鋼鉄製ロボット・ケンペス、石炭駆動の442を破砕するジェフvs北九州(3月31日)の周辺をウロウロと…☆現地観戦記☆

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千葉と北九州。〈鉄鋼の街vs炭鉱の街〉みたいな印象を持つのは、昭和を知る世代の悪い癖でしょうか。ただ、鉄鋼業は未だ盛んな一方で、炭鉱業は衰退の一途をたどったように、明暗のクッキリと分かれる一戦となりました。

開始早々の先制点で、殆ど勝負ありといった感じでしたが、それほど見事なゴール。ジャイール選手が個の突破力を見せつけ、相手守備陣を翻弄すると、急所にスルーパス。しっかりとパス&ゴーで走り込んでいた米倉選手が折り返し、オーパラップしてきた大岩選手が丁寧に決めた得点でした。米倉選手のSB起用が早速あたった形になりました。

追加点はジャイール選手のコーナーキックをダイレクトにケンペス選手が合わせたもの。問答無用の必殺技で自らへの疑念を黙らせたケンペス選手は、さらにカウンターで抜け出したジャイール選手のお膳立てを受けて、前半のうちに、もう一点を奪います。こっちはお手本のようなショートカウンターでしたね。

いやあ、この試合は、完全なるケンペス劇場。しかも、演劇はゴールだけにあらず。前半25分くらいには富士選手に深めのタックルをお見舞いして、イエローカードを頂戴してしまいますが、そのときのケンペス選手が、まあ、愛くるしい。もうね、ベンチに対してを皮切りに、敵にも味方にも周囲にいる選手という選手に、ひたすら謝りまくるのですね。まさに平謝り。レフリーに叱られて小さくなる感じも全く憎めません。

ちなみにファールの内容については、やや不利なボールに対し、五分であるかのように突っ込んだ感じ。もちろん削られた富士選手的には痛かったでしょうが、それなりに予測は可能だったでしょうから、大怪我に繋がるような雰囲気ではなかったかと。まあ、イエローというのが、妥当でしょうね。

ハーフタイムが開けてからも、ケンペス劇場は続きます。後半開始早々、ペナでボールを受けたケンペス選手は、落ち着いて狙いすましたコントロールショットでハットトリックを達成すると、さらに混戦からの‘ごっつぁんゴール’まで決めて4得点。

こういう、決まり出したら止まらない選手って多分マジメなんだと思うんですね。要は、普段は肩に力が入り過ぎていて外してしまうんですけど、ゴールを決めてリラックス状態になれば幾らでも決められるってわけですから。マジメなんですよ、きっと。イエローで謝りまくる姿といい、決まり出したら止まらない感じといい、なんとなくケンペス選手のキャラが伝わってきました。

そんなわけでケンペス選手の大爆発にジェフサポも大満足だったでしょうが、だめ押しの6点目も、なかなか見ごたえ十分。途中出場の田中選手がシッカリと試合に参加しチャンスメークすると、そのパスに反応して相手最終ライン裏をえぐったのは、SBとして出場していた米倉選手。80分を過ぎてからのオーバーラップには頭が下がります。そして、米倉選手の折り返しを決めたのは、ジャイール。事実上のエースとして攻撃を牽引していたジャイール選手本人にご褒美のようにゴールという結果がついてきたことは、本人も嬉しいでしょうし、チーム関係者全員にとって喜ばしかったのではないでしょうか。

一方の北九州ですが、16とスコアこそボコボコにされましたが、内容的にやられっぱなしだったわけではありません。6失点したように守備陣の‘粘り強さ’という部分に不満やら不安やらは満載ですが、攻撃については442のフォーメーション特有の流動性で、小手川選手や内藤選手や両FWが入れ替わり立ち替わり、バイタル真ん中のエリアを制圧していたようにも見えました。

もちろん、そこから竹内・山口という老練な千葉CBコンビの壁をどうやって剥がしていくかというところに課題はありましょうが、それが難しそうとなれば積極的にミドルシュートを撃っていて、そのうちの一発でもラッキーパンチ的にゴールインしていれば、全く異なる試合展開になった可能性もあります。実際に、ポストを直撃するというシーンもありましたし。

また、サッカーにおける〈基本の‘き’〉ともいえるサイドアタックを繰り返し、そのクロスからヘディングシュートが生まれるなど、やるべきことはちゃんとやっていたと思います。J1ライセンス不発給により、監督やら監督の子分的な選手やらが長渕を口ずさんで北へ北へと大都会を目指して上京していき、〈そして誰もいなくなった〉状態から再構築を余儀なくされていることを踏まえると、鈴木選手の意地の一撃で一点を返すなどハートが折れなかったことも含めて、さしあたり穏当なチーム作りを柱谷監督はしているように感じました。

□日本代表への推薦状

・推薦者

米倉恒貴

・推薦理由

いわゆる司令塔タイプのMFであるにもかかわず、突然のSB起用。その抜擢に、それなりに応えていたように思います。まずオーバーラップしてからのアタッキングサードにおける動きの質は、当然のことながら普通のSB離れしている。また、サイドチェンジの大きなボールをしっかりと残してマイボにする技術にも見所がありました。さらに、押し込まれた際にクリアする際の球質は非常に綺麗。余りにも綺麗すぎて、相手DFにとってもトラップしやすい感じになっていましたが…

守備に関しては簡単に突破されたりってシーンが目立つわけでなく、〈肝心なときにお留守〉ってシーンもなかったと思います。少しクロスを簡単に上げさせすぎるなど〈未然に防ぐ守備〉には改善の余地があるのかもしれませんが、こういうタイプのSBは現代表にいませんので、急成長を期待したいですね。