アイツとコイツの周辺をウロウロと…2012年シーズンのJリーグを振り返る・選手の群像

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あくまで2012シーズンですからね。2013シーズンももはや1/4くらい消化されてしまっていますけど。ちなみに、このシリーズも1/4ちょっとしか消化されていないので、2012シーズンを振り返り終わった頃には2014シーズンが開幕しているかも・・・。

■清武から柿谷へ[FC東京vsC大阪(6月23日)]

改めての確認ですが、2012シーズン開幕の時点における、セレッソの”主役”は紛れもなく清武でしたね。その清武選手は夏前、香川選手の後を追うようにドイツ移籍が決ったわけですが、この試合が行われたのは、その正式リリースが発表されて暫くしたくらいのタイミング。

〈日本で清武選手の勇姿を目に焼き付けられのも、もう何試合もない〉、そういうシチュエーション。言い方を変えれば、清武選手がセレッソの‘主役’でなくなる、‘主役交代’までのカウントダウンが始まっている、そういう試合でした。

そして、この試合、その‘主役交代’を象徴するかのようなシーンがありました。すなわち、この日、ケンペス・柿谷の2トップにキムボギョン・清武の2列目が加わるというカルテットでスタートしたセレッソの攻撃陣でしたが、2点のビハインドを追いかける展開の中、キムボギョンに代えてブランキーニョを投入、さらにはFWの永井龍を投入します。

注目したいのが、永井選手の交代相手。FWを投入したのですから、交代するのもFWというのが無難な線。具体的には柿谷選手ですね。しかし、当時のスアレス監督は、単純なFW同士の入れ替えではなく、清武選手を下げ、柿谷選手を2列目にスライドさせるという用兵策を取りました。つまり、清武ではなく敢えて「柿谷を残す」という選択をしたわけですね。

もちろん、戦術上のモロモロ細かい理由があってのこととは思われますが、スタンドから見ていたワタクシには、「清武に頼ってられなくなる日がすぐそこにまで来ているから、今後は柿谷が‘主役’としてセレッソを引っ張っていくんだぞ!」というメッセージのようなものが伝わってきました。そして、ピッチからベンチに下がっていく清武選手の背中に、去りゆく‘主役’の後ろ姿を感じたのでありました。

ヴェルディの実力派トライアングル[東京Vvs鳥取(07月15日)]

ここ最近のヴェルディって、「ユース上がりのタレント」と「他クラブを契約満了になった一芸に秀でた実力者」という二段構成でできていますよね。まぁ、それは他のクラブでも似たり寄ったりではあるんでしょうけど、ヴェルディの場合、特に後者のチョイスに味がありますよね。

この試合で言えば森勇介西紀寛中後雅喜あたりが相当するのですが、この3人、なかなか息ピッタリでした。杉本が痛んで試合が止まっているときには、仲良く3人で水を飲んでいましたし。

で、この3人はプレースタイル的にも相性が良い。この試合、前半は梶川選手がボランチの位置からゲームメイクを担っていましたが、梶川選手は、どちらかといえばショートパスが得意な選手。そして、この日に限れば、そのパスが森選手にまで届くことがなかった。

そこで後半から中後選手へとスイッチしたわけですが、中後選手は、ミドルパスなど球足の長いパスの精度にスペシャリティがある選手ですから、後半に入ると、森選手の足下へ中後選手からのロングパスがピンポイントで届くようになった。

で、中後選手は、組み立てのかなり早い段階でパスを出せますから、森選手はフリーに近い状態でボールを貰える。森選手は1人で勝負ができるので、後は彼に任せておけば良い。

で、右サイドを森選手に一任すればよいということになると、神出鬼没な動きをスタイルとする西選手としても、心置きなく右サイドをお留守にできる。そして西選手が自由な動きで相手守備陣を攪乱することにより、阿部選手などへのマークにも隙ができる、つまり、ヴェルディの攻撃にダイナミズムが発生するわけです。この日見せてくれた3人の相乗効果には、サッカーの奥深さ、醍醐味が詰まっていたように思います。

■兄弟Jリーガー[栃木SCvs愛媛FC(08月22日)]

Jリーグが発足して、はや20年。兄弟Jリーガーも、割と増えて来ましたよね。有名なところでは巻兄弟とかですかね。2人で「はい、やべっち!」とかやっていましたし。兄貴は元日本代表のワールドカップ戦士ですしね。

ワタクシ個人として印象深いのは、慶行と亮の小林兄弟。この2人は代表には縁がない一方で、Jリーガーとして一流の出場試合数を誇っているという意味で、まさに‘兄弟Jリーガー’と呼ぶにふさわしい。元祖的な存在ではカズとヤスの三浦兄弟がいますし、最近では高木三兄弟の長男と次男がヴェルディに揃い踏みしている時期がありました。それから宏希・宏矢のリアル風間チルドレンとか。

で、この試合でも「兄弟?」と思わせる2人がおりました。愛媛の赤井秀一と栃木の赤井秀行です。「赤井」という、そこまでメジャーじゃない名字で、「赤井秀」まで同じなんだから、そりゃ兄弟に違いないと踏んだのですが、そうは問屋が卸さない。

スマホをコロコロしてみたところ、秀一は北海道出身で、北海道光星高校から仙台大学を経てプロになった選手。一方の秀行は千葉県出身で、流経柏から流通経済大学というエリートコースを歩んできたらしい。ええ、どう考えても完全に他人ですね。

秀一とともに愛媛に所属している小笠原侑生が「小笠原○生」まで共通しているにもかかわらず、鹿島アントラーズのキャプテンとは何ら関係がないのと同じ構造でございました。ちなみに侑生は地元愛媛出身で、元セリエA戦士は、ご存知の通り、岩手県出身でございます。