緊張感溢れるダラダラサッカー横浜Fマリノスvsセレッソ大阪(9月14日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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□前半

この試合の構図は極めて明瞭。すなわち、〈ポゼッションvsカウンター〉。一般的に〈ポゼッションvsカウンター〉という構図だと、ポゼッション=攻撃的、カウンター=守備的という印象が強くて、さらに、これまた一般的なイメージとして、セレッソ=攻撃的、マリノス=守備的、と捉えられがちです。しかし、この試合においては、それら一般的なキャラとは真逆に、マリノスがポゼッションして、セレッソがカウンター

で応戦するという流れ。

尤も、香川とか乾とか清武とか柿谷のイメージでなんとなくセレッソといえば〈攻撃的なパスサッカー〉を連想してしまいますが、クルピさんのサッカーは、一貫して、カウンターに重心を置いているように思います。あまりポゼッション率は高くない。けっこう攻めさせる。ただ、奪ってからのカウンターにおいてふんだんに手数をかけて、ショートパスのコンビネーションを見せつける。〈攻めるときだけ、がっつり攻める〉というか。

ゲームは前半の比較的早い時間帯に動きます。基本的にマリノスが攻め立てるなか、セレッソがカウンターからコーナーキックを奪うと、そのセットプレーからマリノスのクリアミスを拾った山下が先制点を突き刺します。一方、マリノスも黙っていません。尤も、同点ゴールは、この日面白いように繋がりまくっていたバイタルエリアでのショートパス回しから生まれたのではなく、ドゥトラのミドル一発。いわゆる‘飛び道具’。サッカーとは、えてしてそういうもの。

で、11になってからは、両チームのイズムがシンクロし始めます。セレッソというのはブラジル人のクルピが率いていますから、セレソンよろしくな‘のらりくらりサッカー’を展開します。他方の横浜は中澤がもはやベテラン扱いされないくらいのアダルト軍団。ツボを抑えた無駄のない試合運びが信条。そうですね、両チームとも、クソ暑いなか、走りまくるサッカーなんて決してしない。なんとも大人な省エネであり、それでいて緊張感溢れるゲームにワタクシの目は釘付け状態のままハーフタイムを迎えました。

□後半

後半に入っても、前半の構図と大きく変わることなく、かつ、そのままドローで決着しましたので、幾つか気づいたことを。

まず興味深かったのは両チームとも、4231のバランスを崩しかねない要素を自らのうちに有していた点。セレッソについては左ウイングに入っていた杉本が、本来はストライカーですから、どうしても中寄りの位置取りをしてしまう。で、シンプリシオもセンターから動きませんから、〈楠神がどっちかのサイドにいるけど、逆サイドにハーフはいない〉というアシンメトリが発生していました。

一方のマリノスは俊輔。この選手は良くも悪くも、ボールに触りたがりますから、どうしても試合が進むにつれてボランチのような低さにまで下りてきてしまう。それが整然とした4231のバランスを崩すことにもなりかねないのですが、今シーズンのマリノスでは俊輔の役割がしっかりと整理されているのか、ちゃんと二列目真ん中の持ち場を離れたことなく職務を全うしていたのが印象的でした。

最後に、せっかくなので噂の柿谷についても簡単に。柿谷のファーストタッチの正確性とシュートの技術については松木さんの解説がなくとも理解できるところ。ただ、この試合で目を奪われたのが、さりげなく気を利かせた守備と、前線での孤立に怯まない精神力です。

前者の守備については、それほど運動量全開に追いかけまくるって感じではないのですが、ポジショニングの微調整が上手なんですかね、うまいことパスコースを制限していました。それから、自分がボールを奪われたときの切り替え。基本っちゃ基本ですけど、それがしっかりできていた。このあたりは美濃部塾の成果でしょうか。後者については、1トップとして前線で孤立してしまうと、どうしても低い位置までもらいに下がってしまいがちなんですけど、そこでじれない。そういう意味では、今の柿谷は全盛期のカズを超克していると評価しても過分ではない。この試合では柿谷の地味な部分における長所を堪能できました。

□日本代表への推薦状

・推薦者

椋原健太

・推薦理由

FC東京時代の椋原って、なんとなく〈独特のオーラを持たないバージョンの徳永〉ってイメージ、要するに、守備に重心を置き、散発的にしかオーバーラップしない印象があったのですけど、なんだか、この試合では、やたらとアーリークロスを放り込んでいました。CB寄りのSBという印象をスッカリ払拭していましたし、ある意味では内田のスペアとして機能するかもしれません。

ここで重要なのが、「ある意味では」というところ。単に‘右SB’としてみただけなら酒井高徳やら宏樹もいますし、そもそもクラブでも酒本からレギュラーを奪えていないので、さすがに役不足。しかし、内田は代表において、もう一つ重要な役割を担っていますね。それは、なでしこにおける鮫島と同じ役割。そう、‘ビジュアル担当’です。日本代表にも、長谷部とか酒井高徳とか、それなりに男前はいますが、‘爽やかイケメン枠’を担えるのは現状、内田しかいない。椋原なら、そこの部分の人材難を補えるはずです!