なる部分も。それは、体力があるうちはかなり広範囲に動き回るところ。運動量の絶対値は何とも言えませんが、労を惜しまない動き方をする。それから、フィジカルがかなり強そうなので、球際で頑張れるんですね。相手を背負いながらも踏ん張って、踏ん張りながら丁寧にボールを収めて、時間を作る。そういうプレーのできる選手です。ここまでの説明でピンと来たでしょうか。要するに、前田遼一にかなり近いプレースタイルの選手なんですね。前田に比べて得点力は未知数ですけど。ともあれ、今シーズンになって前田が調子を落とし、他方で柿谷が台頭した日本代表ですが、この選手が選ばれたとしたら、それはそれで楽しみです。