バルサ大敗がもたらすものに期待する【バルサvsバイエルン 1st・2ndレグ】の周辺をウロウロと…★テレビ観戦記★

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バルセロナ 0 vs 3 バイエルン[CL準決勝2ndレグ 05月03日]

御存知のように、バルサとしては攻めるしかなかったわけですね。そうすると、サッカーには必ず、ある法則が起動します。ヴァルデスが大きく蹴り出したボールをアラバか誰かが収めると、そのまま大きくロッベンに展開。ラインを押し上げることに必死でマークを緩めてしまったバルサは、ロッベンミドルシュートを呆然と見送るしかなく、絶望的な先制点を許しました。そう、攻めることばかりに注力すると、あっさりと得点を許してしまう法則がサッカーには存在するのです。

こうなると、勝ち負け自体を度外視してでも、ホームですし、王者のプライドに懸けてもバルサとしては意地の一撃を加えて、爪痕を残さねばなりません。しかし、そうすればするほど、試合はバイエルンの掌中でコロコロ転がされることとなります。後半28分には完璧なカウンターを仕掛けられ、1人対3人という、どうにもならない構図の中でピケのオウンゴールが誘発され2点目、同じような展開からミュラーの豪快なヘディングシュートでダメ押しの3点目。残酷なまでにバイエルンが圧勝しました。

2試合合計07という衝撃的な結果に、「バルサ時代の終焉か」みたいな論評がプロのマスコミや、匿名媒体のブログやらなんやらで盛んに喧伝されておりますが、こればっかりは来シーズンなり再来年の結果を見ないことには何とも言えません。ワタクシには未来を予知する特殊能力が付与されておりませんので、拙速な断言やら、安直な観念論は避けます。

ただ、少なくとも‘絶対的存在’と思われていたバルセロナが‘絶対的’でなくなったことは間違いありません。でも、個人的には、これは良いことだと思います。バルサそのものに罪はないですが、近年のパフォーマンスが余りにも完璧すぎたため、周囲(=日本人を含む欧州サッカーファン)のバルサ信仰が、あまりにも原理主義的になっていて、どうも、そこに違和感をワタクシとしては感じていたのですね。

ロングボールサッカーに‘アンチフットボール’とのレッテルを貼る言動が堂々とまかり通っていて、気がつけば「バルサフットボールは正しい」であるべきものが「正しいフットボールバルサ」になってしまっていた。しかし、個人的脳内辞書に「〈多様性〉と書いて、〈ゆたかさ〉と読む」とあるワタクシ的には、ショートパスサッカー以外を否定する近年のトレンドを、どうしても納得できなかった。

イタリアの守備的サッカーもフットボールであれば、イングランドのスピード&パワーもフットボールモウリーニョの効率最優先サッカーもフットボールだし、Jリーグで見られる勤労感謝サッカーもフットボール、もっと言えば、‘エースで四番’に全てを託す高校サッカーや小学生の金魚のなんちゃらサッカーもフットボールに違いないわけで、今シーズン、何年かぶりにバルササッカーが相対化されたことで、来シーズン以降のフットボールシーンには、久しぶりに‘多様性’なる概念が復権するのではないかと密かに期待しております。

バイエルン 4 vs 0 バルセロナ[CL準決勝1stレグ 04月25日]

※図だとバイエルンvsバイエルンになってますが気にしないでください。ミスでございます。

バイエルンが中盤に構築した守備が、とにかく凄かったですね。バルサの攻撃は相手を引きつけてバランスを崩したところでスピードアップするというパターンかと思いますが、バイエルンの守備は運動量豊富に流動性を発揮しながらも、バランスは決して崩れませんでしたからね。

バルサの勝ちパターンというのは、いわば‘賽の河原作戦’。相手が這々の体でクリアしても、あっという間に、さっきまでの苦しい状況に逆戻りさせることで、相手守備陣の忍耐力を崩壊させていくわけですが、どうやらこの日、バイエルンが積み上げていた石ころはアロンアロファでくっつけられていたらしい。バルサが金棒で、積み上げた石を崩そうとしても、ビクともしない。いつものパターンに持ち込めないバルサは当然のようにリズムを失います。そして、さしものバルサも、リズムを失った状態では、相手のストロングポイントを封じ込めきれません。

リベリーが蹴ったコーナーキックに対するバルサのクリアが小さくなって、ロッベンがワンタッチでミュラーへ。外に開いたロッベンミュラーが戻して、クロス。ダンテが高さを見せつけるようにヘディングで競り勝ち、最後はミュラーが押し込みました。

ドイツ人はスペイン人より体格が勝りますから、やはりセットプレーではバイエルンが優位。ゆえに追加点もセットプレーから。ロッベンがファーに目がけて蹴ったコーナーキックミュラーが折り返し、身体をしなやかに折り倒したマリオゴメスがボレーを突き刺して、追加点をあげます。

リードを許したバルサとしては、一気呵成に反撃しなければならず、後半になると、くるくる回りながら巧みにマークを外していくシャビのパスワークも垣間見えるようになりましたが、それでも、いつものように‘超絶ポゼッションで蟻地獄に引きずり込む’作戦が通じません。というのも、バルサ蟻地獄は、相手が青息吐息で質の低いクリアに逃げるしかなくなることで機能するわけですが、バイエルンは、低い位置でもしっかり繋いで、高い位置に運び出せば、スローダウンしてポゼッションに持ち込みますから、蟻地獄にはまってくれないんですね。それどころか、容赦なくカウンターをしかける。

そして、追加点以降はバイエルンのカウンターショー。3点目は見事でした。カウンターからリベリーが巧みな身のこなしで独走。シュバインシュタイガーに預けて、ロッベンに振る。右サイドを突破したロッベンがシュートを突き刺しました。オブストラクション疑惑もあるゴールでしたが、ピケの犯したハンドの見逃しなどを斟酌すると、‘お互い様’。一方的にバイエルン有利な判定とは言えないでしょう。さらに4点目もカウンターから。シュバインシュタイガーが中盤中央をドリブルで持ち上がりリベリーへパス。リベリーは左サイドでオーバーラップしてきたアラバを上手に使い、アラバのクロスにミュラーが飛び込んでダメ押しました。カウンターのお手本みたいなゴールでしたね。

というわけで、バイエルンの完勝となった1stレグでございました。